OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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Dog eat Dog

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 思った通り、大沢がしっかりと抱き留めにきた。

「大丈夫ですか⁉」
「は はい、飲みすぎちゃったからかな  ん、い たっ」
「挫きました⁉大丈夫ですか?」

 赤かった顔を青くさせて動揺する大沢に、申し訳なさそうに微笑んでから体勢を立て直す。

「はい、これくらいなら……少し休めば動けますから。だから、残念ですけど今日はもうお開きですね」
「いつかさん?」
「今日はありがとうございました、大沢さんのお陰で私、前に進めそうです」

 ちょっと目尻に指先を当てるようなフリをして、にっこりと笑ってやる。

「いや、いやっそんな足で何を」
「私は少し足を休めてから帰るので、もうここで」

 丁寧に頭を下げた後、ひょこ と足を引きずるふりをしてやると、決心したような大沢の顔がさっと近づいて、抵抗する間もなくオレをお姫様抱っこで抱き上げた。ふわ と足が地を離れる不安感に驚いて、大沢の広い胸板にしがみつくとそれを見て大沢が柔らかい笑みを零す。

 わー……なんつーか、こう、αの王道的な?

 弱った生き物に見せる上からな?

 あーもー。

 ホント、反吐が出そう。

「きゃっ」

 わざとらしく上げた小さな悲鳴を、大沢はどう思ったのだろうか?

「びっくりさせてごめんね、でもその足で歩くなんて……それに、こんな場所に一人でなんて置いていけないよ」

 こんな場所……

 お誂え向きな公園の前 ってか。

 厚い胸板に擦り寄るようにして顔を隠し、にや と零れそうになる笑いを必死に誤魔化した。




 オレの言うがままに自販機で買ってきた飲み物を、挫いてもいない足首に押し当てて、薄暗い公園のベンチの下に跪きながら大沢は不安そうにこちらを見上げている。

 αがオレの前に跪いていると思うだけで、おっ勃ちそうになるのだから、我慢するのも一苦労だ。

「小さい足ですね」

 なまっちろいオレの足は遠くの街灯の明かりを受けて幽霊の肌のようで、掴んでいる大沢の手の逞しさをありありと教えてくる。すっぽりと収まってしまうしまうほどの足のサイズは、男の目線からしたらコンプレックスだったけれど、この格好をするのには最適なサイズで、それを話題に出されるとなんだか微妙な気分になった。

 飲み物を押さえている指先がふとした動きでふくらはぎに触れる。

「普通のサイズだと  ──んっ」
「あっすみません!あの、たまたまで……」

 んなわけあるか、ばーか。
 ワザと当たるように動かしたんだよ。

 狼狽した大沢の肩にそっと指先を置き、乾くからあんまりしたくないんだけど、じっとその瞳を覗き込んだ。

「大沢さん  私、あの  」

 小さく震える演技まで完璧だ。

「いつかさん、ナンパなことをして……信じてもらえるかわかりませんが   」

 そこで大沢は言葉を区切って、その続きを言おうかどうしようか、もしくはどんな言葉を言えばいいのかを考えているようだった。

「──── 運命を、感じませんか?」


 はい、いっちょ上がりぃ!



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