OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

文字の大きさ
上 下
332 / 801
花占いのゆくえ

22

しおりを挟む



「    何も」
「そんな訳ないよね!不自然な間があったよ!」

 ぷぅっと膨らむ頬を突いて、昨夜薫を怒らせたことを思い出す。

 薫はどうして怒ったのか……きっかけになる会話を思い出そうとしたけれど、特にどうと言う事のない会話だ。
 ミナトとのことは昼間に会ったから別に問題じゃないとして、海浜学校に持っていく物が派手で怒った?それとも……

「  愛してるって言ったのが、良くなかったのかなぁ」
「────っ」

 ぴょこん と六華が小さく跳ねる。

「そ、そ、そんな、なんか、なんか、あ あーあいー……とかっ」

 ん?と視線を下ろすと、六華は頬をぱっと赤くしてその言葉が恥ずかしいとばかりに顔を覆った。
 むず痒いのかバタバタと足踏みしてから、体を揺すっている。

「な、な、なんか、喜蝶、大人、だね」
「なんでそれで大人なんだよ」
「だってっだってっ!好きは分かるもん!きゅーんってなって大好きだって思うけどっ」

 顔から降ろした手を胸の前でもじもじと弄り、つんと尖らせた唇から溜め息のような長い息を吐く。
 言葉にするのも躊躇われるほど恥ずかしいものなのか?

「――――愛 は、まだ難しい、かな」

 真っ赤な頬を押さえて睨み上げてくる六華に思わず笑いが漏れる。

「お子様」
「むっ」

 ぽすん と腕を叩かれても、全然痛くない。なので代わりにまた髪をぐしゃぐしゃと混ぜっ返してやると、ムキになったのか腕に飛びついてきた。

「なんだよ!一人大人って顔しちゃってさ!」
「言葉一つで真っ赤になる六華よりは大人だろ?もう止めろって、服伸びる!」

 袖口を引っ張られ、カーディガンが伸びるのを慌てて止めると、それまで照れ臭そうにしていた六華がはっと校門の方へと視線をやった。

 黒い自家用車が少し戸惑うようにブレーキランプを灯してから、そろそろと校門の中へと入り、職員玄関前のロータリーをくるりと回ってから停車する。
 父兄が送ってきたのかと思うも、助手席から降りてきたのは薫だ。
 けれど、薫の家の車はSUVの白色のはず。

「送ってくれてありがとうございます、忠尚さんも気を付けて帰ってくださいね」

 お辞儀する薫からそう声が聞こえた途端、腕に引っ付いていた六華の体がきゅっと固まる。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...