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花占いのゆくえ
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しおりを挟む「あーあ。なんであの時、あのお店に連れてっちゃったんだろ」
「原因、軒並みお前じゃないか」
恨みがましく睨んでやると、小動物のようにきゅっと体を縮込めて小さく「ごめん」と返してきた。
そうすると細い肩も繊細そうな作りの顔立ちも、庇護欲をそそるのだろうけれど……
「 や、でも、喜蝶があっちフラフラこっちフラフラするから悪いんだよ」
「 」
「なんで最初から薫一筋にしとかなかったのさ」
「 俺がアルファだから」
この言葉は、αとΩなら分かってくれる言葉だ。
運命と出会える確率……なんて奇跡のような物に執着してしまうのは、本能でしかない。
「さっさと噛んで、運命が現れたら?」
自分達の子供ですら、二人の間に入るのを良しとしなかった両親を見て育ったから。
「俺は大好きなあいつを傷つけるだけ傷つけて捨てることになる」
αは何人でも噛んで番になれる。
でも、Ωは生涯で一人しか番が持てない……そして、番に見捨てられたΩは他のαを受け入れることができないまま、孤独感に衰弱しながら一生を終える。
番のシステムは、Ωに優しくはできていない。
「逆を言えば、運命を見つけてもまだ薫を好きでいられたら、薫とずっと一緒に居られるんじゃないかって……」
「保険を掛けてる段階で格好悪っ!」
つーんと拗ねたような表情で言ってくるこいつに腹が立つけれど事実だ。
怖かったから。
一番大事にしたい相手を、一生続く苦しみに突き落とすかもしれないことが。
本能に逆らえない自分が……
「薫以外には毒舌だよな。 なぁ、お前は怖くないのか?どう頑張っても運命のオメガに逆らえないアルファの本能って奴」
そう尋ねると、六華は小さな肩を竦めて首をこてんと傾げて見せた。
「ごめんね、分からなくて」
その姿は、先日の無性の医者を思い出される。
フェロモンを感じることのない生活を想像してみたけれど、そんな異世界を思い浮かべる事が出来ずに諦めた。
オレは想像力はない方なんだよ。
「でもさぁ、もうちょっと優しくしてあげてよ、目の前でベタベタベタベタされて、気分悪いよ!喜蝶が悪いのに!薫は自分は空気なんだって泣いてたよ?」
「……確かに薫は空気だな」
そう言うオレにムッとした顔が向けられて、柔らかそうなほっぺたがまたまたぷうっと膨らむから、条件反射のようについそれを突いてしまう。
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