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青い正しい夢を見る
落ち穂拾い的な バース性のお話
しおりを挟むその問いの返事を聞いて、僕はおかしな態度を取らなかっただろうか?
──私も主人もベータだったから、娘がオメガって聞いた時は驚いたけど……
思い出したのは医者の言葉だ。
──親のどちらかがΩじゃないと、子供にΩは出ない
生物の授業を朧げに思い出しながら医者の説明を受けた時に聞いた話だった。
医者の話を元にして聞くならば、野村さんの娘がΩであるのは明らかに可笑しい話だ。
その疑問を……知ってはいけない事実を、野村さんに悟られなかっただろうか?
血液型だって、稀にあり得ない型が出る事もあると言うし、そう言う事もあるだろう。
まだまだわからない事ばかりだと医者も言っていたから、野村さんがそれに当てはまらない可能性がない訳じゃない。
そう言い聞かせて、意識を違う方に向けた。
後は……何を聞いたのだったか……
──初めての発情は、相性のいいαがいる時に起こりやすいんだよ
理由は、受精の関係らしいけど。
相性のいい相手の子供が欲しいから発情する……のかもしれない。らしい。そこはまだまだ未解決らしい。
それを思い出して、伊藤くんの匂いを思い出した。
潮風?
海の匂い?
海を渡った風の匂い?
いい匂いだった。
僕にはもう感じる事が出来ないけれど、いい匂いと感じたならば彼とは相性が良かったのかもしれない。
頸がちりちりするような、胸がふわふわとするような……そんな落ち着かなさを感じながら奥様の呼び声に急いで踵を翻した。
END.
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