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教えて!先生っ
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しおりを挟む念のために扉の横についているネームプレートを見上げると、そこには『瀬能』とだけ書かれている。
別にどっちがどっちってことはないけれど、今日はどっちか気になってしまって……経験値で言うならおじいちゃん先生の方がどう頑張っても多いだろうし、この事態にいい案は出してくれるんじゃないかなぁと思ったりもして……
首筋を撫でてちらりと後ろを見た。
笑顔の出鳳と凰珀。
その笑顔に押されるようにして診察室の扉に手をかけた。
「 失礼します。よろしくお願いします」
そう言って入った先には瀬能(新)の方が座っていた。
あー……若い方だった!
「はいこんにちは。どうぞお座りく だ さ 」
にこやかだった笑みがオレの後ろに視線が移るに従って消え、ついでに言葉も消えてしまった。
「 椅子をもう一つ持ってきてくれる?」
そう何事もなかったように看護師に言ってからこちらに向き直り、再びにっこりとした笑みを見せる。
「今日はー お相手が見つかったと言う事ですが 」
視線がオレの後ろに行って、左右に振れる。
言いたいことはよーっく分かる。
「 失礼ですが、どちらが?」
「「どっちも!」」
「ん んんっ」
詰まった言葉を咳で誤魔化し、瀬能は引き出しからハンドブックを取り出した。
使い込まれたそれについた付箋を頼りにページを捲り、あったあったとこちらに広げて見せてくれる。
そこにあるのは、何度も調べた番のことだ。
一人のΩに、ただ一人のα。
「番の確認ならば匂いを嗅げば解決します。ご存知だとは思いますが、オメガの首を噛んで番になれるのはただ一人だけで 」
「あの、コレを 」
言葉を遮ってからぐっと襟元を引っ張り、瀬能にも見やすいように首を捻った。
左側に残るクッキリとした歯型。
「 はい、番の痕ですね」
αに噛まれたΩの首の傷跡は番になった時に出来る独特な奇妙なもので、ケロイドとも陥没とも、攣れるような物とも違う見た目をしていた。
見慣れた人間ならば、それが番の痕かどうかなんて簡単にわかることだ。
「それで、こっちなんですけど」
右側を見せるように首を逸らして見せると、瀬能の切れ長な目が丸くなったのが分かった。
左右に、はっきりとした番の歯型。
ぱちぱちと瞬いてから、失礼しますと声をかけてそれに触れてきた瀬能は真剣な顔で、傷の周辺の皮膚を引っ張ったり触ってみたりして……
「 この二つの噛み跡だけは消えなかったんです」
他の噛み傷は綺麗に消えた。
「いや でも、一つついたら後から幾ら噛んでも受け入れないものですが……」
困惑を隠さないまま、瀬能はそう言って左右の噛み跡を見比べて眉間の皺を深くする。
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