OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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教えて!先生っ

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「違う  あの日、偶然見かけたせんせーはすごく匂いが漏れてて」

 「だから 」 と双子は言葉を区切ると、ぱちりと目を瞬いてそこに灯っていた光を消してしまって、浮かれていたのに妙に落ち着かない気持ちになって、胸を押さえた。

 小さな沈黙の間、二人はアイコンタクトでお互いを励まし合っているようだった。

「二人で後つけて……」
「お店に入ったんだ」
「お酒は飲まなかったよ!」
「でも、それで  謝らなきゃで」

 だんだん言葉が弱くなり、先ほどまで真っ直ぐにこちらを見ていた目には薄っすらと水の膜が張っている。
 バーのある場所は比較的安全な位置にあるとは言え飲み屋街で、オレが店に行った時間を考えても未成年が居ていいところではない。

「  そうだな。あんな時間に、学生が出歩いていい場所じゃないことはわかるな?今回はー……ちょっとアレだけど、タチの悪いのに絡まれたりとかもあるんだから、気をつけないとダメだ!  ただ、反省したならもういいよ。今後は大人になるまではダメだからな?」

 二人がオレの後をつけたことを怒るにしても、時間が空きすぎている。
 グダグダと長く怒るよりは注意程度にして、さっぱり終わらせた方がいいだろう。

「そのことも、なんだけど……」
「ごめんね、せんせー」
「俺たちやっちゃいけないことした」

 オレの知る限り、この二人に非はないはずだ。
 未成年なのにバーに入ったのは良くないだろうが、禁止している店ではないし、やってはいけないことではないだろう。

 そのことを反省しているのかと思ったが、表情を見ると深刻そうだ。

「  何を、したんだ?」

 勇気が出ないのか、またお互いに視線で会話している。

 その二人の間に立ち入れないような疎外感が不安を募って……

「な  い、言えないなら  」

 「もういい!」と突き放すような言葉を続けそうになって飲み込んだ。

 ただ、大人として接していいのか、教師として接していいのか……それとも、項を噛まれた相手として秘密は止めて欲しいと言えばいいのかわからなくて、とりあえず深呼吸を一つして気持ちを落ち着ける。

「  ま、待つから。ちゃんと先生に話して欲しい」

 癖で出た「先生」の言葉に思わず口を押え、

「ちが オレが知りたい。二人のこと何も知らないから、お前たちがオレに言ってくれたように、頭のてっぺんからつま先までちゃんとわかりたいって思うから、話せるなら話して欲しいし、聞けるならどんなくだらないことも一欠片も取り逃さないように聞きたい。凰珀と出鳳はオレのことを前から知ってたのかもしれないが、オレはそうじゃないから……」

 出鳳と凰珀は視線を合わせたまま小さく表情を変えて唇を噛み締め、意を決したように頷いた。


「「誘引フェロモン出した」」


 二人の言った単語を脳内で繰り返すと、胸がぎゅっと詰まったような苦しさに襲われて唇が震える。



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