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教えて!先生っ
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しおりを挟む「なんでそんな濃い匂いをつけてるのか聞いてもいーい?」
「だーめ!」
と、可愛らしく茶化してはみたが、このマスターは逃がしてくれそうにない。
一本目のボトルから、先程の客に一杯出してくれるように頼んで、何とか誤魔化せないかと思ったけれど無駄だった。
「 って、ことは、その双子と番っちゃった と?」
「いやいやいやいやいや、普通は一人しか噛めないでしょ?」
Ωの首の歯型は、番になった歯型以外はなぜだか痕が残らないようになっている。
最初に噛んだ相手しか、Ωは受け入れない。
「そうなんだけど、二人とも番だって言い張ってるんでしょ?おかしくなーい?」
そう、おかしい。
だからオレは、実は番っていないから二人とも匂った説と、片方が番だからもう片方がそれに合わせている説を思いついて観察していたのだけれど……
二人別々にオレの匂いに反応しているっぽいんだよね。
んで、さっきので、実は番っていないって言う説を立証しようとしたんだけれど、昼間のアレのせいで撃沈したっぽい。
がりがりと頭を掻いて、グラスを傾けた。転がる琥珀色の液体をぼんやりと見て、どうしたものかとヒタを見るもいつものなんとも形容しがたい微笑でこちらを見ているだけで、返事は貰えそうになかった。
ボトル三本入れたんだから、それぐらい相談に乗ってくれてもいいのに……と思うけれど、Ωが一人のαとしか番えないのは常識だし、未成年に手を出したのはオレが悪いし で八方手詰まりだ。
「とりあえず ご両親にご挨拶からかな」
覚悟を決めるしかないならばまずはそれだけれど。
「それとも退職願が先かなっ」
「カラスちゃん?」
「転職活動が先かなっ⁉」
「落ち着いて!」
「夜逃げが先かなっ⁉それとも掴まるのかなっ⁉」
「おぉい!」
「やだよーっ!手堅い職で家庭とか持たずにのんべんだらりと生きて行くって思ってたのにぃ‼」
どんどん嫌な考えへ向かうオレに額をぺしっと叩いて、ヒタは落ち着くようにと重ねて言ってきた。
全然痛くはなかったけれど、額に手を当てて小さく呻く。
「まず相手がはっきりしたのなら、とりあえず落ち着いて病院に一緒に行ったら?」
「へ?なんで?」
「妊娠していた時のこととか、番になってたらパートナーシップの申請するでしょ?その証明を病院で出してもらわないといけないし」
うっ ううっ とやはり呻くしかできない。
そんなことまで考えが回っていなかった。
高校二年生。
結婚は無理だけど、今のパートナーシップ制度を考えたらパートナーにはなれる。
子供が出来ていたら……そう言うのも考えなきゃなんだ……
もう一度手の中の琥珀色の液体に目を落とし、姉が妊娠中にアルコールを目の敵にしていたのを思い出した。
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