OMEGA-TUKATARU

Kokonuca.

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教えて!先生っ

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 黒い髪によく似合う黒い瞳、αらしい余裕のあるゆったりとした態度。

 それが二人分で圧巻だ。

 喋らせてもそうだけれど、黙っていたらますますどちらがどちらだか分からない。双子なのだから当然だろうに、それが不思議でじぃっと二人を見上げた。

「烏丸せんせーどうしたの?いい匂いさせて」
「めっちゃいい匂いさせてるよ?」

 小さく鼻を鳴らした二人がそうオレを揶揄うから、虎徹先生が間に入って「めっ」とたしなめてくれた。
 人の匂いを容易に嗅ぐことは失礼にあたる って言うのは、道徳の時間でも教える話だ。ただ実際は呼吸するだけで匂いって感じちゃうものだから、難しいところだよね。

「 ────って、匂う⁉︎」

 飛び上がりながら尋ね返したオレに、双子は怯んでこくこくと頭を下げて、肯定して見せる。

 この二人がαだと言うのはよく知っている。その二人がオレから匂いがするって言ってるんだから、これは決まっただろう!

 虎徹先生もそう思ったのか、こちらを見上げでにまりと笑って親指を立てた。

「結果オーライだけど、解決だね!」
「ありがとうございます!いやぁどうなるかと……」

 ほっとしたと同時に、授業開始前5分前のチャイムが鳴り響く。

「あっすみません!次は移動教室なんで準備がっ」

 どんぐり眼を更に大きく見開いてから、虎徹先生は会釈した後風のように走り去っていってしまった。
 あのスピードは止めるべきだったんだろうけど……今はそんなことどうでもいい、職員室のインスタントコーヒーでいいから乾杯して、拳を突き上げたい気分だ!

「虎徹先生、足はっや‼︎」
「びっくりだな!」

 オレは次の時間はないから急ぐことはないが、授業前チャイムが鳴ったのだから、この二人も急ぐべきだ。

「えーっと   」

 下の名前が思い出せず、諦めた。

「鷲見たちも授業だろ?早く行かないと   」

 ───と、襟を引っ張られてバランスが崩れた。

 年季の入った床にぶつかるっ と思ったけれど、ぽふんとした感触に抱き止められると同時に足を払われて、呆気なく床へと倒れ込んだ。

 でもそれも、温かい体の上だからか痛みは一切なくて……

「せんせー!違う違う!」

 故意に転ばされたとは言え人を下敷きにしてしまって、焦るオレに呑気な声が降ってくる。

「あの時のみたいに、:出鳳(いずほ)と  」
「   :凰珀(こはく)って呼んでくれなきゃ!」

 むぎゅむぎゅと温かい男二人に抱きしめられているのに、顔色が真っ青になる程血の気が下がるのがわかった。



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