217 / 801
教えて!先生っ
4
しおりを挟むおかしいよね?
水音がしてるのに隣で寝てるとかっ‼
「えっと……消えた二人と……楽しんじゃったの、かな?」
てへ と笑って見せるも、ヒタのアルカイックスマイルは消えない。
「どどど ど、どっちに噛まれたんだと思う?!」
「知らなーい」
ぴしっと額を弾かれてその痛みで突っ伏すると、長い溜息が頭の上で聞こえて……
「そんな事より、大丈夫なの?」
「何が?」
「何がって」
流石にアルカイックスマイルが消えて苦そうな表情だ。
「避妊とか」
……避妊⁉
は⁉
スツールを蹴り飛ばす勢いで立ち上がったせいか、ヒタはびっくりした顔をしていて、でも大きな音を立ててごめんとか謝る余裕がなかった。
避妊っ!
「ご ごめ オレ、病院行ってくる!」
真っ青になってそう言ったオレの態度ですべてを察したらしいヒタが手を振る。
「はぁい、また続報教えてね」
なんて軽い言葉で見送ってくれるけど、すぐに店内に戻って行かない所を見るとオレを心配してくれているのかもしれない。ちょっと離れた所で振り返ってみるとまだこちらを見てくれていて、小さく手を振ってから嘔吐下痢の時にお世話になった病院へと急いだ。
αとΩの発情期の完全コントロールを目標に掲げているつかたる市だけれど、本能に関係する事だからかどうなのか、やっぱり未だに完全コントロールと言うのは難しくて……
だからΩが受付で緊急避妊薬が欲しいと言えば優先的に診て貰えるシステムは、非常にありがたい。
待合も他の患者とは別で、人に会わないように極力気を遣ってくれる。
「 こんな風になってんだな」
知識として聞いたことはあったが、自ら体験するとそうすることの大事さが分かって……
改めて、自分の身に起きたことの大事さに鳩尾の辺りがぎゅっと痛んだ気がした。
「…………」
最優先で呼んでくれるはずだから、待ち時間なんてそんなにない筈なのにやけに長く感じて……一生懸命、ホテルの部屋にコンドームが落ちていなかったか思い出そうとするも、気が動転していたせいかそこは全く思い出せなかった。
ただ覚えているのは……
気持ち良さと、
横に眠る男の細いのに筋肉質な背中、
それから、やっぱりめちゃくちゃ気持ち良かった事……
あと、いい匂い
日向ぼっこしたような、ふわふわとした、温い匂い。
カラ と軽い音を立てて開いた扉に我に返ると、目が合った看護師が手招いてくれた。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる