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花はいっぱい
花はいっぱい 落ち穂拾い的な 六華
しおりを挟む「こーいーびーとー‼︎ほしーいーっ!可愛い!オメガのっ!黒髪でっ華奢なっ‼︎ちっさい!やっさしい!思いやりのある‼美人ならなお良し!」
やけ酒ならぬやけジュースを一気に飲み干してみるが、甘い物があまり好きではないせいで気持ち悪くなっただけだった。げほげほ言っているオレの背中を甲斐甲斐しく銀花が摩ってくれる が……気分は複雑だ。
「りっかより小さい子ってなかなかいないよ?」
「追い討ちかけないでよ!」
身長の悩みなんか考えたこともないような銀花に、このことに関しては何も言われたくない。
「父さんも昔は小さかったぞ?今もそんな……ガタイよくないし」
「父さんはワザと体重搾って華奢に見えるようにしてるって、知ってんだからな!」
「ん っ、そのうち、そのうち伸びるって」
「うーそーだー‼︎」
顔を見れば「本当のこと言ったら傷つくしな」と書いてある。
オレが、もう一人の父さんに似たのはわかってる。
小さくて、今にも消えてしまいそうな……儚いΩ。
そっちに似たから、オレはこんなにも小さくてヒョロヒョロで頼りなく見えるに違いない!
「いや、誰に似たっていうよりも…… 」
父さんの微妙そうな顔。
「何?」
「ん。いや、多分、マーキングされてる せいかな。良くも悪くも、アルファの匂いって影響が出るから」
「はぁぁぁぁ!?オレの周りにアルファなんていな あのバカ犬二匹!」
はっと仁と義のことを思いついて言ってみるけれど、父さんは首を振る。
「えっそれ以外にアルファなんて、寄ってこないよ?」
「そりゃそうだ」
そりゃそうだ?引っ掛かる物言いにぷくーっと頬を膨らませる。
何を隠されたのか……気になるけれど、簡単に教えてはくれないのはわかっている。
「いつの間にか僕が俺になったと思ったら……お年頃なんだなぁ」
ニヤニヤと父さんの笑いが止まらない。
別に悪いことじゃないし、いいんだけど……そう改めて言われると気恥ずかしくて、抱えた膝に顔を埋めた。
END.
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