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雪虫
雪虫 落ち穂拾い的な 4
しおりを挟むなんだかんだと文句を言いながらも、机の前に座って実験を待っているしずるを、「ちょろいな」の一言で済ましてしまう大神さんは鬼だ。
「まーしかし、あれだね、大の大人が三人顔突き合わせて、前途ある若者の脱童貞をどうしてやろうかって話してるのもシュールだね」
「先生は楽しんでいるでしょう」
「実に楽しいねぇ!」
しずるも不憫だ。
「もう成り行きに任せてやったらいいんじゃないでしょうか?」
「それで雪虫に何かあったらどうする」
「多かれ少なかれ、受ける方は負担ありますって」
「あいつ童貞だから絶対テクないぞ。傷つけたり、入らなかったりとか、やらかしそうな事をすべて予習させといた方が良くないか?」
「そこは雪虫も初めてですし、ごまかせますよ。お互い様でしょう」
「再度失敗したらどうするんだ。すごく落ち込んでたと報告を受けたぞ」
「なんでそこで大神くんがやきもきしてるのー」
「そこは大神さんがどんと構えて慰めてやったらどうですか?」
「俺が?慰める?」
今まで見た中で一番深いんじゃなかろうかと言う眉間の皺が、怖い。
「慰める……」
豪快なようでいて、自分が引っかかった所はずっと後引く人だから、当分難しい顔して慰める方法を考えるのかもしれない。
唸り始めた大神を置いて、瀬能は小瓶の乗った盆を持ち上げた。
「まぁまぁ、とりあえず実験やっちゃおうか」
END.
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