56 / 801
雪虫
雪虫 落ち穂拾い的な 1
しおりを挟む「何をニヤニヤして 」
煙草を吸って戻ると、先生とセキがやけに近づいてニヤニヤしている。
苛立ちのままに引き離そうかとも思ったが、セキの視線が手の中のタブレットにあるのに気がついた。
それには、ここの監視カメラの画像が映っているはずだ。
「青春だよー」
「青春ですねー」
二人してニヤニヤと覗いているのは雪虫を寝かせてある部屋だ。
「 いい趣味だな」
馬鹿らしくなってもう一本吸って来ようと踵を返す。
「だって見て御覧よー!デコちゅーだよデコちゅー!」
「わぁぁぁぁぁぁぁいいなぁぁぁぁぁ!」
「初っ端にアフターピル用意させた誰かさんと違って可愛いじゃないかー!」
ぐっと喉に何かがつっかえて咽せた。
「大丈夫ですか?」
いがらっぽい喉をなんとかしようとして咳払いをした。
飛んできて背中をさするセキを、先生がやはりニヤニヤと見ている。
「 セキ」
「はい?」
応えて見上げたセキの額に、ちょんと唇をつける。
「へっ 」
「羨ましかったんだろう?」
「 っ 、はい!」
先生がこちらをニヤニヤと見ている気配だけがする。柄にもないことをしたとは思うが、目をキラキラさせて画面を覗き込むセキに、つい釣られた。
「ありがとうございます」
目の縁を赤らめて嬉しそうに飛びついてくるセキを反射的に抱き締めると、先生がますますニヤニヤしているようだったが、あえて見ずにセキの背中を押した。
「風呂に入るぞ」
「すぐ用意します!背中流しますね!」
セキは嬉しそうに飛び跳ねて俺の後を追いかけてきた。
END.
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。




男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる