とある画家と少年の譚

Kokonuca.

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宍の襲

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 翠也の拒絶、
 多恵の不義、

 すべてを忘れたくてるりに縋ったと言うのに、組み敷かれて白い喉を仰け反らせたるりの姿はいつかの翠也を思い出させる。

 あの時、彼は快楽に堕ちながらも拒絶した。

 俺が与える気持ち良さに虜になっていたのではないのか? 快楽の対極にあるような、苦悶の表情をして……

「卯太朗?」

 根元まですっかり飲み込んだるりは、俺がぼんやりと考えごとをしているのに気づいたようで、気を引こうと覗き込んでくる。

「おれの中、気持ちよくない?」

 きゅっと寄ったるりの表情に、また翠也の表情が重なった。
 気持ち良くなりたいわけじゃない と言った翠也の表情は本当に苦し気で、苦痛を耐える人間のそれだった。

 その言葉は、嘘だと思う。

 現に彼の体は快楽による変化を見せていたし、乱れて、蜜を零し、喘ぎ、腰をくねらせていた。

 満足……できなかっただけだろうか?

「卯太朗!」

 強い呼びかけと共に、背中にどっと衝撃を受けた。
 はっと見上げると冴え冴えとした蒼い月のような双眸が俺を見下ろし、自覚のないままの迫力でこちらを見下ろしている。
 
「……るり」
 
 俺と目が合うとほっとしたように笑って、るりは腰を揺らし始めた。

「ぁっ……ぅんっ! ぁ、あっあ……」
 
 思考を奪うかのような動きと巧みな締めつけに、じん……と痺れる感覚が腰を重怠くさせる。
 腰を擦りつけるような動きに、頭で考えるよりも前にもっとと貪欲に腰を突きあげた。

「ひゃ、あっ」

 るりを下から犯し、震えて立ちあがり振動に翻弄される健気なそこを握り込む。
 先端から垂れるぬるぬるとした感触に任せてそれを上下に扱くと、規則的に動いていた腰が揺らぎ、爪先が堪えるかのように丸まる。

「  あぅ、んっ! うた、ろっだめっ! それっいじっちゃ  あ、ひ……んっ」

 意地悪く先端ばかりをぬるぬると苛め、内を擦るように腰を動かすと耐え切れないるりの口から弱音が漏れた。

「やぁっ……だめっだ、めっ!」

 懇願を聞き入れずに攻め立て続けると、ぼろりとるりの目から涙が溢れ伝う。

「るり、るり」
「ふぅ? んっ」

 水の欠片のような目がこちらを向く。

「辛いか? 苦しいか?」

 俺の問いかけに、るりは一瞬正気に戻ったような顔をした。
 それが何を意味するのか読み取ることはできなかったが、まるで俺が馬鹿らしいことを言ったかのように、ぷっと噴き出す。

 けらけらと笑うその様子は、平素ならば馬鹿にして……と怒り出したかもしれない。

 それほど、あっけらかんとした笑いだった。

「卯太朗、見て」

 そう言うと、るりは小さな子供に教え諭すように俺の手に触れる。


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