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濡羽と黄金
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しおりを挟む「あっあ、ぁっ、ひっ だめ、こわ……っうた、ろさ……っ怖 い」
涙を流しながら訴えるけれど、翠也の起立ははしたないほどに濡れて光っている。
迫りくる快楽に乗り切れず、素直に身を任せてしまう方法もわからない様は初々しくて……
彼が俺以外の誰も知らないのだと主張する。
この体に俺以外の誰も触れたことがないと言う事実が、優越感として胸を満たす。
「……ぃやっ苦し ぁ、ふぅ、ぅ……んっんんー……」
ぎゅっと後孔が締まった。
「 た、すけぇ っ」
限界まで張り詰めたものが痛々しいほど涎を垂らし、跳ねる体に合わせてひくりひくりと震える。
射精することも叶わないままに強烈な快感を与えられて、翠也の目が虚ろに彷徨う。
「う……た……」
弱々しく掠れた声に堪らず、彼の前に触れた。
「────っ!」
背が撓る。
根元から先端までぐじゅりと絞ってやった瞬間、声を出すこともなく翠也は俺の手の中に吐精した。
気を遣ったために呆けてしまった翠也を膝に乗せて抱き締める。
弱く早い調子で呼吸を繰り返す彼を眺め、黒く艶のある烏の濡羽色の髪に口づけた。
細い金で作られた髪も確かに美しくはあったが……
けれど、どうして他に目を向けてしまったのか不思議に思えるほど、汗を含んでしっとりとした色気を放つ翠也は美しかった。
体を繋げた次に日に急に余所余所しくされては、色事に疎い翠也はどれほど不安だっただろうか?
俺のしでかしてしまったことに巻き込んだ形で悲しませてしまったことが、申し訳なくてきつく唇を噛んだ。
「大丈夫かい?」
目にかかりそうな髪の房をそっと払ってやると、双眸がふらりと揺れてから俺を見る。
「……う、たろう さん」
「意地悪し過ぎたね、可愛くてつい」
さらりと頬を撫でると、まだ敏感に感触を拾ってしまうのか大袈裟なほどに体を震わせた。
それが堪らなく可愛らしくて、抱き締めた腕に力を込める。
そうするとやっと今がわかったのか翠也ははっと身じろぎ、俺に抱き上げられているのがわかるとふわりと幸せそうに笑った。
笑って、くれた。
ぐっと詰まった胸に涙が滲みそうになる。
「……いつもの、卯太朗さんですね」
「え?」
くすりと自嘲気味に笑いを漏らした翠也は続けた。
「 僕は馬鹿です。あんな本を鵜呑みにして……一度、体を許してしまったので、飽きられてしまったのかと……」
自嘲を止めないまま翠也は肩をすくめて頬を摺り寄せてくる。
どきり と、心臓が跳ねたことを翠也は気づいただろうか?
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