64 / 192
るり
9
しおりを挟む「養うのは簡単だ」
暑いのか服を脱ぎ捨て、隆々とした肉体を晒しながら玄上は悟ったかのような雰囲気を見せて肩をすくめる。
「囲うならな? でも、考えてもみろよ」
隠す理由がないとばかりに裸体で胡坐を組むと、崩れるのではとはらはらする勢いで壁に体を預けた。
「それで俺等の尊厳は保たれているか?」
「……そんな、一緒にするな」
言い返しはしたが、声は酷く弱い。
「差なんかねぇよ」
吐き捨てるような言葉はいつもの玄上の雰囲気からはかけ離れ、後援者に飼われるしかなかった自分自身を見詰めているかのようでもあった。
「……だが」
「それに、俺がいつまで世話を焼いてやれるとも限らんしな」
そう言葉が出ると言うことは、るりのことは並木の未亡人には内緒なのだと言うことなんだろう。
お抱えの画家……いや、情夫が与り知らぬところで男を囲っていたなんてのは、愉快な話ではないだろうから……
そうなった時、切り捨てられるのはるりなのか、それとも玄上なのか。
画家としての玄上を手放すのは馬鹿だと思うが、そこに男女の情が絡んでしまえばわからない。
綱渡りなことをしているのだと非難しそうになったが、それがそのままそっくり自分に返ってくる言葉でもあるのだと思い至って唇を引き結ぶ。
南川氏に、翠也とのことが露見したとしたら……?
俺が失うのは後ろ盾と……翠也だ。
「卯太朗、難しい顔をするな。後ろ向きなところは治らんなぁ」
馬鹿なことを言った と玄上は、ははと大きく笑ってから顎をしゃくった。
「るり、頼むわ」
今度は何も答えず、薄い唇を引き結んだまま俺の服に手を伸ばす。
恥ずかしいことに、先程までのるりの痴態でそこは変化の兆しを見せているため、思わず隠すように身を屈める。
けれどこれでは自分の股間がどうなっているかを教えているようなもので……
がっしりとした手に腕を取られてあっという間に畳に倒れ込んだ。
「わっ」
「るり、剥いてしまえ」
俺と玄上では腕の太さが段違いだ。
懸命に腕を振るうもびくともせず、逆に引っ張り上げられて玄上に羽交い絞めにされてしまう。
がむしゃらに蹴り上げようとした脚も押さえ込まれてしまえば、もう俺に抵抗する隙は一切ない。
翠也のものとはまた違う細さを持った指が、下穿きから硬さを持つそれを引きずり出す。
「や 洒落にならないか ──っ」
ちゅう っと先端に吸い付かれて言葉が途絶える。
猫が乳を舐めるように丁寧に根元から先端へ、そして唾液をまぶしながら柔らかな先をなんの躊躇もなく咥内に含む。
るりは猫のようにこちらを見上げると、舌になぞられて硬くなった俺自身を嘲笑うように眉を上げた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる