とある画家と少年の譚

Kokonuca.

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透る雫

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「う……卯太朗さんっ! どうして  っ」

 彼の顔はこれ以上ないほどの紅さで……

「初々しい色だね、自慰はしないのかい?」
「  ────っ」

 俺の問いに答える前にぼろりと大きな雫がまなじりから零れ落ち、そのことに関しての拙さを物語る。

「こうやって……」

 硬い塊の周りにある皮をゆっくりと上下させると、翠也の背中が小さくしなった。

「や、止め……」

 精一杯の抵抗なのか、顔を背けて拒否するも腰はぎこちないながらも俺の手に擦りつけるように揺らめく。

「ここは素直だよ?」
「っ……ぅ、んっ」

 空気に晒されても萎えることのないそこを擦り続け、時折その杭の下にぶらさがる袋も刺激してやると、翠也の体が小さく跳ねて快感を逃そうと震える。

 透明な雫を溜めた先端に指先をやり、くぷ と引き攣る穴から粘つく液体を掬い取ってこねくるようにして弄ぶ。

「翠也くん」

 名を呼ぶと、背けられていた視線がこちらに向いた。

「な  に  」

 指を濡らす液体に、畏怖の目を向けるのを確認してからそれを口に入れる。

「やっ汚いです! 止めてっ や……やめ……っ」

 翠也は首を振ると堰を切ったようにしゃくり上げ、泣いて懇願を始めた。
 それを承知で、翠也の味のする苦みのある液体を舐めるのを止める気はない。

「も……お願い、何か……何か不興を買ったのならば、……あや、謝り  ますからっ」

 ひくりひくりと上がる嗚咽を宥めながら繰り返すさまに、胸が詰まって思わず細い体を抱き締める。
 小刻みに震える姿が、彼が受けた衝撃を物語るようだった。

「すみ、  すみませ……、もうしわけ……っ」

 繰り返す言葉に、そこまで追い詰めてしまった罪悪感にさすがにつきりと胸が痛む。

「……君は悪くないよ、怖がらせたね」
 
 涙の溢れ続ける双眸を手で覆い、

「力を抜いててごらん」

 赤子をあやすような声音で言うと、翠也は従順に手を握って頷き返してくれる。

 いや、頷き返してくれたように見えただけだ。
 今の彼にはそんな余裕も、俺の言葉に従えるほどの信頼もないだろう。

 萎む気配のないそこに伸ばした手を、ただ達するためだけに動かす。

 すぐにぐちぐちと音を出し始めたことを揶揄るようなこともせず、一心に腕を動かして彼を高めていく。

「  ────ふぅ、ふ  ぁ、っ怖……っや! ぁっ  」

 馴れていないことが明白な、快楽を追いきれないたどたどしさ。


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