極彩牢獄 ーThe prison of a kaleidoscopeー

Kokonuca.

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 大きく開いた脚の間に陣取る汰紀に見られながら、侑紀は隠す事も出来ないままに手を上下に動かし続ける。

 ニチャ…

 ニチャ…

 逸らされない視線が手の動きに煽られて震えるモノへと注がれる。

「…っく……そっ」

 悪態を吐きながら先端を弄ってやれば、ぶるりと体が震えて白い物が指の間から零れた。

「っ……ぁ、はぁ…、これでいいだろ!?」
「随分淡泊だね?」
「マスかきなんて、んなもんだろっ!!」

 べたりと手を汚すそれが気持ち悪くて拭いたかったが、この牢の中にティッシュなんて気の利いた物が無いのは先刻承知だ。

「おい、タオルか何か持ってこいよ」
「え?どうして?」
「どうしてって…分かるだろ?コレ!」

 嫌がらせのために顔の前に突き付けてやる。

 慌てて避けることを想像してほくそ笑んでいた侑紀だったが、汰紀がぺろりとソレを舐めた瞬間、固まった。

「旨いね、兄貴も舐めたら?」




「…は?」

 手を口元に押され、初めて声が漏れる。
 汰紀の言った言葉を飲み込み、理解した侑紀が手を振り払う。

「っんな事出来るかよっ!!」
「出来る出来ないじゃない、舐めたら?って言ったんだよ」

 ぐぃっと、もう一度精液の絡む手を口元にやられ、反射的に顔を背けた。

 特有の鼻に突く臭いに、自身の出した物だと分かっていても呪いたくなる。

「ほら」

 腕に、力が籠る。

「や、止め…」

 押し返そうとするも、余裕の笑みの中にレナと言う人質の存在を思い出す。

「ほら」

 もう一度ぐっと押され、侑紀はバランスを失って後ろへと倒れ込んだ。
 のし掛かるように汰紀が覆い被さり、手を掴んで唇に擦り付ける。

「ぶ…っ……ぃ、う……、っ…」

 抉じ入れられた指は青臭く、苦味と、妙な感触にまみれていて…

 胃が縮まり、口に酸っぱい物が上がってくる。
 自分の精液を舐めている事実に、侑紀は叫び出しそうだった。

「うっ…止め、ろ…っ」
「ダメ、綺麗にして」

 振り払いたかったが、時折汰紀がレナの名前を口に出しては脅し、侑紀は目尻に涙が溜まるのを感じながら舌を動かした。



「っ…う…、これ、で…いいか?」

 口一杯に広がる不味さに、涙どころか鼻水まで垂れ始め、情けなさに俯いて問い掛ける。

「……まぁ、いいや。顔上げてくれる?」

 は?と返しながらも、立ち上がった汰紀を追うように顔を上げてしまう。

「俺のも出すから、受け止めてくれる?」

 小さな子供のようにズルズルと鼻を啜りながら、理解しきれずに首を傾げる侑紀の顔の前で、汰紀は完勃ちしたモノをスラックスの中から引きずり出す。

「おま、え…何?言って……」

 すぐ目の前で、弟とは言え他人のモノを突き付けられて、逃げることも出来ずに驚きのままにソレを見た。

 ぐずりと鼻を啜る。


「は…、兄貴の…泣き顔って そそるね?」



 もう一度、侑紀の喉からは?と問い掛ける音が漏れる。



「良いね その顔」

 ぽとりと、先走りが頬に落ちて我に返る。

「ちょ…止め……っ」

 何度目かになるか分からない制止も、冷たく見下ろす弟の視線に遮られてしまう。


 ぐちり


 自身をしごく手から水音を出す弟を見上げた。

「…下、向かない」

 上がる息を押さえて言い、汰紀の手が髪を鷲掴む。

「ぃ…っ!!」

 目前で動く手は勢いを増していき、見える亀頭の割れ目がくぱくぱと動いた瞬間、


 ぴしゃり


 そう音が聞こえた。

 異様に熱く思える粘液が、額から顎に掛けて飛び散る。

「ぅう…」

 髪を掴む手に力を込められたのも、汰紀の小さな呻き声も、放心する侑紀には届かなかった。


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