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人生は振り回されてなんぼ

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 ぽよんと言う表現では間に合わない、ばいんと言う感触に弾かれてベッドから落ちそうになるのを寸でで堪える。
 こんなにも嬉しくないラッキースケベはないと呻きながらなんとかベッドにしがみついたところで、カティノのかかと落としを食らって結局床に転がる羽目になった。

「あ゛ー……なんなんだよこれ……」
 

 
 あの日から数日。

 実は進展がなかったりする。
 と、言うのもオレをオークション会場から連れ出した時の騒動が収まっていないのだと言う。

 ドコかのダレかが景気よく爆発魔法を使って吹き飛ばしたせいで、世間では反乱かそれとも悪の組織でも暗躍しているんじゃないかと持ちきりだ。
 そして裏家業の方は裏家業の方で、オークション会場を吹っ飛ばしたばかりか最高値の商品も連れ去られたと言うこともあり、血眼でオレ達を探しているのだ と。

「はは! あんな程度の低い防御結界で私を止められるはずがないだろう? はは!」

 と自慢げに話してくれるが……

 本来の計画では隙を見てこっそりと抜け出すはずだったのに……とラセルトは諦めたように言った。
 カティノのその突発的な行動のおかげで、ほとぼりが冷めるまでこの隠れ家からオレとカティノは出ていけないと言う状態だ。
 本来ならオレを迎え入れた後は仲間と合流してマリーン殿下にご対面 と言う筋書きだったらしく、唯一外界を行き来できるラセルトはとりあえず食料を買い込んでくると出かけていった。

 振り返り振り返り出かけていく姿が、この二人を残していって大丈夫だろうかと言う表情だったのは言うまでもない。

 かくして、この小屋にはオレとカティノだけになったわけだが、小さなキッチンと一部屋だけのこの小屋は、目覚めた時がそうだったようにベッドが一つだけしかなく、寝具の余分も存在しない。
 固いカウチで丸まって寝るのはごめんだ と言う意見が一致した結果、紆余曲折を経て一緒に寝ようと言う話で落ち着きはしたのだが……美女と同衾なんてドキドキイベントにもかかわらずに、一切そんな気にならないのはカティノの寝相のせいだ。

 広くはないベッドに小さく丸まって寝ていると思った次の瞬間には長い手足を伸ばしてオレを突き飛ばしてくる。
 ただの突きなら構わないが、何せオレよりずいぶん大きいせいか無意識の行動だって力強くて……すでにオレの体は痣だらけだ。

 本来なら、半裸でしどけなく眠っている姿を目の前におろおろとするべきなんだろうけれど……

 連日の寝不足に負けてもういいやとばかりに床の上にうずくまった。
 



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