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おまけ 三船くんのお願い1
しおりを挟む「あの お願いが、あって 」
なんとなく機嫌がよさそうだったので、思い切って言ってみた。普段言い出さないことだからか、佐伯は怪訝そうだ。
外しかけていたネクタイを手で弄び、返事を考えている。
「 なんだ?」
拒否されるかと思っていたので、問いかける返事が返ってきて驚いた。
「その、今日、 今日は こ、恋人みたいに……優しく抱いてもらえませんか?」
眇められた目はどう言った反応なのか……怖くてつい視線を逸らしてしまった僕にはわからない。
胸の前でぎゅっと手を握りしめて待つが返事はなく、沈黙に耐え切れなくてそろそろと顔を上げる。
そこで目に入ったのは、左手の薬指から指輪を引き抜く姿で……
ソレをサイドテーブルに置く姿を、信じられない思いで見詰めた。
「大丈夫なのか?」
「え 何が 」
問いかけたくせに返事も待たずに佐伯は僕の手を取ると、溜め息を吐きながらそこに口づけてきて。
びっくりして手を引く間もなく横抱きに抱き上げられ……
「ぶちょ っ」
上げようとした声は耳元で囁かれた「黙って」の言葉に押し込められた。
鼓膜を擽った低い声にどっと心臓が鳴る。
声が、違う!
いつもより、低いような、掠れたような、
「ぅ、あ 」
ゾクゾクと体が粟立つ。
いつも押し倒されるばかりのベッドにも、壊れ物のように降ろされて……
この扱いは 恥ずかしい!
掴むのではなく頬に手を添えて、頂を擽るようなキスをされて、いつも強引に入ってくる舌を出迎えるために薄く唇を開けても、スルーされてこそばゆい感じに啄まれる。
「ん んんっ」
天井の光を受けて微かに色を見せる佐伯の瞳が柔らかなハシバミ色で、胸がきゅっと苦しくなった。
指輪の痕を残した指が一つボタンを外すごとに、宥めるようにキスをされて、変な汗が噴き出す。
「あの、あの 服、もう」
いっそのこと自分で脱いでしまおうとボタンに手をかけると、そっと取られて恋人繋ぎにされた。
指の間に部長の温かな温もりがあるのが不思議で、耳の中が心臓の音で満ちてうるさい。
いつもの貪るような愛撫じゃなくて、産毛を撫でるような触り方に対してやはり羞恥を感じて、涙目で逃げようとずり上がる。
ベッドのヘッドボードに縋りつくようにして逃げるも、腕に囲い込まれて二進も三進もいかなくなった。
頬ずりをされ、剥かれた肩に手が落ちて、熱い掌がこちらの体を温めてくれて擽ったい。
「 っ ぅ、 」
赤くなった頬にキスされて、顎に、首筋に、鎖骨に、どんどん下に降りていく口づけは臍にまで到達して……
足を抱えられて引き寄せられて。
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