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しおりを挟む腹の奥が震える。
小さな痙攣が伝わったように、指先が壁を震えて落ちていく。
「や、ぁ っン 」
無理矢理のはずなのに、押し入ってきた牡に喜んでいるのは、熱い下半身を見ればわかる。
こんな酷い抱き方をされても反応してしまうくらい僕は、佐伯のことを……
「 んっ! ふ、か 」
揺さぶられて視界が回る。
辛うじて壁に凭れかかっているが、ともすれば床に崩れ落ちそうだ。
「深 っ ぃ、やぁ 」
ついていけない激しさで呼吸もままならず、なんとか首を振ると涙がぽとぽとと足元に落ちる。
咄嗟に拭おうとした腕を取られ一際乱暴に奥を突かれた瞬間、腹の奥に熱いモノが触れた。
「 ────ぁ あ」
ゾクゾクと鳥肌が立つ。
初めて感じるその感触に、僕自身も達していたらしい。涙の痕の横に垂れる白濁液に息を詰めた。
「ナカだけでイクのか」
囁き声は掠れて、
「 こん、な。ひど ……っ!?」
ぐぃっと右足を持ち上げられ、その勢いのまま体を引っ張られた。
縋りついていた壁の反対側には申し訳程度の姿見があり……
「酷い? 見ろ」
「 っ」
ナカの佐伯を体が勝手に締め付けたのが分かった。
鏡の中に映るオレは、なんてだらしない顔をしているのか……
欲情で濁った目とだらんと開いた唇、赤い顔はどれだけ興奮しているのは知らせるには十分だった。
右足を持つ手に力が籠められると皮膚が引っ張られ、こぽりとナカに出されたモノが溢れて太腿に垂れ始める。
誰が、誰を犯して、何をされているのか、
知らしめるには効果的で。
「 ぅっ 」
激しく打つ脈が体中の血を急がせる。
見てられなくて目を逸らそうとしたのに、佐伯はそれを許さなかった。
「見ろ と、言った」
声は物理的に何かさせることなんてできないはずなのに、その強制力に抗えないのはどうしてなのか。
睫毛が震えると涙が押し出されて頬を伝う。
見るのが嫌なのに、鏡の中のオレと視線が合った。
「ぅ っいやぁ 、こんなの、は やめ 」
否を唱えているはずなのに、結合部分はひくりひくりと喜んでいて、それは僕の言葉は嘘と告げてしまっている。
────唇の右の端が歪んでいる。
笑っているのだと朦朧とした意識で思い、反射的にその唇に吸い付く。貪られすぎて腫れぼったいせいか、擦れると熱くて飛び上がりそうになる。
ナカが熱くて、ローションとは違うぬめりが肌と肌の間で擦られて粘つく音が耳を打つ。
水っぽい肌の打つ音、上がる嬌声と、シーツに落ちる涙の音。
噛みつくような乱暴な愛撫に乳首は尖りっぱなしで……
尻を上げて獣のように組み伏せられて喜んでいる自分を見られて、胸が苦しくて辛いはずなのに、その痛みが甘やかに思えて仕方がなかった。
シーツに沈んだ腕は指先だけが辛うじて動いた。
体は痛みと、背後からしっかりと抱きしめられているせい動けない。
苦痛と、違和感。
僕を抱きしめている腕の先に、指輪を見つけてどきりとした。
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