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しおりを挟む「二枚まとめて置くとダメだな」
次回の際はこう言ったことがないように違う場所に置くべきなんだと思いながら、佐伯がシャワーから出てこないうちにと部屋に滑り込んだ。
目的の物は案の定、同じサイドテーブルで見つけた。
手の中の物と入れ替えて振り返ると同時に、シャワーの止まる音がして……
なぜか、きゅっと首を締められた感覚がして、緩いはずのシャツ襟を掴んだ。
「 何をしている」
急いで部屋を出る前に、風呂場から出た佐伯がこちらに気づいて動きを止めた。
先程まで体を繋げていたなんて痕跡のない姿に眩暈がしそうだった。
「すみませ 鍵を間違えて、しまって だから……」
両手で持ったカードキーに縋り、佐伯の向こうにあるドアへと駆け出す。
狭いビジネスホテルの通路とも言えないそこは狭く、擦れ違おうとした僕の喉が佐伯の体の熱にひくりと引き攣る。
先程までの興奮はまだ完全には冷めておらず、佐伯の体の熱に引きずられそうになって首を振った。
「失礼し ま ────っ」
壁に胸をしたたかに打ち付けた。
吸い込む息が邪魔をされ、吸いきれなかった空気を求めて唇が小さく動く。
「 ぶ、ちょ あの、申し訳ござ っ」
鷲掴まれた髪や、壁に勢いよくぶつけた部分が痛みを訴える。
「戻っていろと言った」
「で、 です から 戻るために、カードを……っ」
体を押さえていた手がスウェットを乱暴に引きずり下ろし、柔らかさのない臀部を引っ張った。
先程まで佐伯のモノで苛まれていたソコは、充血しているのか攣れるような感覚を伝えてくる。
指が、とん とん と引くつくその場所をノックした。
「 あ、の」
「まだ十分濡れているな」
二本の指で広げるようにされると、行為の前に使ったローションの残滓が伝う感触がした。
ソレを絡めながら、気まぐれな動きで指先が入り口を行き来する。
「 な にを 」
埋火としてくすぶっていた感覚が、ざわざわとそこから這い上がってくる気がした。
「や あの 」
あの に続く言葉が、擦りつけられる熱に遮られて消えた。
強引に押し入ってくるソレは、僕の抵抗なんて無視して……
ぬめりの足りないソコは無茶なことをされているはずなのに従順過ぎる素直さで、灼けるような杭を飲み込んでいく。
主張する熱さがゆっくりと、しかし強引に支配しようと突き上げてくる。
「 ぃっ!! 部長っ ゴムを、ぁの、せめて つけ っ」
ぐじゅりと粘液の擦れる音とと、肌と肌がぶつかってぱしんと小さくなる音が耳に響いてくる。
「あ ぁ、そんなっ 」
隔てるもののない初めての感触に、全身にやけどをした時のような鳥肌が立つ。
熱くてたまらないのに冷えて体中が粟立った。
温かさの感じ方が違う、
ぬめり方が違う、
体温が、近い。
尻の肉を左右に広げられて押し進められれば、佐伯より小さな僕の体はつま先立ちになってしまい、最奥までの侵入をあっさりと許してしまった。
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