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しおりを挟む盛り上がった雫を膝で擂り潰し、佐伯の足の間に膝をついた。
そこから見上げると、書類が邪魔でどう言った表情をしているのか確認できない。
室内灯で落ちた影が書類を黒く染めているだけで、今どのような感情を持っているのか何もわからない。
それが不安で……
小さく出たしゃくりを飲み込みながら、口で佐伯のスウェットをずらす。
止める声も上がらず、だからと言って正解だとも言ってもらえないままに下着もずらしてソコに顔を近づけた。
牡のニオイに躊躇をするも、もう自分に残された手段はない。
塩気を舌先に感じる。
唇で柔らかく食んで行くと、質量を増したソレに喉の奥を突かれて呻き声が出た。
けれど、最初の嘔吐感もなく喉の奥まで迎え入れることができるのは、それだけ繰り返しているからだ。
先端の苦みを感じる水滴も躊躇なく飲み込める。
「 っ」
紙を捲る音はいまだに止まない。
はっきりと欲望を表していると言うのに、佐伯の動きに変化はなかった。
こちらを見ない目が悔しくて……切なくて……
コンドームを開けて起立に宛がう。
初めての時には失敗したソレも、もう何の問題もなくできるようになってしまった。
「っ ふ、ぅ ン 、んんっ」
佐伯のソレに跨り、腰を下ろす動作に眉間に皺が寄る。
勝手に勃たせて、
勝手に入れる。
こんなのはただの自慰の延長で、自分がする必要も自分でする必要もない。
情けなくて、
惨めで、
見降ろした佐伯の視線が、小林のような熱を持ってこちらを見ないのはわかりきっているのに、望んでしまうのはどうしてなのか。
怖いところもあるけれど、乱暴な所作の中にも僕を気遣ってくれているのがわかる小林。
彼ならきっと、セックスをしようとしている時に家族に電話をしていたり、仕事だから勝手にやっているように なんてことは、絶対言わない。
尊重してくれる。
優しくしてくれる。
いろいろな話合いをする。
何より、僕を好きになってくれている。
佐伯が僕に好意を持っているのかどうか、わからない。
僕が勝手に抱かれに来ているだけだから……
何らかの想いがあるからこうやって抱いてくれるのだと思うのだけれど……
この虚しさは、きっとずっと、埋まらない。
ぱち ぱち
頬を軽く叩かれて意識が浮上した。
物を考えすぎてぼんやりとしてしまっていたのだと、佐伯の険しい表情を見て気づいた。
佐伯のソレを宛がったままのアナが引くついて、ぷちゅ と小さな水音が響く。
「他所事とは余裕だな」
「 ち、が 」
いつの間にかテーブルに戻されている書類と佐伯の顔を交互に見やり、小さく項垂れた。
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攻めは女性に対する扱いが酷いキャラクターです。そうしたキャラクターに対して、不快になる可能性がある場合はご遠慮ください。
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タイトル前に『!』がある場合、アルファポリスさんの『投稿ガイドライン』に当てはまるR指定(暴力/性表現)描写や、程度に関わらずイジメ描写が入ります。ご注意ください。
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
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