棘の鳥籠

Kokonuca.

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 触れた瞬間、舐めなくとも扱けば良かったんじゃないかとも思ったが、それが正しいような気がした。


 熱と、牡のニオイ。


 先端を舐める時も、口の中に迎え入れた時も佐伯は何も言わなかった。

 舐め方なんか知らない。

 ただ、口に含んで丁寧に舌を這わせるしかできない。

 体積の増すソレは口の中を押し、喉の奥を突き上げてくる。
 舌で感じるその感触が思い描いていたよりも滑らかだとか、柔らかい感触がするだとか、脳の隅っこで小さく驚いていた。

「んっ  」

 喉の奥を突かれて嘔吐感に微かに呻く。
 そんなところに何かが触れるなんて、普通の生活では体験したことがなかったから。

「 っ」

 佐伯の先端から苦い雫を舐めとり、吐き気で滲んだ涙を拭う。

「こ、ん   つけますね」

 コンドームと言う言葉が恥ずかしくてつっかえた。
 けれど佐伯はそんなこと気にもしていない風で頷く。

 立ち上がったソレは凶悪で……

 前回の出張の時よりも、想像の中よりも、僕の恐怖心を煽ってくる。

「  ぅ、ん 。しつれ、い します」

 薄い膜に覆われたソレに跨り、ゆっくりと腰を下ろす。

 震える手で体を支えることも困難だし、初めて他人を受け入れる緊張で歯がカチカチと音を立てていた。
 顔色を見ることができたなら、真っ青だったかもしれない。

 つ  と頬を流れる涙に後押しされるように、指で広げた個所を宛がう。

「ふ、ぅ   ぅ……っ 」

 弄ったところでせいぜい指を使う程度で、それ以上のモノなんて怖くて使ったことはなかった。
 そこに自分の体以外のモノが触れるのが初めてで……

 ナカから垂れたローションの力を借りても、入る気配はない。

「ぅ  すみませ っ」

 パタパタと涙が佐伯の腹の上に落ちた時、大きな手が肩を掴んであっと言う間にシーツに押し倒された。

「あっ!」
「何をしている」

 ナニ……なんて、他に何もない。

 ソレを入れようとしているだけだ。

「すみ ません。うま、くできなくて 」

 ひっ ひっ としゃくりあげる合間にする謝罪が情けなくて……

「慣れてないのか」

 ぷちゅりと入り口が擦れる水音がして、反射的に逃げを打った腰を熱い手が鷲掴む。

「やっ すみま……っ」

 圧しかかる体重に体が勝手に逃げる。
 うまい力の逃し方も分からないままに、佐伯の体に縋りついた。

「すみ っう…… ぁ  」
「きつい」

 ぐぐっと押し込まれる熱から逃げようがなくて、拓かれる恐怖に全身が固まる。

 息も吸えない。
 涙は止まらない。

 体を割られる破瓜の痛みは想像以上で……

「こんなきついものなのか」

 平坦な声音に小さく首を振ってでしか答えられない。



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