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放課後の教室で…
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しおりを挟む治療を終え、二人して病院の椅子に並んで座る。
威の両親はもちろんの事、葉人の母親も駆けつける事が出来ず二人は教師が手続きを行うのをぼんやりと見ていた。
「四針…か」
「え?」
「さっき、縫ったって」
「威もだろ?威の方が酷いって…」
威は緩く首を振ると胸を押さえる。
「俺のは傷が浅かったから………葉、ごめんな」
ぽつり…と落とされた言葉に、意味が分からずに首を振った。
粛々とした昼下がりの病院は静かで、威は自然と声を潜めたように続ける。
「俺が、卑怯な事ばっかりしてるから」
「……」
「お前の為って思っても、結局全部…葉に皺寄せが行ったり、傷つけたり………」
何をしてるんだろう…
そう呻く声が、頭を抱え込んだ腕の中から漏れ聞こえる。
突っ伏した威は普段のイメージからは程遠く、葉人は掛ける声を見つける事が出来ないままそっとその手に手を重ねた。
染み入る温もりに…
柔らかな感触に…
傍に寄り添う鼓動に押されるように、威は顔を上げた。
縁の赤くなった、頼りなげな目が縋るように葉人を見つめる。
「ごめん、な」
そう繰り返す威に、葉人は手の力を込めて返す事しかできなかった。
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