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豹変
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しおりを挟む「た…け……?」
しがみついた服から微かに漂ってきた煙草臭に顔を上げた。
不機嫌そうな険しい表情の司郎がこちらを見下ろし、ゆっくりと肩を押し返す。
「具合は?」
「しろ…せ…」
「声が嗄れたのはしかたねぇな」
決して優しくはない手付きで、司郎が頭を撫でる。
「…良かった…」
寄せられた唇からその一言が漏れたのを聞いた途端、ぽとん…と葉人の掌に雫が落ちた。
カチカチ…と歯が震えて音を立てる。
「せん…ぱ…」
大きな手で葉人の頬をすっぽりと包むと、司郎はこつり…と額を合わせる。
「なんか着れそうなもんと、飴でも買ってきてやるから待ってられるか?」
その言葉に葉人は頷く事をせずに視線を逸らす。
「………タケルか?」
「…」
「……おい」
司郎が開いたままのドアに向かって声を掛けると、所在なげな風情の威が視線を落としたままで姿を見せた。
「………」
「買い物に行ってくるから、ついててやれ」
「…いえ」
項垂れたまま小さく首を振る。
「俺がいってきますからっ!!」
ぎゅっと引き結んだ唇が微かに震え、それを隠すように威は走り出してしまった。
「た…っ…け……」
ひゅう…と喉が鳴る。
「戸、閉めるぞ」
葉人の伸ばした手を握り込み、司郎はそう言って車のドアを引っ張る。
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