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空白
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しおりを挟むベッドの上に横たわり、ぼんやりと机の上の時計を見つめる。
秒針は確かに動いていたが、時間自体は進んでないように思われた。
天井を見つめ、また時計を見る。
「…」
手の中の携帯は、鳴らない。
諦めて、ぽとんと枕元に放り出す。
またメールすると言った司郎の言葉が、耳の奥に甦る。
家に帰ってから、ずっとそれを待っていた。
ヴヴヴヴヴ…
はっとして携帯に手を伸ばし、受信したメールを見ると一言だけが書かれている。
『体は?』
司郎らしい簡潔すぎるメールを見た途端、目頭に涙が溜まっていくのを感じて慌て拭う。
やっと来たメールに、心細さを拭われた気がして唇の端に笑みが浮かんだ。
軽くなったように感じる気持ちを抱きながら、返事を書こうと言葉を選んでいる内に、指先が震え始めた。
「…ぇ…?……ぁ?」
ふつ…ふつ…と可笑しさが込み上げ、気付いた時には携帯を放り出してクスクスと笑い転げていた。
「く…っくは…あははは!」
傷ついた秘部がずきりと痛み、葉人はびくりと体を強張らせたが、それでも尚笑い続ける。
「………っ……オレ、何やってんだ……は…ははは…」
はぁ…っと息を吐ききり、放り出した携帯の画面を見る。
アドレス登録もされてないメールがそこには映っていた。
「……あいつがオレにしたことのせいで…………オレは…」
威に組み敷かれ、快楽に染まった悠哉の微笑を思い出す。
威への気持ちに気づいたあの日に、司郎達に襲われなければ、悠哉の代わりに自分があの場所にいたのか…と、自問自答する。
傷つけることもなく、威ならば優しくガラス細工を扱うように包み込んでくれるだろうと確信があった。
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