放課後教室

アミューズメントパーク

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「コーヒーならあるが、飲むか？」 

　ヒリヒリと痛む目元を拭いながら、首を振る。 
　今は何も喉を通りそうになかった。 

　耳の奥に、悠哉の声とそれに応える威の声が蘇り、眉間に皺を寄せる。 

「…っ」 

　胸が締め付けられ、思わず体を掻き抱く。 

　先日、威もこんな気持ちを抱えながらうずくまっていたのかと思うと、しっかりと握りしめていた手が震えて力が抜けてしまいそうだった。 
　顔を上げると、光彦が暖かな眼差しを向けてくれている。 

「先生…抱きついてもいいですか？」 
「もちろん」 

　微笑みながら広げられた腕の中に飛び付く。 
　温かな体温が与えてくれる安堵感にすがり付き、固く目を閉じた。 

　威に自分は相応しくないと思いつつも、威の隣に誰も立って欲しくないと言う思いが頭の中をぐるぐると回る。 
　光彦と言う安全圏にいながら、威にそれを望む身勝手さが胸の奥に重石のように沈み、罪悪感を居座らせた。 

「話して楽になることか？」 
「……いえ…」 

　光彦に、ショックを受けた出来事を話すことはできない。 

「そうか」 

　けれど、どこか悟ったかのような光彦の声を、葉人は気づかないふりをした。