82 / 349
映像
3
しおりを挟むいつまでもしゃくり上げる葉人の背中を、光彦は辛抱強く繰り返し繰り返し優しく撫で続けた。
「っ…ぅ………なんでオレ…っ……あんなことされて…脅されなきゃ…ぅ…ならない…のかわかんな…っ…」
「…ごめんな……無理に聞いたな…」
誰に言うでもなく繰り返す葉人の言葉に、何度もうなずく。
やがて部屋の中に薄暗さが満ちる頃、泣き腫らした顔で葉人は顔を上げた。
「…ぅぅー……」
「すごい顔になってるぞ」
「…だっ…だって……ぅ…」
光彦は、落ち着いたとは言えまだ時折しゃくり上げる葉人に笑いかけ、何か食べたいものがあるか尋ねた。
「……うどん…食べたいです…」
「あったかい?冷たい?」
「…ぅ…あったかい…」
葉人の細い体を一度ぎゅっと抱き締めると、コンビニへと買い物に出掛けていった。
窓から、駐車場で車に乗り込む光彦に小さく手を振ると、こちらを見て微かに笑顔を作った。
「あっ……母さんに連絡…」
母に連絡を…と携帯を取り出すと、着信が何件も残っていた。
──威からの…
着信履歴を埋め尽くすその名前に、胸の痛みを感じて目を閉じ、自問自答する。
光彦に告げたことを、威に話せるか…?
「……………」
頼る頼らないや、信用するしないではなく、ただ威に知られたくなかった。
「………むりだ…」
ぐっと唇を噛み締めて母へのメールを送ると、携帯を放り投げてベッドへと倒れ込む。
鼻先を、微かに光彦の匂いがよぎったのに気づいて目を閉じた。
「………先生…まだかな…」
0
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
若旦那からの甘い誘惑
すいかちゃん
BL
使用人として、大きな屋敷で長年奉公してきた忠志。ある日、若旦那が1人で淫らな事をしているのを見てしまう。おまけに、その口からは自身の名が・・・。やがて、若旦那の縁談がまとまる。婚礼前夜。雨宿りをした納屋で、忠志は若旦那から1度だけでいいと甘く誘惑される。いけないとわかっていながら、忠志はその柔肌に指を・・・。
身分差で、誘い受けの話です。
第二話「雨宿りの秘密」
新婚の誠一郎は、妻に隠れて使用人の忠志と関係を続ける。
雨の夜だけの関係。だが、忠志は次第に独占欲に駆られ・・・。
冒頭は、誠一郎の妻の視点から始まります。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる