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第十一話「休息の町ペンタグラムにて」
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「でも、嫌われ者の種族とパーティを組むなんて嫌じゃない……?」
「別に、クラリスはクラリスだ。種族だろうがなんだろうが関係ない」
「でも……」
「それにな、俺だって種族は人間だ。パーティを好んで組む奴なんてそうそう居ないから、クラリスが居てくれると助かる」
若返ってもう一度、冒険ができる。そのおかげで、クラリスとパーティを組める。
もう一度ダンジョンに潜って、あのゴーレムとの戦いをやり直せる。
おっさんになってから、こんなにも心が躍ったのは初めてかもしれないな……。
「私と居ると、周りから変な目で見られるかも……、それでもいいの?」
「それは前からだし慣れてるさ」
大剣使いなんて周りからバカにされるだけだったしな……。
あ、そういえば俺の大剣はまだ八階層に……。まぁ、また今度、クラリスと取りに行けばいいか。
「ほんとにいいの……?」
「ああ。むしろ、俺の方が頼みたいくらいだ」
クラリスの顔を見つめながら、握手をしようと手を差し出す。
「えへへ……じゃぁ、組んであげるっ!」
「ちょっ……その恰好で抱きつくな……」
「なんならこのままシてもいいのよ……?」
「アイシャがあそこで倒れてるし、部屋の扉が開いたまんまじゃ雰囲気が出ないだろ……」
まだ気絶しているアイシャを、クラリスと二人で見つめる。
「なら、外に出す? あ、別に中でもいいよ?」
わざと意味深な言い方をするクラリスに、
「あのなぁ……」
と注意を挟む。
「クラリス、お前はもっと他の奴と関わった方がいい。そうすれば、俺よりも良い奴がきっと見つかるさ」
クラリスは元々、他の冒険者と関わらない。
だから、初めて冒険者として関わったのが俺だったらしく、やけに懐かれてしまっている。
こんな可愛い金髪美少女、俺よりも良い奴が見つかるに決まってるだろ……。
女の子の大事な初めてを、こんなおっさんに渡すなんてもったいないったらありゃしねぇ……。
「むぅ……前もそうやってはぐらかしたぁ……!」
「さぁ、とにかく服を着てくれ。アイシャを起こして集合だ」
俺は立ち上がって周りに置かれていた装備品を手にする。
「ふぅ……仕方ないわね、よいしょっと……」
シーツを肩から滑らせたクラリスが着替えだす。
「……」
小ぶりでも、ちゃんと胸はあるのか……。
「ん……?」
チラッとこちらを見たクラリスと目が合ってしまった……。
「ビオリスなら見てもいいのよ? なんなら触ってもいいよ?」
「あ、いや……遠慮しておくよ……」
「ふふっ、大きくなったら挟んであげるからね♡」
「なにをだよ……」
「えっと、ビオリスの……ビオリスを?」
「はいはい、大人になったらな…………」
着替え中のクラリスを残し、アイシャを拾い上げる。
「もー! そうやって子ども扱いするのよくないっ! 私の方がほんとは年上で」
「んじゃ、俺はジャックとバレッタの部屋に寄ってからシズクの所に行く。着替え終わったら来てくれ」
「あ、あわわ! わ、私も一緒に行くから待って待って!」
あせあせと、慌てて服を着替えるクラリス。
普通にしていれば子どもみたいなもんなんだよなぁ……。
見た目は金髪の可愛らしい少女。その中身は、最上級冒険者の実力を持つサキュパイア。
ゴーレム討伐の編成には参加していなかったが、十五年前の大行進の時は、町を守るためにしっかりと動いていた。
嫌われていても、誰かが困っていたら助ける優しい少女……。
普段のクラリスは尖っていても、中身は強くて優しい冒険者であることに違いはない。
「AAAランクの冒険者クラリスとパーティを組めるなんて、冒険者冥利に尽きるな……」
自然とそんな言葉が口から漏れていた。
「え、今なんて言っ…………あ、ちょっと待って!」
「レディなら、男が居る前で着替えてくれるなよ」
――――――パタン。
…………。
「はぁ……」
もう少しクラリスが成長していたら、理性の鎖が千切れるところだった……。
「――――ジャック、バレッタ、起きてるか?」
ジャックとバレッタの部屋をノックし、起きていた二人と合流。
そうこうしているうちに後ろからクラリスが到着。
五人揃ってシズクの待つ部屋へと、ようやく全員が集合した。
「――――んじゃ、アイシャも起きたし話をしようか」
アイシャたちから洞窟から出たあとの話を聞き、改めてクラリスへとお礼を言う。
そのあと、宿屋で飯を食べ終えて、俺たちはエアリエルの町まで帰還したのだった。
――――――第一章、完――――――
ここまでお読みくださりありがとうございました!
カクヨムへの投稿からこちらにコピーしていたのですが、第二章からは外部URLの方で投稿していきたいと思います。。。
作者都合で申し訳ありません……。
第二章も引き続き執筆しておりますので、お読みくださると幸いです!
「別に、クラリスはクラリスだ。種族だろうがなんだろうが関係ない」
「でも……」
「それにな、俺だって種族は人間だ。パーティを好んで組む奴なんてそうそう居ないから、クラリスが居てくれると助かる」
若返ってもう一度、冒険ができる。そのおかげで、クラリスとパーティを組める。
もう一度ダンジョンに潜って、あのゴーレムとの戦いをやり直せる。
おっさんになってから、こんなにも心が躍ったのは初めてかもしれないな……。
「私と居ると、周りから変な目で見られるかも……、それでもいいの?」
「それは前からだし慣れてるさ」
大剣使いなんて周りからバカにされるだけだったしな……。
あ、そういえば俺の大剣はまだ八階層に……。まぁ、また今度、クラリスと取りに行けばいいか。
「ほんとにいいの……?」
「ああ。むしろ、俺の方が頼みたいくらいだ」
クラリスの顔を見つめながら、握手をしようと手を差し出す。
「えへへ……じゃぁ、組んであげるっ!」
「ちょっ……その恰好で抱きつくな……」
「なんならこのままシてもいいのよ……?」
「アイシャがあそこで倒れてるし、部屋の扉が開いたまんまじゃ雰囲気が出ないだろ……」
まだ気絶しているアイシャを、クラリスと二人で見つめる。
「なら、外に出す? あ、別に中でもいいよ?」
わざと意味深な言い方をするクラリスに、
「あのなぁ……」
と注意を挟む。
「クラリス、お前はもっと他の奴と関わった方がいい。そうすれば、俺よりも良い奴がきっと見つかるさ」
クラリスは元々、他の冒険者と関わらない。
だから、初めて冒険者として関わったのが俺だったらしく、やけに懐かれてしまっている。
こんな可愛い金髪美少女、俺よりも良い奴が見つかるに決まってるだろ……。
女の子の大事な初めてを、こんなおっさんに渡すなんてもったいないったらありゃしねぇ……。
「むぅ……前もそうやってはぐらかしたぁ……!」
「さぁ、とにかく服を着てくれ。アイシャを起こして集合だ」
俺は立ち上がって周りに置かれていた装備品を手にする。
「ふぅ……仕方ないわね、よいしょっと……」
シーツを肩から滑らせたクラリスが着替えだす。
「……」
小ぶりでも、ちゃんと胸はあるのか……。
「ん……?」
チラッとこちらを見たクラリスと目が合ってしまった……。
「ビオリスなら見てもいいのよ? なんなら触ってもいいよ?」
「あ、いや……遠慮しておくよ……」
「ふふっ、大きくなったら挟んであげるからね♡」
「なにをだよ……」
「えっと、ビオリスの……ビオリスを?」
「はいはい、大人になったらな…………」
着替え中のクラリスを残し、アイシャを拾い上げる。
「もー! そうやって子ども扱いするのよくないっ! 私の方がほんとは年上で」
「んじゃ、俺はジャックとバレッタの部屋に寄ってからシズクの所に行く。着替え終わったら来てくれ」
「あ、あわわ! わ、私も一緒に行くから待って待って!」
あせあせと、慌てて服を着替えるクラリス。
普通にしていれば子どもみたいなもんなんだよなぁ……。
見た目は金髪の可愛らしい少女。その中身は、最上級冒険者の実力を持つサキュパイア。
ゴーレム討伐の編成には参加していなかったが、十五年前の大行進の時は、町を守るためにしっかりと動いていた。
嫌われていても、誰かが困っていたら助ける優しい少女……。
普段のクラリスは尖っていても、中身は強くて優しい冒険者であることに違いはない。
「AAAランクの冒険者クラリスとパーティを組めるなんて、冒険者冥利に尽きるな……」
自然とそんな言葉が口から漏れていた。
「え、今なんて言っ…………あ、ちょっと待って!」
「レディなら、男が居る前で着替えてくれるなよ」
――――――パタン。
…………。
「はぁ……」
もう少しクラリスが成長していたら、理性の鎖が千切れるところだった……。
「――――ジャック、バレッタ、起きてるか?」
ジャックとバレッタの部屋をノックし、起きていた二人と合流。
そうこうしているうちに後ろからクラリスが到着。
五人揃ってシズクの待つ部屋へと、ようやく全員が集合した。
「――――んじゃ、アイシャも起きたし話をしようか」
アイシャたちから洞窟から出たあとの話を聞き、改めてクラリスへとお礼を言う。
そのあと、宿屋で飯を食べ終えて、俺たちはエアリエルの町まで帰還したのだった。
――――――第一章、完――――――
ここまでお読みくださりありがとうございました!
カクヨムへの投稿からこちらにコピーしていたのですが、第二章からは外部URLの方で投稿していきたいと思います。。。
作者都合で申し訳ありません……。
第二章も引き続き執筆しておりますので、お読みくださると幸いです!
応援ありがとうございます!
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クレスとキングが主人公にジャックの護衛と長期育成を頼む事自体が間違ってるよね。
護衛しなきゃいけない位なら冒険者なんてやらせるなよ(汗)
感想ありがとうございます!(*>_<)
間違いなくその通りなのです(汗)
ただ、かわいい子には旅をさせろ精神と親心との狭間で、ビオリスさんがその役目になってしまいました……(;>_<)「危ないやつは行くな」と言いたいところなのですが、旧友に頼まれると断りづらいのです……