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第八話「はっきりさせておきたい上下関係」
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「で、でもね、アイシャちゃん……、ギルドに登録した日とか、Cランクになったこととか考えたら……すごい、と思うよ……?」
シズクよ、ナイスフォローだ。
このままアイシャへ追撃しよう。
「ごほん……。そもそも俺はサラマンダーの討伐までできる。ここまで来るのに時間はかからないさ」
「サ、サラマンダーを討伐っ⁉」
「で、でも……サラマンダーは八階層だから……Aランク冒険者しか、行けないです、よ……?」
「そ、そうよ! そんなのありえないもん!」
二人とも思ったより驚いているな。シズクまでアイシャ側についてしまった。
うーむ……、この後の任務もあるし、できれば俺がリーダーを務めたい……。
パーティを組むにあたり、リーダーは決めておかなきゃならない。
アイシャはこの間の戦闘を踏まえてリーダーにするのは却下。シズクも、モンスターや対人戦で優柔不断な行動が出れば危険だ。
なんとか、二人よりも決定権を持っておきたいんだがな……。
サラマンダーを倒せるって言えばどうにかなると思ったが、見通しが甘かったか……。
「なに迷ってるのか知らないけど、あんたがサラマンダーを討伐したっていう証拠を出しなさいよ! 証拠を!」
証拠ねぇ……。
若返ってから八階層に行けるわけもないし、家にはあるかもしれな―――――――
「あ」
「「……?」」
「あるぞ、証拠」
「「えっ?」」
確か、サカマキと遭遇した時の分がバッグに入れっぱなしだったはずだ。
俺は腰のバッグに手を突っ込み物色した。
「……おお、あったあった。ほら、サラマンダーの爪だ」
取り出したサラマンダーの爪を二人に渡す。
赤黒く光るサラマンダーの爪はアクセサリーとしても高く売れる。冒険者なら、武器や防具に溶かすことで火耐性を上げられる高価な素材だ。
「なっ……ほ、ほんとにサラマンダーの爪じゃんか……!」
「す、すごい……!」
二人の確認が終わり、アイシャからサラマンダーの爪を手渡される。
「これで分かってくれたか?」
「あのさ……、君って本当に何者なの……?」
「何者って聞かれると困るんだが…………」
なんて言えばいいんだろか。元おっさん? 若返った冒険者?
やる気もないままダンジョンに行って、モンスターにしてやられた冒険者か……。
「まぁ、言ってしまえば落ちぶれ冒険者の二週目ってところかな」
フフッ……。
自分で言ってて笑えてくる。
ただ単にモンスターに年齢を巻き戻されただけの人間のおっさんでしかない。
多少、腕力の低下はあったにしても、こうして二度目の冒険者生活が送れる。
おまけに、目の前には可愛い娘さんたち。
俺としてはありがたい限りだ。
「言ってる意味がよく分かんないんだけど……」
「う、うん……」
二人が困惑している。
おっと、余韻に浸ってる場合じゃないな……。
早いこと軌道修正するとしよう。
「まぁとにかくだ。時間が分からない以上、先に相手の居場所を調査、探索するのは当たり前で――――」
「あ、あの……!」
ダンジョンでの時間感覚、それに対する歩み方を説明する途中、シズクに遮られた。
「どうしたんだシズク?」
「あの、時間ならこれで……分かります……けど……」
首元にかけられたネックレスを取り出すシズク。
和服の中から……つまり、たわわな胸の内側から、円盤状のアイテムが現れた。
た、谷間に埋もれて見えなかっただと……。
「なっ……ななっ……」
アイシャには一生できない芸当に、アイシャ自身が一番悔しそうにしていた。
「ん、なんだそれは?」
「これはその、時間を特定できるアイテム……です……」
「え…………」
え、なにそれ……。そんなアイテム知らないんだが……。
「タイムチェックっていう、冒険者なら誰でも知ってる必須アイテムよ。知らないの?」
「…………」
し、知らなかった……。
「ちょっと見せてくれ」
「え、あ、あのっ……ふぇっ⁉」
シズクの着けているペンダントを見つめると、丸い円の中をカチカチと音を立てて針が動いていた。
「これはどうやって動いてるんだ?」
純粋な問いかけに答えてくれたのは、シズクの隣で腕組みをするアイシャだった。
「動力源は冒険者の魔法の力よ。肌身離さず着けておけば、いつでも時間が分かるの、そんなことも知らないの?」
「へぇ~、これで時間が分かるのか。最近は便利なもんがあるんだなぁ……へぇ~……」
「あ、あの……シュバルツ君……?」
「ああ、すまない。もうちょっとだけ見せてくれ」
「そ、その……ちがくて……。シュヴァルツ君の息が……その……肌に当たってて……」
「うん…………?」
息が肌に?
「……あ」
アイテムに夢中になり過ぎて、色白の艶やかなシズクの谷間が目の前に……。
シズクよ、ナイスフォローだ。
このままアイシャへ追撃しよう。
「ごほん……。そもそも俺はサラマンダーの討伐までできる。ここまで来るのに時間はかからないさ」
「サ、サラマンダーを討伐っ⁉」
「で、でも……サラマンダーは八階層だから……Aランク冒険者しか、行けないです、よ……?」
「そ、そうよ! そんなのありえないもん!」
二人とも思ったより驚いているな。シズクまでアイシャ側についてしまった。
うーむ……、この後の任務もあるし、できれば俺がリーダーを務めたい……。
パーティを組むにあたり、リーダーは決めておかなきゃならない。
アイシャはこの間の戦闘を踏まえてリーダーにするのは却下。シズクも、モンスターや対人戦で優柔不断な行動が出れば危険だ。
なんとか、二人よりも決定権を持っておきたいんだがな……。
サラマンダーを倒せるって言えばどうにかなると思ったが、見通しが甘かったか……。
「なに迷ってるのか知らないけど、あんたがサラマンダーを討伐したっていう証拠を出しなさいよ! 証拠を!」
証拠ねぇ……。
若返ってから八階層に行けるわけもないし、家にはあるかもしれな―――――――
「あ」
「「……?」」
「あるぞ、証拠」
「「えっ?」」
確か、サカマキと遭遇した時の分がバッグに入れっぱなしだったはずだ。
俺は腰のバッグに手を突っ込み物色した。
「……おお、あったあった。ほら、サラマンダーの爪だ」
取り出したサラマンダーの爪を二人に渡す。
赤黒く光るサラマンダーの爪はアクセサリーとしても高く売れる。冒険者なら、武器や防具に溶かすことで火耐性を上げられる高価な素材だ。
「なっ……ほ、ほんとにサラマンダーの爪じゃんか……!」
「す、すごい……!」
二人の確認が終わり、アイシャからサラマンダーの爪を手渡される。
「これで分かってくれたか?」
「あのさ……、君って本当に何者なの……?」
「何者って聞かれると困るんだが…………」
なんて言えばいいんだろか。元おっさん? 若返った冒険者?
やる気もないままダンジョンに行って、モンスターにしてやられた冒険者か……。
「まぁ、言ってしまえば落ちぶれ冒険者の二週目ってところかな」
フフッ……。
自分で言ってて笑えてくる。
ただ単にモンスターに年齢を巻き戻されただけの人間のおっさんでしかない。
多少、腕力の低下はあったにしても、こうして二度目の冒険者生活が送れる。
おまけに、目の前には可愛い娘さんたち。
俺としてはありがたい限りだ。
「言ってる意味がよく分かんないんだけど……」
「う、うん……」
二人が困惑している。
おっと、余韻に浸ってる場合じゃないな……。
早いこと軌道修正するとしよう。
「まぁとにかくだ。時間が分からない以上、先に相手の居場所を調査、探索するのは当たり前で――――」
「あ、あの……!」
ダンジョンでの時間感覚、それに対する歩み方を説明する途中、シズクに遮られた。
「どうしたんだシズク?」
「あの、時間ならこれで……分かります……けど……」
首元にかけられたネックレスを取り出すシズク。
和服の中から……つまり、たわわな胸の内側から、円盤状のアイテムが現れた。
た、谷間に埋もれて見えなかっただと……。
「なっ……ななっ……」
アイシャには一生できない芸当に、アイシャ自身が一番悔しそうにしていた。
「ん、なんだそれは?」
「これはその、時間を特定できるアイテム……です……」
「え…………」
え、なにそれ……。そんなアイテム知らないんだが……。
「タイムチェックっていう、冒険者なら誰でも知ってる必須アイテムよ。知らないの?」
「…………」
し、知らなかった……。
「ちょっと見せてくれ」
「え、あ、あのっ……ふぇっ⁉」
シズクの着けているペンダントを見つめると、丸い円の中をカチカチと音を立てて針が動いていた。
「これはどうやって動いてるんだ?」
純粋な問いかけに答えてくれたのは、シズクの隣で腕組みをするアイシャだった。
「動力源は冒険者の魔法の力よ。肌身離さず着けておけば、いつでも時間が分かるの、そんなことも知らないの?」
「へぇ~、これで時間が分かるのか。最近は便利なもんがあるんだなぁ……へぇ~……」
「あ、あの……シュバルツ君……?」
「ああ、すまない。もうちょっとだけ見せてくれ」
「そ、その……ちがくて……。シュヴァルツ君の息が……その……肌に当たってて……」
「うん…………?」
息が肌に?
「……あ」
アイテムに夢中になり過ぎて、色白の艶やかなシズクの谷間が目の前に……。
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