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第六話「彩香のバレーサークル入部問題」彩香side story

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 城川先輩が俯きながらゆらゆら揺れて立ち上がる。

「彩香さん、彼氏居るの……?」

 下を向いてて表情見えないけど、声が暗くてヤンデレの彼女みたいになってる……。
 城川先輩が黒髪Cカップ先輩を押しのけて、ガシッと私の肩を掴んだ。

「ひぃっ……!」
 思わず怖くて声が漏れた。
 俯いたままだから顔が見えなくて怖いよ……。

「彩香さん……」
「は、はひっ!」

 このままじゃ殺されちゃう……城川先輩に殺されちゃうっ!

「彼氏と私たち、どっちが大事なのかな……」
「え、えーっとですね……」

 なぜそこでバレーを引き合いに出さないぃ……。

 バンッ!
「ひゃうっ……!」

 叩かれたロッカーにビックリした……。

「どうなのかなぁ、柊さん……?」

 黒髪Cカップ先輩が圧を……圧をかけていらっしゃるではありませんか……。胸に圧ないのに……。

「どうなの、彩香さん……」
「つ、付き合ったばっかりなので、その、か、彼氏の方が大事ですっ!」

 私なに言ってんだぁああ……。
 よく分からない自分の言い訳に恥ずかしくてほっぺが熱い……。

「彩香さん、そんなに男が大事なの……?」
「は、はい……」
「どのくらい大事に思っているの……?」

 どのくらいって……少なくとも彼氏を彩芽だと思えば世界一。

「世界で一番ですね!」
「なっ……なんですって……」

 城川先輩の可愛い顔が引きつっている。その隣で黒髪Cカップ先輩が赤面していた。

「じゃ、じゃあお願いがあるの……」

 城川先輩の口元が動く。
 ごくり……。

「な、なんでしょうか……」
「彩香さんの彼氏をここに連れて来てください! 彩香さんがそこまで言う相手なら、この目で見てみたいわ!」
「え、えぇっ⁉」
「今日は、私と百合ちゃんしかココに来ないからお願い♪」

 黒髪Cカップ先輩の下の名前は百合だったか……。
 いや、そんなことよりも。

「ちょっと待ってください! いくらなんでも彼氏を呼ぶって言うのはちょっと……」
「彩香さんのことが大事なら、きっと来てくれるわ! 呼んでちょうだい!」

 城川先輩の目がメラメラと燃えてるけど、居ない者をどう呼べと……。

「あ、あのー、先輩?」
「なにかしら?」
「すぐに呼んで来るので家まで帰っていいですか?」

 一旦この場を離れて冷静になりたい……彩芽を抱きしめてさわさわして落ち着きたい……。

「え、まさか既に同棲しているの⁉」
「ま、まぁ、そうなりますね……」

 彩芽とならね……。

「なっ、なん、だとっ……!」

 私の言葉に一番反応していたのは百合先輩だった。

「そ、そんな……若い男と女が一つ屋根の下でなんて……柊さん、貴方まさか……」

 恥ずかしそうに顔を押さえる百合先輩になぜか私までテンパってしまう。

「え、いや、そんな! いくら一つ屋根の下だからって言ってもそんな事までは!」

 いくら可愛くて大好きでもキスとかは出来ない! それは違う!

「な、なら、どこまでヤッたのか教えなさいよっ!」

 顔真っ赤にしながらどこまでやったとか聞かれても……。

「え、えっと、一緒にお風呂入ったり」
「お風呂ぉッ⁉」

「添い寝したり」
「添い寝ッ⁉」
「あとは、抱きついたり寝顔撮ったりコスプレさせたり……」

 あと彩芽になにしてたかな……?

「ひ、柊さん!」
「ん?」

 なぜか二人とも顔を真っ赤にしている。

「あ、貴方はなんて……なんてハレンチな……!」

 指差ししてくる百合先輩。
 大好きな妹にこれくらいは当然じゃないのかな?


 ――彩香と先輩たちとの間には、とてつもなく深い溝が生まれていく。

「一緒にってことは、その……は、裸でお風呂に……⁉」
「お風呂なんですから裸は当たり前だと思いますけど……?」
「は、はわぁ……」

 城川先輩がまた沈んでいった。
 一体なにをそんなに赤面しているのか……。

「ひ、柊さんんん!」
「はいっ!」

 両肩を掴まれて百合先輩と向かい合う形に……。

「き、君の彼氏のアレは大きいのか!」

 顔を真っ赤にして聞いてくる百合先輩。

「アレ……?」

 ああ、胸のことかな。

「いや、かなり小さいですね。慎ましやというか、むしろ無いような……」
「そ、そんなに小さいのか⁉」
「そりゃもう、ちょっとだけふにゅっと掴めるくらいしかないですよー」
「ふ、、ふにゅっ⁉ つ、掴む⁉」
「まぁ、私が栄養を全部吸い取っちゃったせいなのか……あははー……」

 だが、それがいい。それでいい! 

「え、栄養を吸い取るってそんな……つまり……」
「いやぁ、私も揉んだり色々と試してはいるんですけど、中々大きくならなくて……毎回、そのこと言うと怒るんですよねー、あははー」
「も、揉んだっ……色々って……ぶふっ……」
「ちょ! 先輩!」

 突如、鼻血を吹きだして倒れる百合先輩っ。

「わ、私にはまだ早かった……」
「せ、先輩⁉ 先パーイ!」
「ぐふっ……」

 鼻血を流して幸せそうな顔をした百合先輩と、その隣では頭から湯気を出して全身真っ赤に染まる城川先輩がっ!
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