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ロイ
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目覚めと共に尻の違和感に気づく。
いつ、浴室を出たのか記憶がない。だが俺の意思と反した欲求は消えて、腹も熱くはない。
体のだるさに耐えて寝返ると寝台横に頭が見えた。
乱れた黒い髪が動かずにそこにいた。
『孔は痛むか?』
俺の起きた気配を感じたのかグレンは心で尋ねた。
「…一晩そこにいたのか?」
『痛むのか?…赤く…腫れていた』
「寝台に戻った記憶がない。お前…俺の意識がないのに抱き続けたのか?」
寄りかかっている大きな体がわずかに揺れた。
『…気持ちが…よかった…殿下の中は…』
「ふ…そうか…女の中はもっといいと思うがな」
黒い髪に手を伸ばして指で摘まむ。
「グレン…」
昨夜のことは忘れろと言うつもりだった。だが、あの呪いはまた俺を襲うのではないか?それならば忘れろと言えない。
「加減できず…指を噛んだ…棚の中に黄色い蓋の軟膏がある」
今は引いている欲求…それはなぜか…
『塗った…殿下の腕にも』
自身の腕を見ると包帯が巻かれていた。
俺は自ら陰茎を欲した。そんなことを言った記憶がある。
「お前の子種を腹に受けて…熱は引いた…」
それが条件か?
欲求を収める条件が子種を受けること…?
『本来は油を使わないと孔が裂ける』
「ん…呪いのせいで手間が省けたか…女の出す潤いを湯が補ったか…どっちだろうな」
金のない者は香油ではなく油を使うんだな。それは知らなかった。
『…我を忘れて腰を強く掴んだ…痕が残った』
「そうか、気にするな。見るのはお前だけだ」
誰かに知られることはない。
「グレン、俺の陰茎の状態は覚えているか?」
失念していたな…熱と混乱に頭が回らなかった…陰茎を入れられるまでは垂れていた…それ以降、どんな状態だったか…それによって今後のことが決まる。
『いや…俺は殿下の背後にいた』
「そうだったな」
次はそこに注意を……次があるのか?
「はぁ…」
尻の孔も感じるようになるらしいが俺の場合、射精時より強い快感を初めてなのに得てしまった。
『痛むか?』
「…お前のが大きすぎた…まだなにか入っている感覚は…あるが痛みはない」
『もう…呪いは終わったのか?』
「さあな」
グレンのたくましい肩が見える。
「シャツくらい着ろ」
『…冷やしたかった』
よくわからんが好きにしろ。
「風邪を引いても休みはやれんぞ」
グレンは頷いた。
「グレン…城を離れるな…万が一…また体がおかしくなったら助けてもらう」
『わかった』
「ふ…話せばいいだろ…おかしな奴だな」
肌を重ねたからか、グレンの言葉が増えた。
「…ライドには…この事は話さない…わかったか?」
『わかった』
「グレン…お前が…裏切ったらこの手で殺す」
アルゾーグリー王国、唯一の子である俺がもし、子を残せない体になっていたら…男に抱かれたことを誰かが知ったら……大騒ぎなんてものじゃ済まないだろう…
グレンは俺の言葉を聞いたあと体をひねり顔を見せた。
乱れた髪が年相応に見せて、つい手が伸びた。
『わかった』
黒い頭をわしゃわしゃと撫でるとかすかに目尻が下がった気がした。
「殿下」
「ライド」
「…やっぱり疲れてたんです?」
「ああ…そうらしい。有象無象の声は頭によくない」
聞きたい奴の声だけを拾えれば便利だがな。
この呪いは俺を弱らせるためのもの…呪いとは呪術師が死ねば解けるのか…もしくは強まるのか?後者ならば殺せんな。
執務室には俺とライドしかいない。
「アレックスと末姫は?」
「離宮で旅の疲れを取っているっす」
「…ブルーノに俺の執務室へ寄るよう伝えてくれ。近衛副隊長を呼んでくれ」
「了解」
王室近衛隊はアルゾーグリー王国貴族で成り立っている。高位貴族であれば上官に就けるわけではないが、父王は煽てられれば便宜を図る凡庸な人間だった。
それをよしとする者もいれば、内心反発する者もいる。
よしとする者が近衛隊長ならば反発する者が今、俺の前に立っている近衛副隊長だ。
「エコー」
「殿下」
エコーは胸に手をあてて頭を下げた。
「賓客に問題はないか?」
「アレックス殿下は昨夜、離宮の使用人を部屋に連れ込みました。メルレル王女は旅の疲れかすぐに就寝を」
「マリアンヌが子を孕んだ」
俺の言葉にライドも顔を歪めた。
「…殿下…そんな話は近衛でさえ…」
「ああ…だろうな」
マリアンヌは自身の父親にさえまだ告げていないかもしれない。
「エコーがなにも感じなかったならワイドはまだ知らされていない」
マリアンヌの父親エドモンド・ワイド近衛隊長。隊長の地位だけでは物足りなかったようだな。
「ですが、マリアンヌ様の部屋へ度々向かっています…父親ですから不審には思いませんでしたが」
度々…か…
「エコー、今から話すことは漏らすな。私はお前を信用している」
「承知しました」
「父王は私が生まれたあと、病にかかり種が死んだ」
「えー!あ…」
ライドが口を押さえて頭を下げた。
「殿下…それは…確かで…?」
「ああ」
エコーには悪いが嘘だ。父王は俺が生まれる前から種に問題がある。
いつ、浴室を出たのか記憶がない。だが俺の意思と反した欲求は消えて、腹も熱くはない。
体のだるさに耐えて寝返ると寝台横に頭が見えた。
乱れた黒い髪が動かずにそこにいた。
『孔は痛むか?』
俺の起きた気配を感じたのかグレンは心で尋ねた。
「…一晩そこにいたのか?」
『痛むのか?…赤く…腫れていた』
「寝台に戻った記憶がない。お前…俺の意識がないのに抱き続けたのか?」
寄りかかっている大きな体がわずかに揺れた。
『…気持ちが…よかった…殿下の中は…』
「ふ…そうか…女の中はもっといいと思うがな」
黒い髪に手を伸ばして指で摘まむ。
「グレン…」
昨夜のことは忘れろと言うつもりだった。だが、あの呪いはまた俺を襲うのではないか?それならば忘れろと言えない。
「加減できず…指を噛んだ…棚の中に黄色い蓋の軟膏がある」
今は引いている欲求…それはなぜか…
『塗った…殿下の腕にも』
自身の腕を見ると包帯が巻かれていた。
俺は自ら陰茎を欲した。そんなことを言った記憶がある。
「お前の子種を腹に受けて…熱は引いた…」
それが条件か?
欲求を収める条件が子種を受けること…?
『本来は油を使わないと孔が裂ける』
「ん…呪いのせいで手間が省けたか…女の出す潤いを湯が補ったか…どっちだろうな」
金のない者は香油ではなく油を使うんだな。それは知らなかった。
『…我を忘れて腰を強く掴んだ…痕が残った』
「そうか、気にするな。見るのはお前だけだ」
誰かに知られることはない。
「グレン、俺の陰茎の状態は覚えているか?」
失念していたな…熱と混乱に頭が回らなかった…陰茎を入れられるまでは垂れていた…それ以降、どんな状態だったか…それによって今後のことが決まる。
『いや…俺は殿下の背後にいた』
「そうだったな」
次はそこに注意を……次があるのか?
「はぁ…」
尻の孔も感じるようになるらしいが俺の場合、射精時より強い快感を初めてなのに得てしまった。
『痛むか?』
「…お前のが大きすぎた…まだなにか入っている感覚は…あるが痛みはない」
『もう…呪いは終わったのか?』
「さあな」
グレンのたくましい肩が見える。
「シャツくらい着ろ」
『…冷やしたかった』
よくわからんが好きにしろ。
「風邪を引いても休みはやれんぞ」
グレンは頷いた。
「グレン…城を離れるな…万が一…また体がおかしくなったら助けてもらう」
『わかった』
「ふ…話せばいいだろ…おかしな奴だな」
肌を重ねたからか、グレンの言葉が増えた。
「…ライドには…この事は話さない…わかったか?」
『わかった』
「グレン…お前が…裏切ったらこの手で殺す」
アルゾーグリー王国、唯一の子である俺がもし、子を残せない体になっていたら…男に抱かれたことを誰かが知ったら……大騒ぎなんてものじゃ済まないだろう…
グレンは俺の言葉を聞いたあと体をひねり顔を見せた。
乱れた髪が年相応に見せて、つい手が伸びた。
『わかった』
黒い頭をわしゃわしゃと撫でるとかすかに目尻が下がった気がした。
「殿下」
「ライド」
「…やっぱり疲れてたんです?」
「ああ…そうらしい。有象無象の声は頭によくない」
聞きたい奴の声だけを拾えれば便利だがな。
この呪いは俺を弱らせるためのもの…呪いとは呪術師が死ねば解けるのか…もしくは強まるのか?後者ならば殺せんな。
執務室には俺とライドしかいない。
「アレックスと末姫は?」
「離宮で旅の疲れを取っているっす」
「…ブルーノに俺の執務室へ寄るよう伝えてくれ。近衛副隊長を呼んでくれ」
「了解」
王室近衛隊はアルゾーグリー王国貴族で成り立っている。高位貴族であれば上官に就けるわけではないが、父王は煽てられれば便宜を図る凡庸な人間だった。
それをよしとする者もいれば、内心反発する者もいる。
よしとする者が近衛隊長ならば反発する者が今、俺の前に立っている近衛副隊長だ。
「エコー」
「殿下」
エコーは胸に手をあてて頭を下げた。
「賓客に問題はないか?」
「アレックス殿下は昨夜、離宮の使用人を部屋に連れ込みました。メルレル王女は旅の疲れかすぐに就寝を」
「マリアンヌが子を孕んだ」
俺の言葉にライドも顔を歪めた。
「…殿下…そんな話は近衛でさえ…」
「ああ…だろうな」
マリアンヌは自身の父親にさえまだ告げていないかもしれない。
「エコーがなにも感じなかったならワイドはまだ知らされていない」
マリアンヌの父親エドモンド・ワイド近衛隊長。隊長の地位だけでは物足りなかったようだな。
「ですが、マリアンヌ様の部屋へ度々向かっています…父親ですから不審には思いませんでしたが」
度々…か…
「エコー、今から話すことは漏らすな。私はお前を信用している」
「承知しました」
「父王は私が生まれたあと、病にかかり種が死んだ」
「えー!あ…」
ライドが口を押さえて頭を下げた。
「殿下…それは…確かで…?」
「ああ」
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