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3章 集うは激突する拳と思惑

24 エピローグ

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 その影は大きく、数メートル以上はあった。
 ただ目の前に何かが出現したとかではない。上だ。上空に何かがいてその影が陽光によって私たちを覆った。

 だから首を空へと傾けた。
 快晴の空にいたのは大きな鳥。サイズからして怪鳥と言って差し支えがないだろう。
 体毛は黒く艷やかな濡羽色をして、私たちの頭上を自由に飛んでいた。
 

「あれは……鳥……というかからすか? でもおかしい。足が三本ある!?」


 景保さんの驚く声が届いてくる。
 確かに下からだとハッキリはしないけど、烏に見えるし、足は三本あった。
 なんだ? この世界のモンスターか?


「近くを飛んでたやつが様子を見に来たとかそんなんだろ。襲ってくるなら戦うまでだ。いやもういっそのこと爺さんがこっから先に撃っちまえよ。せっかくの喜びに水を差されてんだ。容赦する必要ねぇだろ」

「そうだな。そうするか」


 ブリッツは脅威とはみなしておらず、あくまで気軽にジロウさんに頼んだ。
 ジロウさんもお安い御用とばかりに弓を取り出し、上へ射線を向け発射する。

 太陽の光が眩しくて邪魔をするが、【猟師】にとっては問題にならない。
 矢は高速で真っ直ぐに飛ぶ。
 誰もが一発で終わり特に記憶にも残らない出来事だと油断していた。

 けれど突然その烏から暴風が発生する。
 それに巻き込まれ矢は大きく外れた。
 

「うわ、突風や!」


 美歌ちゃんが思わず目とスカートを抑える。

 そんな時だった。
 上の烏から何かが落ちてきたのは。

 最初は逆光のせいで分からなかった。
 けれど次第に大きくなるシルエットと風を切る音に異変を感じ、手で光を通さないようにしながら咄嗟に目の焦点を合わせた。

 それは人だった。
 落下までの数秒で判別できたのは若い男性。おそらく二十代か三十代前半。
 だが着ている服が異常だった。羽織袴の和装スタイルで腰に長い刀を差しており、髪は長髪で黒色。
 まさかありえない! 見た瞬間に頭の中がパニックになった。
 なぜこのタイミングで『プレイヤー』が来る!?

 それをじっくりと考える時間は与えられなかった。
 どぉん! と着地による衝撃と音が発生し砂が舞う。
 その人物は私たちの数メートル離れた位置に着地した。
 そいつは足を靭やかに曲げ、とんでもない高さからの落下だというのにダメージを受けた様子は無い。
 メガネを付けていて、したのは指でくいっと直す動作ぐらいのものだった。

 おそらく見た目通りからして【侍】に間違いないはずだ。【忍者】や【僧兵】よりもさらに防御力が高い純前衛アタッカー。こういう軽装は回避型だけど、鎧を装備することによってはサブタンクもできる物理特化の最もスタンダードな職業。
 不可解なのはいきなりこの場に現れたことだ。本来は歓迎すべきなのになぜか身構えてしまう。


「お、おいおいおい。まさか人が乗ってたなんて想像も付かなかったぜ。あんた何者だ?」


 率先して正体を確かめようと話しかけたのはブリッツ。
 男は彼を一瞥し、さらに私たちにも視線を送ってくる。


「そうですね。まずはご挨拶から始めましょうか。初めまして、私も皆さんと同じプレイヤーです。名前は『香月こうづき 彼方かなた』と申します。以後お見知り置きを」


 警戒したのが馬鹿らしくなるほど、物腰は丁寧だった。
 薄っすらと微笑すらも浮かべ、登場の仕方にびっくりしただけで普通に話のできるお兄さんだ。
 彼を挟んで会話するのもあれだったんで、私はブリッツたちの方へと移動する。


「そうか、俺は――」

「知っています。ブリッツさんでしょ? そちらにいるのは葵さんに、ジロウさん、美歌さんに、景保さん。合っていますよね?」


 急に名乗りを中断させられ、しかも私たちの名前を言い当てる男にブリッツの眉根が寄り表情が曇っていく。
 なぜ名前を知っている? どう考えても偶然に通りがかったとは思えない。


「あぁそう用心されなくても大丈夫ですよ。ここへはプレイヤーがいると聞いてやってきたから知っているだけです。ついでに人相と名前もね。お供の背に乗ってようやく着いたと思ったら入れなくて困ってたんですよ。察するに八大災厄とのボス戦でしたか? 勝てたようでなによりです」


 ざわりと何か得体のしれない感覚がもたげてくる。
 今、口から八大災厄の名前が出たことがもう普通じゃない。
 あれがこの世界に来ていることを知っている? 明らかに私たちとは持っている情報量が違いそうだった。
 
 もしくはこの人も討伐済みか? でも見た感じパーティーを組んでいるようにも思えない。
 かと言ってソロで勝てるはずがない。
 こっちが相手のことを知らないのに、向こうがこっちのことを知っているというのは気持ちが悪い。怪しさ満開だった。


「お供? 待てよ。お供に烏はいるが、足は二本だしあんな巨大じゃなかったはずだ。というかお供は全てそのまんまの動物サイズだ。こっちで捕まえたモンスターとかじゃないのか?」

「その認識は正しくもあり間違いでもありますね。あれは大和伝から一緒にいる、正真正銘私のお供ですよ。名前は『絶影』。あまり人付き合いが好きじゃないので空で待っていたいらしいんですが、どうしても話したいというのであれば呼びましょうか?」


 ブリッツの質問に真面目に答える彼方という青年。
 どうも掴めない。いきなり敵対する訳でもなく、かと言ってこちらのことを知りすぎていて手放しで味方として扱っていいものか踏ん切りが付かない。


「いやそれには及ばん。それよりもここに来た目的を話してくれないか? ただ情報があったから来たというだけじゃないだろう?」


 一歩進み出るのはジロウさんだった。
 十歳ぐらいの子供が大人口調でタメ口でしゃべるという事柄は、ジロウさんの中身を知らないのであればまず間違いなく違和感を覚えるはず。例えプレイヤーであったとしても初対面であれば絶対に反応はある。なのに相手は顔色一つ変えない。
 ひょっとしてそれすらも知っている? それは赤の他人が遠くから観察しただけじゃ分からないものだ。それすら把握しているとなると、いよいよ得体が知れない。どこまで私たちのことを把握しているんだろうか。
 

「ご明察です。ここへはちょっとした小間使いとしてやって来ました。皆さんがここにいるというのは本当に途中で知ったことではありますけどね」

「小間使い? 依頼か?」

「そうです。まぁ自分の意志も少し入っていますけどね。私はそこにいるブリッツさんに用があって遠路はるばるやって来ました」


 全員の視線がブリッツに向かうと、彼は首を振った。
 「俺はそんなやつ知らないし、理由も検討付かない」という意味合いの意思表示だ。
 まぁ初対面っぽいし、それは信じていいだろう。


「理由は?」


 こっちに訊いても分からないので、ジロウさんが直接相手に問う。


「――戦争行為への加担をやめさせること」

 
 短く添えられた言葉にドキリとする。
 霙太夫との戦いですっかり吹っ飛んでいたけど、そういえば数時間前までそれについて争っていたばかりだった。
 となるとこの人は義憤に駆られて単身乗り込んできたってことかな? だったら正義感の強い人ってだけになるけど。


「それだったらもう終わっているわ。私たちと喧嘩して負けて、もうそういうのは止めさせた。そうでしょ?」

「そういう言われ方をすると身も蓋もないが、まぁそうだ。安心してくれ、もうそんな気もないしアジャフの護衛も辞めたよ。それは他のメンバーもそうだ。それにアジャフ自身もこの雪の被害でしばらくそんなことをする余裕は無くなるだろうさ」


 私に話を振られブリッツは軽く説明する。
 霙太夫による人的被害は未だハッキリはしていない。
 せめてここが温暖な気候でなければマシだったかもしれないけれど、砂漠に近い乾燥地帯で北海道の真冬並の災害に襲われたんだもの、体の弱っている老人や怪我人、それに赤ん坊などにとってあの寒さで氷漬けになる前に亡くなってしまった数は一桁ではきっと済まないと思う。
 加えて主力となるはずだったブリッツ、名無し、ジロウさんの三人が抜ける事態。この戦力を埋めるのは一朝一夕では不可能だ。最低でも数年はストップするほどのアクシデントだろう。


「そうですか」


 しかしそれを聞いて彼方さんは驚いたり悲しんだりそういうリアクションが薄い。 
 どうにも掴みどころが無いなこの人。


「だからまぁ信じてもらえるかは分からないが、そういうことだ。悪かったな。せっかく来てもらったんだし、飯ぐらいは奢るぜ。つってもこの騒動でちゃんと店が営業再開するかどうか怪しいもんだがよ」

「いえ、さすがにそんなことをしてもらうわけにはいきません。――なぜならあなたを連行するからです。―【刀術】かまいたち斬り―」

「は?」


 超速の抜刀からの鞘走る居合い。それは刀の間合いだけじゃなく衝撃波により距離をも失くす中距離技だ。
 反応出来たのは私だけだった。
 他は油断していたり、ステータスや武器種の関係で間に合っていない。
 私だけが刀を抜け、飛ぶ斬撃に合わせられた。

 けれどかち合ったと思った瞬間、刀を握る手があまりの衝撃に痺れ柄を離してしまう。
 おかげで後ろに武器が飛んだが、相手の軌跡もズレて空を斬った。

 彼方と名乗るこの青年の刀身は軽く一メートルを超す。鞘から連想するに全長は五尺一メートル半といったところ。おおよそ美歌ちゃんの身長と同じだ。
 刀身が長いため居合の仕方も独特。通常は腰に提げたまま鞘から抜刀する。
 しかし鞘を腰から外し、左手で持って後ろに引いていた。
 抜刀自体はおそらく本来より遅い。しかし助走が付いた分だけ威力がアップしていたんだろう。完全に押し負けた。

 私はその異常な刀を知っている。
 普通、刀は二尺60cmから三尺90cmが一般的。それ以上となると馬上用のものとなり、平地では扱いづらい。
 ただし一つだけあえて長くした刀がある。

 日本人ならお馴染みの『物干し竿』だ。
 宮本武蔵と巌流島で戦った佐々木小次郎が使っていたとされる尋常ではない長さの刀。
 本来ならそれを使うには相当な筋力と技術が必要となるが、私たちであれば筋力の部分は楽にパス出来る。
 それでもゲームとして用意してある刀の長さは一般的なものが多く、物干し竿のような長い刀は色物扱いで特殊効果が付いたりする強い武器とは言えない。
 わざと選ぶあたりこだわりがあるのだろうか。


「つ~! あんた、今何するつもりだったの?」

「どうせ抵抗されると思ったので、実力差を見せようかと。あぁ今のは威嚇だったので最初から外すつもりでしたよ?」

「ふざけんな! もう止めたって言ってるでしょ!」


 突然現れて実力行使なんてまともな人間のすることじゃない。
 しかもこの実力だ。転がっている刀を拾うどころか別の刀を取り出す隙すら見せられず、警戒度を数段上げる。


「それは聞きました。しかしだからと言って彼の罪が消えるというのはおかしくありませんか?」

「でもまだ始めてもいないじゃない!」

「実際に兵や武器を集め画策していた。絡繰り兵を作っていたことも知っています。それだけで騒乱罪が適用されてもおかしくないと思いますが? まぁここは異世界ですし国が違えば法律も違うのは当然ですので法律うんぬんは置いておきます。単純に依頼主が異世界人が戦争なんて愚かな行為をしようとしているのを知って、それを止めて連れて来いと言うものですから。それにそんな悪いこと企んでいる人間なら同じプレイヤーであっても心が痛みませんしね」


 依頼主? 誰だ?
 ブリッツがプレイヤーであることを知っているなんてすごい情報網だよそいつ。


「だからそれは改心したの! 今だって霙太夫を一緒に倒したの。もう絶対に悪いことはしないわ!」


 合戦のことを言っていいものか迷った。
 あの機能を知っているならもう悪いことは出来なくなるというのに信頼性が高まる。しかしながらその代わりにブリッツたちの弱点を教えてしまうことにもなる。
 

「改心したとかは別にいいです。実際に計画して動いたことについて罰を受けさせるためにこちらに連行したいという話です。まぁ今回は確かに未遂ですので主犯格であるブリッツさんのみですがね。あと同じく主犯格である領主のアジャフさんなどには別方面からアプローチがあるようです」


 駄目だ。完全にこれは折れないやつだ。
 ある意味では向こうの言い分も分かる。でもブリッツは命を縣けて戦った仲間だ。
 彼がいなければ間違いなく全滅していた。その彼がピンチなのに見過ごせるはずがなかった。


「悪いが、そんな一方的な言い分ですんなりとこいつを渡すわけにはいかんな」

「悪いことしても反省して更生したらいいやん。怖い顔してるけどけっこういい人なんやで。うちもこっち側やわ」

「お前ら……」


 そう考えるのは私だけではなかったようだ。
 ジロウさんと美歌ちゃんが両脇を固め、それを見てブリッツは一度驚き堪え切れず嬉しそうに唇の端を少し上げた。


「別に他の方と争う気はないんですが、まぁそうなるんじゃないかと思っていましたよ」


 複数のプレイヤーに対峙されても彼方さんは焦る素振りはない。
 強がっているのか何か隠し玉を持っているのか。不気味だ。


「さっきから気になっているんですけど、その依頼人って誰なんですか?」


 最後に登場したのは景保さん。
 彼は流されずに情報を引き出そうと突っ込む。


「隠すようなものじゃないんで教えても構いませんけど、今から敵対する人たちに塩を送ってもね」

「実はあなたの言動から予想は付いています。『北』じゃないですか?」

「――へぇ、けっこう鋭い方もいるようですね」 


 それは彼方という男が初めて見せた感情の揺らぎだった。
 僅かに驚いた表情が窺えた。
 
 北? しかし北って言ってもこのシャンカラという街自体がかなり南の方に位置していて候補は多い。本当に見当がついているのかしら。
 まぁそういう探りは景保さんに任せよう。っていうかこの二人、タイプがちょっと似ている感じがするなぁ。


「可能なら話し合いで解決できませんか? なんなら数日延期とかでも構いません。こっちも戦いで疲れているので冷静な思考が出来ていないこともあるでしょうし」

「それは無理な相談ですね。逃げられても面倒ですし、これはもう決定事項なんです」


 彼方さんが刀を両手で握る。
 もはやいつ戦闘が始まってもおかしくない状態となった。


「はっ! 一対五でもやろうってのか! 逃げた方がいいんじゃないのか?」

「ええ、まぁなんとかなるでしょう」

「言ったな? 吐いた言葉はもう飲み込めないぜ!」
 

 ブリッツの挑発に彼は何の迷いもなくそう答える。
 普通はありえない。同じレベル同士であれば一対二の時点でもう詰んでいる。もしどうにかなるのであれば合戦で私たちはシステムの穴を突くようなことを頭を悩ませながら模索しなかった。
 あり得たとして、初心者と上級者ぐらいプレイヤースキルに差があるなら可能性はある。
 しかしここにいる全員がレベル百で、対人戦の経験が少ない人はいても様々な戦いは経てきており、そこまでの差はないと断言できる。
 
 ブリッツはそれを虚勢だと思ったらしい。
 けれどまだ微かに痺れる手が訴えてきて私にはそうは思えなかった。


「では――参ります!」


 言って前傾になったと思った瞬間に、彼の姿が消えた。
 いや走り出しが予想以上のスピードだったせいでそう意識が感じただけだ。
 実際には体はギリギリ反応できている。しかし思考が間に合っていなかった。

 まず最初に狙われたのは景保さんだった。
 

『お頭! なっ!?』

「天空!」


 私がブリッツを守ったのと同じように武器で防ごうとするが、弾かれたのは彼女と景保さんごと。
 正確には飛ばされた天空のフォローをしようとして景保さんが受け止め重なって、両方ともが後ろに投げ出された。
 そんな馬鹿な。なんだこの力を速度は!? 霙太夫並かもしれない!


「あなたが一番危険だと判断しました。時間を与えると要らないことを考え付きそうだ」


 彼方さんは十メートル以上先の地面を転がる景保さんにそんな言葉を送る。
 直接的な戦闘力が最も低い景保をそう判断したのは決して間違いではない。
 だがそれはこうして長く付き合いがある私だから分かることだ。こんな短いやり取りだけでそう判断したとしたら相当やばい。


「「―【弓術】光陰の矢―」」


 左右からジロウさんと美歌ちゃんの弓手コンビが最速の矢を放つ。
 どちらも本来は弓の距離ではないほど間合いが近い。それは裏を返せば避けるのが難しいということだ。私でも無傷でやり過ごせるかどうか自信がない。


「子供に手を上げるのは本意ではないですが、暴れるのであれば大人しくしてもらいましょうか。あぁ一人は見た目だけでしたっけ?」


 だというのに目の前の侍はそれを刀で弾くとか小手で防ぐとかではなく、単純に最小限の体捌きだけで補足し躱してみせた。
 虚しく二本の矢だけが交差しあらぬところへと飛んでいく。
 二人共、それに絶対の自信を持っていたようで、その荒唐無稽な光景を前にして硬直する。

 そこに長刀がすかさず迫った。
 

「ちょ、きゃあっ!!」

「ぐはっ!」


 一振りで防御ごと美歌ちゃんが飛ばされ、ジロウさんは腹部を殴られくの字に折り曲がって悶絶する。
 私のお株を奪われるほどの電光石火だ。


「美歌!? 爺さん!? くそっ、止めてみせる!」

「私もやるわ! 挟み込むわよ!」


 私はメニューから合戦で使った半蔵と小太郎の二刀を装備して、ブリッツと連携できるようこの普通じゃない男に相対した。
 こちらは両腕と二刀。場合によっては足も出るのに対し、あちらは長いが一本の刀のみ。どう考えても手数が違う。
 しかし実際に起きたのは霙太夫を彷彿とさせるそれ以上の悪夢。

 たった一本の刀で左右にいる私たちの攻撃が弾かれ通用しない。
 明らかに反応速度がおかしい。なんだこれは?
 
 腕と刀の長さを込みした約一メートル半の間合いに一歩たりとも近付けない。
 かいくぐろうとするとすぐさま刀によって牽制された。
 ならばと三歩引いてくないを連続投射したら届く前に真っ二つに割られる。
 冗談じゃないと思った。

 それはブリッツも感じたのだろう。
 遠距離術を使った。


「―【仏気術】風天の風玉―」


 さっき私を援護した風属性の術だ。
 威力は他の術に比べるとやや控えめだが、素早いし当たれば無傷では済まない。
 それは私が身を持って知っている。


「ぬるいですね」


 だというのに風の玉は彼の刀によって両断されかき消えた。
 そういう迎撃の仕方ある!? 防御するとか、同じく飛び道具で相殺とかは分かるにしても武器で斬るか普通!?


「じゃあこっちはどうだ! ―【仏気術】地天の脚絆―」


 ブリッツはそれを予想済みだったようで、流れる動作から次の術へ繋げた。
 振り下ろしたタイミングで彼方さんは刀を戻すのが一瞬遅れる。


「ふむ。実験してみましょうか」


 私は目を疑った。
 術を使ったブリッツの蹴りが彼の腕と拮抗していたのだ。
 そんな馬鹿な! 力の面ではビルドや装備次第で【僧兵】を【侍】が上回ることはある。
 だけど、今の彼方さんの装備は速度に特化したもので、さらにブリッツが放ったのは術のパワーアシストが含まれている。
 これが互角などというのは絶対にあり得ない。

 ブリッツが着地したところに無造作な前蹴りが鳩尾にヒットする。


「がはっ!!」


 そんなに力が入っているように見えないのにブリッツは数メートルを滑らされた。
 そして追撃に距離を詰められる。


「やらせへん! ―【降神術】宇比地邇神うひぢにのかみ須比智邇神すひちにのかみ泥土でいど―】」


 美歌ちゃんが地面を泥に変化させる術を発現させた。
 傷は他に比べると比較的浅いようでちゃんと二本の足で立っている。


「おっと、それは面倒ですね。女の子だと思って少々手加減し過ぎましたか。まぁ結果は一緒ですが」

 
 彼方さんの足元が突然泥沼に変わり足が動かなくなった。
 これは効くのか。なら今がチャンスだ。


「美歌ナイスだ! いくぜ、ぶっ倒れろ! ―【仏気術】水天すいてん母神竜ぼしんりゅう―」


 今の間にブリッツが自身の最大技を使った。
 召喚されたのは一軒家すら飲み込みそうな水の龍。
 猛り主の敵を飲み込まんと大口を開けて宙を疾走した。


「では実験第二弾です。―【刀術奥義】次元斬り―」


 彼がしたのは刀身を鞘に納め抜刀するさっきと同じ居合の型。
 しかし効果は劇的に違った。
 小さなクジラにすら匹敵しそうな龍が、間違いなくそれよりも小さな刀一本に顔から尾まで真っ二つに切り裂かれたのだ。
 しかも一歩も動いておらず、刀の切っ先が届くはずもない。
 だというのに現実は瞬時に水龍をただの空気へと帰した。

 こんなこと不可能だ。
 仮に私が刀の体術を使ったとしても大した効果は得られずそのまま飲み込まれる。
 忍術を使ったとしても威力を減衰させるか、良くて誘爆で相殺するのがやっとだろう。
 それは【侍】であっても同じはずだ。

 ありえないことを成し遂げたというのに彼方さんは涼しい顔をして驚きもしていなかった。
 

「なんなのよあんたは!」

「自己紹介は先程させてもらいましたが?」

「そういうことを言ってんじゃない! 明らかにおかしいでしょ!」


 現状、五人がかりで圧倒されている。
 こんなのは大和伝のシステムをなぞっている私たちプレイヤー間では不可能なはずだ。
 現状、異質なのはあの物干し竿ぐらいだけど、あれ一つで劇的に変わるなんてことはないだろう。

 彼方さんは私の視線から刀を捻って見せてくる。


「まさかこれのせいとか思っています? 違いますよ。これはただの長刀。まぁ単純に好きで使っているだけです。そうですね、真実を教えて心を折る方が仕事もやりやすくなるか……」

 
 それから長刀を鞘に納め独りごち、話を続けた。


「あなた方も『魔石奉納』はしていますよね? 中にはそれで新しい術を覚えた人もいるでしょう。それをさらに捧げ続けたら結果、どんな恩恵が受けられると思いますか?」

「え、術を覚えられるだけじゃないの? 検討も付かないわ……」
 
 
 ヒントが無いクイズだ。そんなの分かりっこない。


「ひょっとして……」


 後ろから声がした。
 景保さんだった。よろよろと起き上がりこちらに近付いてくる。
 他のみんなも動ける範囲内のダメージでだったようで、彼方さんの動きを監視しながらこちらにやってきた。


「おや、さすがですねぇ。これだけで予想を付けられますか?」

「あり得るとすれば、ですけどね。現状を考えてもしそれが可能であれば納得ができるだけです。僕の予想では『レベル制限の解除』じゃないでしょうか?」

イグザクトリィーその通り! 賢い人っているもんですねぇ。一発で当てられるとは思いませんでしたよ。――今の私のレベルは『百二十四』です」

「なっ!?」


 思考と表情が固まる。
 それが本当ならレベル二十四差。それならば確かに頷ける話かもしれない。
 

「ちなみに上空を飛んでいる私のお供。彼女もその効果によって進化してあの姿になりました」
 

 彼方さんは当てられたことに愉快そうに手をパチパチと叩いた。
 自分の強さの秘密を知られたくせに全く痛くも痒くもない、これはそう表現している。

 反対に私は胃が痛くなってきた。
 大和伝ではレベル百が限界で、この世界に来てモンスターを倒してもそれは同じだった。
 しかし一人だけそれが解除されたというのは非常にまずい。
 
 さらにお供の進化だって?
 情報が多すぎてパンクしそうだ。

 
「そんなのバラしていいのか? 時間があれば誰だって同じことができて、互角になるんだぞ? それとも秘密を知ったからにはここで皆殺しにでもするか?」


 ジロウさんが相手の態度が気に入らなかったのか、分かっていてもその事柄をぶつけた。

 当然そういう疑問に行き着くだろう。
 こいつが余裕そうにしているのは、ブリッツ以外とは戦いたいたくないとか言ってたくせにそれを翻すつもりだから。そう考えるのが自然だ。この実力差ならそれも不可能じゃない。


「いえ、すぐに意見を変えるなんて格好悪いですし、私の目的はあくまでブリッツさんのみです。それに同じことが出来るならしてくれた方が私にとっても都合が良いんですよ。まぁ出来るのであれば、ですけどね?」

「なに? どういうことだ?」

「さぁ? そこまでなんでもかんでも教えてあげてもありがたみというものがありませんので内緒ということで。さて、ブリッツさん大人しく一緒に来て頂けますか? もちろん抵抗は自由ですが、仲間も傷つくことをお忘れなく」


 丁寧な言い回しでも言っていることは脅迫で、要求していることは強制連行だ。
 こういうやり方は頭にくる。
 「行く必要なんてない」そう言おうとした瞬間だった。
 先にブリッツが口を開く。


「分かった。付いていってやるよ」

「ブリッツ!?」


 徹底抗戦のつもりだった。
 たとえ一人じゃ敵わない相手でも、仲間と力を合わせたら退けられる。
 それはさっき示したばかりだというのに。だから彼の考えていることが分からなかった。


「こいつの言っていることも一理ある。確かに戦争なんて企てた主犯の一人は俺だ。裁判にかけられるのかどうか謎だが、ケジメを付けるという意味ではありかもしれない。別に取って食おうという話じゃないんだろ?」

「具体的なことは私も分かりかねますが、まぁそうです。あくまで理性的な処罰だと思いますよ?」

「その代わり条件が一つ……いや二つある」

「なんでしょう?」

「こいつらには手を出すな。それとアジャフに多少でいいから恩赦を与えてやってくれ。あいつが調子に乗ったのは俺が原因でもある」


 この期に及んで私たちやアジャフの心配すらする。
 そんなに私たちのことが信用ならないの!?


「分かりました。まぁそちらから手出しをしてこなければお仲間には手を出さないと誓いましょう。アジャフさんに関しては私の一存では決められませんが口添えぐらいはお約束します。英断を選ばれましたね。恐縮です」


 私たちを置いて話が勝手に進んでいく。


「なら決まりだ」


 そしてウィンドウが開いた。
 まただ。またポーションの譲渡用のアイテム交換ウィンドウ。
 送り主はブリッツ。
 

「霙太夫に勝ったら受け取るって言ってただろ。やるよ」

「要らない! こんな遺言みたいな形でもらう訳にはいかないわ!」

「別に死ぬなんて言ってねぇし。お前のそういう感情で突っ走って人の話聞かないのは悪いところだぞ」


 ブリッツが呆れたように頭を掻いた。
 そりゃ喉から手が出るほど欲しい。でもこんなふうにもらうのはあの時と一緒だ。やっぱり間違っている。
 なのでまたキャンセルしてやった。


「じゃあ、あんたが死なないってんなら取りに行くわ。それでいいでしょう?」


 ここでもらってしまうとブリッツが死んでしまうような気がした。
 だから私にもう一度会うまで死ぬな、という意味を込めた。


「かー、意地っ張りだな。こりゃマジでテコでも曲げそうにないな。おい爺さん」

「なんだ?」

「景保」

「はい、ブリッツさん」

「美歌」

「うん」

「お前らでサポートしてやってくれ。危なっかし過ぎる。頼んだ」


 ブリッツが三人と視線を合わせて一人ひとりの名前を呼んでいく。
 まるで、というかお別れの挨拶そのものだ。


「任せろ。お前の分まで小言を言ってやる」

「そりゃいいな。耳を塞ぐぐらい言ってやってくれ」

「僕も了解しました。必ず勝てる算段を付けて助けに行きます。でもまぁ意外と拍子抜けってことはあるでしょうから、その時は連絡下さい」

「あぁ、もちろんだ。お前が一番冷静で頭が回る。頼りにしてるぜ」

「うちは葵姉ちゃんの気持ちが分かる。なんで行かなあかんのか納得できてない」

「美歌……」


 男性二人と違って美歌ちゃんはこっち寄りだった。
 男共は分かったような気になって格好付けようとし過ぎなのよ。


「でもケジメやって言うんなら仕方ないと思う。だから納得いくまでお勤めしたらいいわ」

「お前の中では俺は刑務所行くの確定かよ……」


 堪えきれずブリッツが舌を出した。

 彼は悪いことを確かにしようとしたが、今街の人を救った。この功績で相殺になったりとかしないんだろうか。
 モヤモヤとして私も未だに消化できていない。

 そんな私にブリッツは語りかける。


「葵。お前のそういう想いやりの強いところは美点だ。流されず頑固なのも人とは違う部分を見れるかもしれねぇ。したいようにしろ。尻拭いはそこにいるやつらがやってくれる」

「分かってる……。あんたからポーションもらわないといけないんだから、絶対に死なないでよ」

「あぁ努力する」


 苦笑しながらブリッツは親指を立てた。
 一番不安なはずの当人がこうして覚悟を決めている以上、私から言うことはもうない。


「絶影!」


 彼方さんが空に声を発すると、ずっと飛行を続けていた怪鳥が急速落下してくる。
 

「ひょっとしてあれの背に乗って運ばれるってことか?」

「正解です。高所恐怖症とかじゃありませんよね? あと彼女あんまり地面に着くの好きじゃないみたいで、すれ違いざまに乗って下さい。出来ますよね?」

「抜かせ」


 挑発的な物言いにブリッツが鼻白む。
 別れ際、私はどう声を掛ければいいのか分からなく、何も浮かばなかった。
 代わりに景保さんが質問をした。
 

「そういえばどこに連れて行かれるのか訊いてもいいですか?」

「構いませんよ。ついでに私の所属も名乗りましょう」


 彼は胸に手を当て一礼して答える。


「リィム教団『女神の使徒リィムズアポストル・序列第二位『異世界よりきたるモノ』――香月 彼方。こういう言い方は陳腐で好きじゃないんですが、今は世界を裏から守るお仕事をしています。彼や私と再び会いたいのであれば神都にいらして下さい。歓迎しますよ」


 ぎょっとした。
 『北』とはまさか教会のことか。
 カッシーラで出会った仏頂面のグレーの顔が思い出される。キャラが違い過ぎてあれとこの人が仲間とは到底思えないんだけど。
 景保さんを見ると、やはり、という顔をしていた。どうやら彼と色々と話し合わないといけないらしい。


「あぁそれともう一つだけ良いことをお教えしましょう。。ではまた」

「は?」


 偽物? どういうこと?
 訳が分からない。どういう意味?

 頭の中が疑問で埋め尽くされるその間に二人は一瞬で私たちの上を通過する烏の背に飛び乗り、あっという間に消えていく。
 それを眺めることしか出来ない自分が悔しかった。

 このシャンカラで起こった騒動の長い戦いが終わったのと引き換えに、悩ましい出来事が一つ増えてしまった。
 力で押し通すことも、言葉で説得することも私には無理だった。未熟さを痛感する。
 けれど今に見ていろ。自重なんてしてやらない。あの余裕ぶった気に入らない顔に絶対に吠え面をかかせてやるんだから!

 再会と再起を胸に、私たちを暑く照らす太陽の下、ギラつく決意を誓った。
 
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侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!

桜井正宗
ファンタジー
 辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。  そんな努力もついに報われる日が。  ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。  日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。  仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。 ※HOTランキング1位ありがとうございます! ※ファンタジー7位ありがとうございます!

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
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「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

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 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

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ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

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田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

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