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2章 くの一御一行~湯けむり道中記~

24 月光下の共闘

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「たかが数日。されど会うまでに身が焦がれるようなこの日々はまるで妻と初めてデートの約束をした時に似ておりますか」


 言ってる文字面はほのぼのとしているが、内容はあまりにも殺気に溢れていた。
 そんなデート嫌だ。
 軽口を叩きながらも剣呑な雰囲気を漂わせ、バータルさんは油断せずその双眸は犯人の隙を窺い捉えて外さない。 
 何か不穏な行動をすれば即座に斬り掛かりそうな気配があった。


「一人だけですか?」

「ええ、さすがにこの時間ですから他は今日は全員帰りました。私は――運が良かったようですな」


 表面上はニッコリと好々爺のような柔らかい笑顔。ただしその皺の奥に潜む捕食者の貌は消せていない。
 

『……また別のペナンカランか』


 一般人なら浴びせられただけで足が竦む気迫を受けても、そいつは慌てる素振りも見せず、落ち着いた口調で呟く。
 バータルさんは興味深そうに眉を上げた。


「ほお、その名をご存知ですか。それを一体どこで知られましたかな?」
  
『……』

「言いたくないのならば結構。ならあなたが血を吸った被害者が魔力欠乏症に似た症状が出ていることはご存知かな?」

『……』


 無視をされバータルさんの鼻息から大きく息がもれる。
 それはまるで内包する感情やエネルギーが体から堪り兼ねて隙間から出てきたかのようだった。
 

「礼節を弁えないのであればこちらもする必要がありませんな。――おい小僧、死んだ方がマシに思える地獄が見たいようだな。後戻りはもうできんぞ」


 突然、豹変した口調と声音が夜のひんやりとした空気を押しのけてマグマが煮立ったかのような殺意が放射状にこちらに伝わってくる。
 私でもぞわりとするほどの鬼気迫るプレッシャーを感じた。

 口調が悪くなるのは余裕がない証拠だ。
 ただおそらくこのお爺さんは自分が侮辱された程度ではここまで際立って激高しない。なのにそうなってしまったのは、自分ではなく大切にしていた主人のお嬢様で自身の姪でもあるミラの身を真剣に案じている結果だろう。
 家族を傷付けられた彼は鬼の形相になって鋭く威嚇する。


『――小僧か』


 薄く嘲笑するような声だった。
 ここにきて、初めてこいつの苛立ち以外の感情が見えた気がする。


『私は人類を救うために行動をしている』


 ようやくまともな会話になりそうだと期待したのもつかの間、また意味不明なことを言い出してきた。
 あまりの突拍子も無さに眩暈を覚えそうになる。
 一体どこの狂信者だっての。
 

「はぁ? あんたのせいで死にかけている人がいるんだけど?」

『それは人ではない。‘まがいもの’だ』

「ほう、ではお前に噛まれ今なお苦しんでおられるお嬢様もまがいものだと?」

『そうだ、ペナンカランも人ではない。造られた存在だ。邪魔をするな』

「何を知っている?」

『……私は刻まれたオーダー命令を遂行する……』

「命令って誰からの? 何の?」

『……』


 急に淀みなく答えたかと思ったらまただんまりだった。


「結局は体に訊くしかないようですな?」

「そのようですね」


 お互いに獲物を抜き私とバータルさんの即席の共闘パーティーができあがる。
 ぶっちゃけこっちの戦力は過剰にもほどがあるほどだ。
 問題はどれだけ被害を出さずに無力化できるかどうかと見ていいだろう。電撃のようにあっちのよく分からない攻撃手段はまだありそうで、それがどういうのがあるか次第かな。

 先に仕掛けたのはバータルさん。
 携えたロングソードを放ち重さを感じさせない疾風の速さで斬り掛かる。
 
 ギィィィンと激しい金属音が鳴った。
 いつの間にか男のその手にはショートソードがニ本握られている。
 どちらも意匠が全く違いあやふやな印象を受けた。
 
 ただ侮れないのは本気モードのバータルさんの一撃を受けられていること。そこら辺のチンピラなら一秒で細切れ肉になりそうな桁外れの速度と膂力で打ち出させる攻撃を真正面から迎撃していく。
 一振り一振りがまさに必殺。どちらも一歩も退くことなく暴風が発生したような剣戟を繰り返す。
 薄々分かっていたけど私たちとやり合えるぐらいにはこの男も強い。

 この裏路地は剣を振るえるぐらいには広かったが、集団で取り囲むほどにはスペースがない。
 よって毎度お馴染みとなった【壁走り】で横から立体的に詰める。この辺ではよく見るタイプの土壁に足を着き重力を無視して、相手の頭上へ忍刀の峰で打ち据えた。

 けれどこいつは少々強引に体勢を崩してでもそれは回避される。
 

「ふはっ!」


 バータルさんが騎士道精神に溢れた人ならここでの私の横やりに憤慨したかもしれない。だが彼は別に正々堂々を重んじる人種でもなければ、ここで目的を履き違える人でもない。
 最優先事項は一連の犯人であるこの男を拿捕することにある。
 だから晒す隙に彼は嗤った。

 生きて捕まえる気があるの? と疑問に思うような一つでも捌くのが失敗したら致命的になる斬撃の嵐が発生する。そこに私の支援も入った。
 闇夜に鉄と鉄が打ち合う火花が踊る。
 壁に近づけば私の邪魔が入り、かと言って動かずにバータルさんの猛襲を防ぎきることは難しい。吸血鬼にとっては苦しいせめぎ合いだろう。

 ふいに白い光が飛ぶ。
 ただしそれは剣線ではなく雷だった。


ラウリ電撃


 もはや剣だけで凌ぐのは不可能と判断し、吸血鬼は魔術を解放したらしい。
 月が頂点に達しもう沈もうとしている真夜中の路地に目を眩ませる雷撃が猛追する。
 雷の速さは秒速百五十キロ。見て避けられるものではない。まして攻撃しようとしていたタイミングで狙われればどんな達人だろうとも命中は不可避。

 だというのに、バータルさんはどういった機微から察知したのか読み取れないが、剣を盾のようにして手放していた。
 瞠目すべきはその判断力。敵にダメージを与え身を守る武器を手放すという、ある種自害にも等しい抗いがたい行為を刹那の思考でやってのけた。


「ぐっ!」


 それでも負傷はある。
 いくら本物の雷と比べたら月とすっぽんほどに威力と規模に違いがあっても、この近接の間合いで電撃が届くまでに完全に手放せるはずはなく、手からは肉が薄く焦げる匂いがしていた。
 痛みに小さく呻き片手で焼ける手を押さえるバータルさんの首に容赦なく刃が差し込まれる。


「させないわ」


 それを私が横から忍刀で阻んだ。
 そして距離を少し取られる。


「失態を……」

「問題なし!」

 
 後悔も反省も全部後だよ。
 忍刀を握る手にぐっと力が入る。
 バータルさんはしばらく使い物にならないだろう。なら私一人でやるしかない。


「いくよ! ここがあんたの逃走劇の終着点!」


 剣と刀が激突した。
 互いの刃が交差し小気味良い鋼の音が断続的に木霊する。
 あちらのニ本の牙とこちらの一本の牙のどちらが鋭いか勝負だ。
 肉に突き立てようとあらゆる角度から虎視眈々と狙い阻まれていく。
 

『小賢しい』


 火花も消えきらぬ速度で薙いでくる一撃を打ち合わずにしゃがんで避ける。
 地面スレスレにまで屈伸した上半身をそこから筋肉が悲鳴を上げるほどにバネのように伸ばし足元からの切り上げ。
 それを片手の剣で押さえ込もうとされるが、それだけでは防げない。勢い良く剣を跳ね上げる。
 しかしそれは囮だった。

 伸び切った私の胴体目掛けてもう片方の切っ先が差し込まれる。
 その場で回って回避し、斜めから袈裟斬るも分厚い剣のせいで届かない。


「めんどくさ!」


 二刀流は基本的には防御が強い剣術だと思っている。けん制で攻撃することはあってもしょせん片手では威力もスピードも存分に発揮できない。ゆえに捌いて受け流し、一刀ではなし得なかった隙をもう一振りで突く。つまり後の先カウンターが理想系だ。
 なので相手のやり方は間違ってはいない。でもなんだろうか、どこか教科書的な印象を受ける。
 これならバータルさんの方がよっぽど怖い。

 右手で振るわれる軌跡を紙一重で避けて反撃。それも受け流された。
 が、ここで私の足癖の悪さが出る。時間差のわき腹へのミドルキックが入る。

 軽く吹っ飛ばされ相手は壁に激突した。
 チャンスとばかりに王手を掛けるが、


ラウリ電撃

「またそれ!? バカの一つ覚えって嫌われるわよ!」


 電光石火のサイドステップで距離を取り躱す。
 さすがにこう何度も使われると慣れてきたよ。

 雷自体は確かにこの近距離で発射されると人が避けきれるスピードではない。

 しかし、
 第一に発動前に音がする。
 第二に手を構えないといけない。
 第三に口頭で名前を発音しないと発射されない。

 これだけの予備動作の工程があれば見切ることはそう難しくなかった。
 

「切り札も見せ過ぎると効果は薄いっての。いい加減、他の芸ができないの?」

『ならばこれならどうだ? パラウリ放電
 

 それは今までの電撃とは違って、線ではなく『円』だった。
 男を基点に直径一メートルほどの空間に電流が荒れ狂う。
 追撃に肉薄しようとした勢いが止まらずさすがにそれは私でも避けきれない。


「きゃっ!」


 顔や手足の肌が露出している面にピリっとした静電気のような痛みに見舞われ、突然の衝撃と視界が真っ白になったことで瞼を閉じてしまった。
 この程度で済んでいるのはきっとこの体の防御力のおかげなのと、面にしたせいで威力が減衰しているからだろうと考えられる。
 戦闘中に目を閉じるという失態をやらかしてしまったんだけど、


『ぐあっ! 邪魔を!』


 私の思考と同じタイミングで予想外の悲鳴が眼前で上がり、放電が急に止んだ。
 その声は目の前の男のもの。さらに気配が大きく動くのが感じ取れた。

 おずおずと塞いでいた瞳を薄目で開けるとそこには誰もいなかった。
 否、地面になぜか一本だけさっきまでなかったナイフが落ちている。


「逃げた!? どこっ!?」


 自分で言っててそれはおかしい。私は攻撃してくれと言わんばかりのあまりにも無様な格好でここにいたのに、危害を加えず逃げるというのは違和感がある。
 手掛かりを探すため後を振り返ると、バータルさんが何かを振りかぶった体勢でいたところだった。 


「どうやら、お助けできたようですな」


 たぶんそれが意味するところは、彼が今の放電と同時にナイフを投げたのだろう。
 そのおかげで私は助かったらしい。マジでこの人の戦闘勘には脱帽ものだ。

 感心していると、パラっと砂が上から振ってきた。
 振りかぶる前にバータルさんから鋭い声が飛んでくる。


「上です!」


 彼の視線を追うと指し示すのはほぼ真上だった。
 空を仰ぐと 今しがた目の前から忽然と姿を消した男が建物の屋根に飛び移って逃走しようとしているのを発見する。
 あんにゃろう逃がすかっての。


「追います! バータルさんは休んでいてください」

「いえ私も行きます」


 「どうやって?」という言葉が喉の手前で止まる。
 片手はすぐに使える状態でない上に、何の取っ掛かりもないただの壁。私のような特別なスキルが無いのに登れるはずがない。どうしてもただの虚勢かと思った。
 だけど彼は真面目な表情で比較的無事な方の右手を使いナイフをどんどんと壁に投げつけていく。
 
 それは道だった。

 彼はそのナイフをまるで階段のごとく足場とするため丁度良い間隔に次々と投げ入れる。
 よっぽど地金が良いのかナイフは彼の体重を支えても折れずに足場となる役目を果たし、躊躇せずに足を掛けて上っていく。
 土壁とはいえナイフの刃先が地面と平行になるように突き入られ、それを用い垂直の壁を登る様は曲芸を見ている気分にさせられる。 


「負けてらんないわ!」


 すかさず【壁走り】で壁を踏む。世界がぐるっと反転したみたいな感覚になり壁を蹴り私も負けずに追い掛ける。
 背が高い建物とはいえ、三階程度ですぐに屋根にまで辿り着いた。足場は煉瓦でできた瓦の三角屋根のてっぺんでちょうどニ本足が立てる分だけ平らになっているが少々覚束ない。

 びゅう! と風が通り過ぎ髪が揺れる。
 障害物がない屋根の上は風が吹き込みやすく、ここまで走ったり戦ったりと熱が篭った体を涼しく労わってくれた。
 上から見下ろすともう街の灯はほとんどが消え、深い闇の底にいるかのように錯覚させられるほど物寂しい。
 さて状況確認はここまでだ。

 私たちのターゲットは憮然とやや離れたところにいた。
 真正面から向かい合う。
  
 
『まだ追い掛けてくるか。私はお前たちを最大級の敵と認識しよう』


 右手で左肩をかばうような仕草を見せる。おそらくそこにさっきの援護で投げられたナイフが刺さったんだろう。
 それはともかくようやく私たちを認めたらしい。それはどこか宣言にも似た物言いだった。


「今頃? 遅くないからしら?」

「お前の知っていることを洗いざらい吐いてもらおう」
 

 さっきの放電現象は驚いたが、一対一で負ける気がしない。そこに腕の負傷が加わり、ついでにバータルさんもいて、もはや負ける要素はないはずだ。
 だというのにあっちに焦った様子が無いのは不可解な要素だった。

 それは私が駆け出そうとしたのと一緒のタイミングだった。
 男が大仰にマントを裏返しにして翻し全身をすっぽりと包み込む。表裏で色の濃淡はほとんどない。一体、何の手品でも始まるのかと警戒しているとやがてそのマントは風景と同化していく。
 瞬きを数度する間に綺麗さっぱり男がいなくなっていた。


「は!?」


 周囲から姿かたちが完全にいなくなってしまった。
 ウィンドウのレーダーにも反応が無い。
 バータルさんも慌てて周辺を探っているがどこにも見当たらない様子だった。

 五感を総動員して捜索する。

 視覚からは完全に見失ってしまった。
 触覚は無理だ、私のリーチは手の届く範囲だけ。
 聴覚もびゅーびゅー吹く風がうるさくて分かりゃしない。
 嗅覚と味覚なんて何の役にも立ちやしない。

 だが、みしりとやや老朽化した私の傍にある屋根が何かに踏まれるような異質な音を立てる。
 それと同時にすごく嫌な予感がした。虫の知らせと言ってもいい。
 心臓を掴まれるような感触を感じながら私は後ろに跳ぶ。

 ――直後、そこに刃が軌跡を描いて通り過ぎる。 

 しゅっと風を切る音がしたのはさっきまでそこに私の首があった位置だ。
 もし今後ろにジャンプしなければ、と考えると顔面が引きつる。

 反応できたのは幸運だったからとしか言いようがない。

 その代わり一瞬だけど男の姿が見えた。
 攻撃の瞬間は見えるらしい。てか私が言うことじゃないけど何これチートでしょ!?

 たった今まで何も無かった空間に現れたのだ。私を上回るほどの超速か、透明、もしくはまるでワープしたと言わんばかりの超常現象だ。
 
 ただ単なる超スピードであるならそれに付随する風圧や剣圧が全く足りない。
 ワープなら音がしたのと側面からだったというのに違和感がある。後ろを取ればいい話だ。
 であれば、消えていった時の演出も相まっておそらくは透明化だろうと思う。また厄介な技を。


「忍者に忍者っぽい技を出してくるなんて皮肉が効いてるわね!」

 
 セオリーとしては全方位への一斉攻撃が有効かなとも思うけど、残念ながら周りを巻き込まずにそれが可能な忍術というのは存在しない。


「面妖な……」


 年の功で打開策を期待するも、バータルさんもこの透明化について今すぐ何も思い付かないようで頬を固くしながら顔を振る。
 
 周囲を警戒しながら考え込むと、また屋根を踏む音がした。
 ただし今度は剣の間合いではない。数メートルは離れている。

 どういうこと? この場合、音が聴こえるというのはさっきのように攻撃の瞬間に強く踏み込むからのはずだ。けれど完全に攻撃の範囲から外れていて意味がない。
 忍び足で私の横でも背後でも好きなように位置取って隙があれば攻撃すればいいだけなのに。
 ぐちゃぐちゃの思考の中から一つだけ可能性を導き出す。


「攻撃の音じゃないのなら――」


 顔を上げると、男が私の頭上から唐竹割りに剣を振り落とそうとしていた。
 さっきのは跳躍するための踏み込みの音だったのだ。

 刀を盾にし、反った背中部分に片手を添え踏ん張る。
 体重の乗った一撃は重く強い。骨が軋むように耐え、忍刃で剣を弾くことには成功した。

 しかし、私自身は耐えられても古くなった足裏の煉瓦の瓦の方が耐えられなく、頭上からの強烈な衝撃を私の体を通して一身に受け、粉々に砕ける。
 元々安定しない足場にそれで足を取られ間抜けにも背中から転んでしまう。


「あ……」


 吸血鬼の攻撃を完璧に受けきることに失敗し、屋根に強かに打ち付け瓦の斜面を転がり落ちる。
 回転する世界では天も地も拠り所となるものが何もなく、なんとか掴んで滑り落ちるのを止めようとするもそれすらままらない。
 
 何回転もし、屋根の滑走路はすぐに終わりを迎える。
 固い屋根の感触がなくなりふわっと体が浮く。
 ただただ盛大に地上十数メートルへと自然落下する恐怖に頬が痙攣し反射で片目をつむった。

 しかし手首に強力な力を感じ、私の体は宙で浮く。
 顔を上げるとそこにいたのは――豆太郎だ。


『むー!』


 私の服の袖を噛んで引っ張り上げようとしてくれていた。
 さすが豆太郎! 私のピンチに駆け付けてくれるなんて! 今すぐ頬ずりして褒めてあげたい衝動を抑えて、まずは屋根の縁から手と足を掛け登り切る。
 

「ありがとう豆太郎!」

『えへへー。さっきのひとたちはぜんぶたおしたよー』


 軽く頭を撫でるとぴょこぴょこと尻尾が揺れて嬉しがってくれた。
 先ほどの邪魔者たちもちゃんとやっつけてくれるなんてなんて偉い子なんだろう。


「ぐあっ!」


 そこにバータルさんの苦しい声が飛び込んでくる。
 しまった戦闘中だった。
 私が屋根から転がり落ちている間、姿が見えない敵を相手に浅く肩や足に裂傷ができていた。仕立ての良いスーツが赤い血に滲んで痛々しい。
 
 私がギリギリ反応できているのは身体能力に差があるからでしかなく、あの透明化攻撃に晒されると普通は一方的にこうしてやられるだけだ。
 それにバータルさんは片手を負傷しているのも大きいと思う。これ以上、彼一人に任せておける事態ではなかった。
 

「バータルさん!」


 すぐに戻って屋根のてっぺんで背中合わせになる。触れてはいないけど、バータルさんの負傷からくる憔悴は伝わってくる。
 これで多少の死角は無くせるはずだ。ただ見えない相手にこれがどこまで意味があるのかは分からない。
 相変わらず私たちの目には敵の姿は映らず夜の闇が広がっているだけ。


「面目ない」


 後ろから聞こえるのは痛みを我慢し荒く息を吐きながらそれでも戦意は失わない闘志の籠もった声。
 追い詰められている感がある。有効な手段が見出せなかった。
  
  
「バータルさん! まだナイフは投げられますか?」

如何様いかようにも」

「やけくそで申し訳ないんですが、手当たり次第に投げまくりません? このまま受身でいるよりは何かしたいです」


 流れ弾が心配だがこの時間に出歩いている人間は警備兵ぐらいでほぼいない。
 ちょっと危ない行為の自覚はあるし、上手い手でもない。それでもこれぐらいしか思いつかなかった。


「……心得ました。ただ投げるなら下へはいかがですか?」

「下?」

「ええ、下。‘足元’へです」

「――あぁそういうこと! 了解!」


 彼のやりたいことを察しウィンドウからくないをありったけ取り出し投げまくる。
 狙いなどなく自分たちが今立っている足場となる屋根へのほぼ無意味な乱雑な攻撃だ。
 下手な鉄砲数撃ちゃ当たる戦法。

 時間にして数十秒、二人で投げに投げまくってやった。

 だけど――


「やっぱりダメか」 


 いくら投擲しようとも命中した感触が一向に無かった。
 屋根はハリネズミの背中のようにくないとナイフだらけで痛々しく、静寂と冷たい空気が私の心を刺す。
 相手が普通の人間なら姿が消えていても屋根の上という限定された場所にいるのならさすがに一本ぐらい当たったはずだ。
 でも私たちに匹敵する速度ならこんな適当なやり方では躱されるのは予感していた。

 ――ただ目的はそれと別にある。


「残念ながら撃ち尽くしました。当てることは叶いませんでしたな」

「すみません、バカなことさせて」

「なんの、冷や汗ぐらいはかかせたでしょう。それにではないですかな?」


 そう、ハリネズミになった屋根は足の踏み場がないほどに
 つまり、これはあっちの動きを制限させる罠だ。少なくても足に当たらないよう移動するために素早い動きは不可能になる。
 格好良く言うならくないとナイフの『結界』とでも言うものを作り上げた。


「どっからでも掛かってこい!」


 改めて見ると足元は危険物たちに圧迫され、どっかの汚部屋みたいにおっかなびっくり歩かないといけないレベル。
 静まり返った周囲を音だけを頼りに探る。
 忙しなく眼球もきょろきょろさせて窺うが時間だけが経っていく。
 もはやここにいないんじゃないのか、と疑念が鎌首をもたげたとき――

 いくつもの金属音が側面から鳴り響いた。
 男の姿が見える。そして何をしたのかが即座に分かった。

 無理やり刺さっていたナイフたちを剣で掬い上げてこちらにぶつけにきたのだ。
 やられた。罠を張ったつもりが、それをそのまま攻撃手段として返された。
 
 複数のナイフたちが迫ってくる。
 ただ乱暴なその攻撃は刃先もバラバラでしょせん当たっても軽症でしかない。
 けれど生物には反射という感覚がある。多くの刃物が肉薄するという事態に咄嗟の行動に脳で処理をする間もなく神経レベルで防御し体が固まってしまった。


「っ!?」
 

 手でガードしナイフたちが通り過ぎるのを待つ。
 あいつは当然のごとくそれらを盾にして詰め寄ってきた。
 次に現れたのはバータルさんの目の前だ。
 

「ぬぅっ!」

「バータルさん!!」


 命を奪いにきた足元から伸びてくる凶刃をバックステップすることによって寸でのところで回避する。
 透明状態からいきなり目の前に刃が迫ってくるというのはどうしても完全に避けるのは難しいが、来る方向さえ分かっていれば確かにそういう捌き方も可能だろう。
 ただし足のふんばりが利かず連撃の前蹴りで空中に吹き飛ばされる。その行先は屋根から外れた足場の無い場所。
 いくら彼でもこの高さから不十分な体勢での真っ逆さまの落下では負傷は免れない。

 男はもはやバータルさんには目もくれず返す刀でこちらの首を狙って薙いできた。
 
 硬直から間に合うか!?
 冷や汗が出て防ぐまでスローモーションのような時間が流れた。


「このっ!」


 ギリギリ刀が間に合うか、というところに私の顔の横を飛来するものが一つ。
 それは男の肩に再度命中した。


『なに!?』


 私と男が同時に振り向くと、吹き飛ばされながらも受身よりも反撃を優先したバータルさんの仕業だと分かった。
 彼は自分のことなど後回しに爪痕を残すことを選び、ニヤリと口元を緩める。


「本当に全部投げたと思いましたか? 騙されてくれてありがとうございます」

  
 どこかで聞いたことのある皮肉たっぷりの挑発的な台詞を口にしながら彼は深い闇へ沈んでいった。
 あの人が死ぬとは思えないが、さすがにあの態勢で落ちたのならすぐ動くことは難しいはずだ。
 彼の底知れぬ執念に敬意を払いながら決意に火を灯す。

 この男は危険だ。ここで相当な深手を与えなければならない。


「これで終わりよ!」


 ナイフに意識がいっている間に刀をその肩に刺さっている左腕の付け根に勢いよく突き刺す。
 めり込み貫通する感触があった。今まで魔物相手に振るってきた私の刀を初めて人間の肉へと突き入れる。
 腕と言っても人間の神経は痛みに敏感だ。悲鳴を起こし、そこからもれる流血によってほとんど動けなくなるほどの重症となる。これで暴れることは不可能になるはず。
 
 ――だというのに刃物を突き入れられても、なおこいつは痛がる素振りを見せない。
 反応はさざ波一つ立たず、私の感性が警告を発する。  
 

電撃ラウリ


 直後、私の腹部を通して全身に電撃が走った。


「あああああっ!!」

『【ステート異常:麻痺】レジスト抵抗失敗 回復まであと5秒』


 全身の筋肉が痺れ私の意志を無視して強制的に震え、血管が膨張し細胞レベルで鋭い痛みを伝えてくる。
 直撃を食らったせいでレジストできず、全ての産毛が逆立ち手も足も動かず硬直し両膝を付いた。

 反撃は無いだろうとタカをくくった圧倒的なまでの私のミスだ。
 この体が自由になるまで数秒は掛かる。だがその間にあっちは剣を振り下ろすだけで事足りる。

 それにしてもなぜ? 
 私の頭の中は疑問でいっぱいだった。


 ――なぜ肩甲骨を貫くほどの痛みに耐えられた?


 その疑問はほんの少しだけ動く顔と目でようやく知れた。あまりの意外さに瞳孔を開いて仰天する。
 私が突き刺した肩からは血が一滴も流れていなかったのだ。
 そして顔を覆っていた布の一部が解ける。

 肌色の皮膚がめくれ上がり、その内部はまるで人間の皮を被ったマネキンのような真っ白いそいつの‘本当の肌’が垣間見れた。


「ぉまぇ……」

『【ステート異常:麻痺】レジスト抵抗失敗 回復まであと3秒』


 痺れた筋肉が舌まで緩ませ声にならない。
 元に戻るまであと三秒が要る。そのたった三秒が恐ろしく長い。

 確かに違和感はあった。
 電撃を放つのに聴こえてくる音は機械のチャージ音に似ているし、下でバータルさんに刺されたナイフにも血糊が付いていなかった。
 しかしまさかとは思いもしない。機械、もしくは印象は人形ドールのそれに近い。
 
 特に何の感慨もなく、言葉を発することもなく男は剣を無傷な方の左手で振り上げる。


『【ステート異常:麻痺】レジスト抵抗失敗 回復まであと2秒』


 ここまでログが苛立たしく思ったことはない。それほどまでに死がそこまで直面していた。
 剣を無慈悲に振り下ろされる。

 
『【ステート異常:麻痺】レジスト抵抗失敗 回復まであと1秒』


 だが、そんなピンチにいつも助けてくれるのは――


『まーぱーんち!!!』


 小さな私の相棒が麻呂眉を眉間に寄せて本気でその男の腹部に肉球パンチを炸裂させる。
 その拳骨は屋根から吹っ飛ばせるのに十分なほどの威力が含まれていたが、地面に縫い付けられたナイフやくないをぶち撒けせき止められるような形でギリギリ落ちずに残った。
 

「豆太郎最高!!」


 状態異常が治った体で頬ずり感謝。
 これ終わったら好きな物なんでも買ってあげる! っていつものことだけど。


『あーちゃんにてだしはさせないんだからー』


 抱きかかえられながらびしっと豆太郎の決め台詞が飛ぶ。
 辺りはもう散乱としたナイフとくないでぐちゃぐちゃになっていた。肩に突き刺していた私の忍刀も転がっている。
 
 男はよろよろとしながらそれでも立ち上がってきた。
 

『……このままでは命令オーダーを遂行することが困難と判断し、お前たちをこの町ごと消し去ることを決定した。明日もう一度やって来る。止めたければ町の外に出ていろ』


 しばらくぶりにまともなコュニケーションが取れるかと思いきや、やっぱりだめだった。
 てか街ごと消し去る? えらく物騒なことを言ってくれる。


「そもそもあんたなんなの? ここは剣と魔法の世界じゃなかったの?」


 この世界の文化・技術度合いは地球で言う中世ヨーロッパに近い。
 ガラスぐらいは開発しているようだけど、まさかこんな無機物を作れるほどのノウハウもはない。というか現代社会でも不可能だ。
 可能性があるのは魔道具という過去の遺産から垣間見える古代文明。でもそれだってマッチ代わりだとかトランシーバーの延長線上とかそんなものだ。自動で動き判断する人形をとても製作できるとは思えない。


『私は造物主マスターによって造られた。私は彼女に刻まれたオーダー命令を遂行する』

「マスター? 彼女? あーもうわけ分かんない。とにかくここで捕まえたら済む話よね?」


 私の言葉に満身創痍なくせして小さく口の端を上げた。
 こんにゃろー、まだ逃げられる気でいるようだ。そっちがその気ならもっと痛い目見てもらうよ。機械ならレベル制限という手加減もいらない。レベル百の理不尽な暴力を見せつけてやればいいんだから。
 それにあっちはもはや満身創痍という感もある。片腕は上がらなくなっていて背筋は曲がりよたよたとしていた。仮にまた透明になられても対処可能だろう。

 こっちが本気の準備をしている間に、おもむろに懐から取り出されたのは四角いキューブだった。


「それ!?」

 
 それには見覚えがある。この間、食らったばかりのものだ。
 これは――

 直後、まるでそこに小さな太陽ができたかのように、そのキューブから光が大量に弾け、深夜であるにも関わらずこの一帯が刹那の時間限定で昼間になった。
 記憶に新しいガルシアにもやられた閃光箱だ。

 咄嗟に腕で顔を覆い、網膜を白く灼くほどの凶悪な光から目を守る。
 あの経験が無ければここで盲目状態になってまた醜態を晒していた。

 ――いや違う!

 こうして突っ立っているだけですでに死に体なんだ。
 私はバカか。たった数秒でも目を離せば剣を突き刺し心臓をえぐることも可能だ。さっき経験したばかりじゃないか。

 そこまで考え付くと恐怖で急に血の気が引いていき全身の毛が逆立ち、後ろに跳んだ。
 二秒か三秒かハッキリしないまま、粟立つ焦燥感を抑えながら腕をズラしておずおずと前を窺う。

 色が戻った世界には、誰もいなかった。
 ただどこからともなく聞こえてくる声が一つ。


『止められるなら止めてみろ』


 どこから聞こえてきたのかその煽るような言葉が私に挑戦的な物言いをしてきていると感じられた。
 それからどれだけ待っても何も変化はなく、男はその最後の声と共に忽然と消える。
 つまり完全に逃げられてしまった。

 悔しくて思わず地団駄した足が屋根瓦を破砕する。
 ここまでやって逃亡を許してしまった事実に、ふつふつと湧いた歯がゆい思いを吐き出すしか、この感情を払拭する術がなかった。


「ふ、ふざけんなああああぁぁぁぁ!!!」
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小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!

桜井正宗
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 辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。  そんな努力もついに報われる日が。  ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。  日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。  仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。 ※HOTランキング1位ありがとうございます! ※ファンタジー7位ありがとうございます!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

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侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

死んだと思ったら異世界に

トワイライト
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18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。 祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。 だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。 そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。 その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。 20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。 「取り敢えず、この世界を楽しもうか」 この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

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「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

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ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

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田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

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ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

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