貴公子、淫獄に堕つ

桃山夜舟

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呪詛

唯一※

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「あぁ……っ!」

 頭が真っ白になるほどの強い快感が、身の内を貫いた。
 たまった蜜が胸の内の管を勢いよく駆け抜けていく、えも言われぬ悦楽。
 びくんびくんと跳ねる体を抱き込まれ、反対の胸も啜り上げられる。
 
「……あ、んんっ、はぅっ」

 吸い上げられるたびに押し寄せる甘い衝撃に耐えかねて、真霧まきり浪月ろうげつの髪に指を絡ませて、身悶えた。
 ずくずくと下腹が疼き、無意識に膝を擦り合わせる。
 と、その膝を割り開かれた。
 すでに勃ち上がり、透明な雫をこぼしていた花芯が晒される。

「あ……っ」
「ここも吸ってほしいか」
「……っ、……は……い……」

 羞恥に頬を赤らめながらも素直に頷くと、浪月がまた微笑い、熱い口内に花芯を含んだ。

「あ、あ、ひ……っ、んんぅっ」

 裏側の筋を舐められ、先端を舌先でくじられると、下肢が痺れてとろけそうになる。
 それだけでも耐え難いほどの快楽なのに、浪月は更に、双丘の狭間にも指を這わせてきた。

「ひ、ぁ……ッ」
 
 滴り落ちた先走りで濡れた蕾が、指先を呑み込んでいく。

「あ……っ、んんぅっ」

 花芯を咥えられたまま、節くれだった指で媚肉を押し開かれ、鮮烈な快感に目を見開く。
 喜悦し、奥へと奥へと誘い込むように蠕動する肉襞を掻き分け、手前のしこりを指の腹で押されると、泣き喚きたくなるような愉悦がほとばしる。

「あ……っ、やぁっ、も、う……っ、あぁっ」

 軽く曲げた指で何度もしこりを撫でられ、髪を乱して頭を打ち振る。
 奥底から快感の塊が込み上げてきて、目の前が白く閃き出した途端、指が引き抜かれた。

「あ……、うぅ……っ」

 唐突に訪れた喪失感に、蕾がせつなくひくつく。
 思わず縋るような目で見上げた真霧に、浪月が囁いた。

「もっと焦らしてやろうと思うていたのだがな……、もう堪えられぬ」

 どこか余裕のない、掠れた声だった。
 逞しい屹立が後孔に押し当てられた。
 肉輪がみちみちとこじ開けられ、長大な物で秘肉が押し開かれていく。

「は…あぁ──……っ」

 奥の奥まで突き立てられて、真霧は陶然と喘いだ。

(ああ、浪月様だ……)

 この形、大きさ、硬さ、熱────どれを取っても他の誰とも違うと感じる。
 繋がったところから互いの体が溶け出し、混ざり合っていくような、そんな官能を覚えるのはこの男だけだ。

 腹の上にぱたぱたと温かいものが散って、挿入されただけで果ててしまったのだとわかった。

 絶頂に痙攣する内壁に締め付けられた浪月が、荒い息を吐く。
 男らしい色気の滴るその表情に見惚れ、ぞくぞくと背筋を震わせているうちに、また官能が高まっていく。

 そして激しい律動が始まった。



「ひ…ぁっ、んっ、あ、あっ、ああっ!」

 いつになく荒々しく突き上げられて、真霧は浪月の背に縋り付いて嬌声を上げていた。
 敏感な浅いところを擦り上げられながら、深奥を抉られ、湧き起こる強烈な快感に涙があふれ出す。
 何度も達し、脚の間の物からはもはや薄く透明な液が漏れるばかりだが、腹の奥では際限なく極め続けている。

 悦楽の波に溺れながら、思う。
 真霧はもう浪月の神子ではなく、これは儀式ではないはずだ。

(なのに、なぜ浪月様は私を抱くのだろう)

 ただの肉欲なのか。
 それとも────

 まとまらない思考は、最奥を獰猛に突き込まれるうちに霧散してしまう。

 浪月が、真霧を苛む腰使いは緩めないまま、問いかけてきた。

「どうだ……っ、帝と私のどちらがよい?」

 なんとたちの悪い問いだろう。
 だが、悦楽に灼かれた頭では、ごまかすことも偽ることもできない。
 淫獄に堕ちたこの体は、誰に抱かれても淫らに蕩け、感じるままに悦びの声を上げる。
 けれど、心の奥底まで震わせられるのはただ一人────

「……浪月様、で、す……っ」

 胸を喘がせながら、その名を口にした。
 刹那、浪月の突き上げが激しさを増した。

「ああっ」

 最奥をぐぼぐぼと抉られて、真霧は全身をわななかせながら極めた。
 達したままの体を更に揺さぶられ、終わらない絶頂に咽び泣く。

「あ、ああっ、やっ、もう────っ」
「く……っ」

 浪月が低く呻き、真霧の中に熱い迸りを叩きつける。
 浪月によってしつけられた真霧の体は、それだけでまた極め、吐き出された精を飲み下すように腹の奥を蠢かせた。
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