貴公子、淫獄に堕つ

桃山夜舟

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直会

二人きりの夜※

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 三日目を迎えた。
 今日もまた数多の信徒達に抱かれ、白濁にまみれた体を湯殿で清められては、また穢された。

 だが、小夜更さよふけ方、新しい衣を着せられ、再び大広間に戻された真霧まきりは、前夜とは異なる奇妙な光景を目にした。
 先程まで酔い騒いでいた男達が皆、床に倒れ、寝入っていたのだ。
 更に驚いたことには、共に湯殿から戻った信徒たちもばたばたと倒れ込み、眠り始めてしまった。


 寝息を立てる人々の中、一人浪月ろうげつのみが、敷き直されたしとねの上に片膝を立てて座っていた。

「真霧」

 耳に心地よい低い声で名を呼ばれた刹那、とくりと胸が音を立てた。
 吸い寄せられるように、足が勝手に浪月の元へ向かう。
 浪月はふらふらと近づいた真霧を膝の上に抱き寄せると、顎をすくいあげ、唇を重ねた。

「ぁ──」

 すっぽりと腕の中におさめられながら、優しく唇を啄まれる。
 ずっと求めていた男からの抱擁と口付けに胸が詰まって、くらくらと目眩を覚えた。
 自然と開いてしまった唇の間に舌を差し込まれる。

「ん、ふ……ん……っ」

 時間をかけて口内を味わわれた後、褥に横たえられた。
 浪月の手が、衣の上から肌をまさぐりはじめる。
 これまでとは異なるゆったりした愛撫に、じんわりと官能が高まっていく。

「あ、は……、あんっ」

 唇が首筋に滑り降りる。
 鎖骨に軽く歯を立てられ、びくりと体が震えた。
 衣の合わせ目に掌を差し入れられ、そっと開かれる。
 晒された胸はすでに、じわりと乳を滲み出させていた。
 両手で胸の肉を集めるように揉まれると、先端からぷくりと雫が盛り上がる。

「あ、ぁあっ」

 雫を舌で舐めとられ、真霧は甘く鳴いた。
 舌で転がしながら優しく吸い上げられて、白魚のようにびくびくと体が跳ねる。

 浪月は両の胸を十分に可愛がり、胸だけで何度か甘く極めさせたあと、更に下へと移動した。
 神子の徴に舌を這わせ、蜜をこぼして震える花芯を口に含む。

「ああ……っ」

 美しい宮司の口内を汚しているという倒錯的な快楽に真霧はのた打つ。
 腰が揺らめくのが止められない。

「や…っ、ん、んん……っ、おゆるしくださ…い……っ、もう──っ」
「構わぬ、出せ」

 浪月は真霧を咥えたまま、その下の柔らかな袋を優しく揉んだ。

「だめ……え……っ」

 堪えきれず、浪月の髪に指を絡めながら、真霧は達した。
 ごくりと嚥下の音が聞こえ、泣きそうになって身を起こす。

「あ……私にも……、浪月様をくださいませ……」






「ん、ふ、ん……っ」

 真霧は、袴をくつろげてあぐらをかいた浪月の脚の間に身を伏せ、猛ったものに懸命に舌を這わせていた。
 並の男よりずっと大きなそれを全て口に含むのは難しく、それでもどうにかほうばると、優しく頭を撫でられた。
 そっと目を上げれば浪月が男らしい眉をひそめ、食いしばった歯から吐息を洩らす様が見えた。
 その官能的な表情にぞくぞくと背筋が戦慄く。

 浪月が小さく唸った。
 ぐっと頭を掴まれ、深く咥えこまされたかと思うと、喉奥に熱い飛沫が叩きつけられた。
 次々と迸る精をこぼさないように受け止めて飲み干し、鈴口に舌を這わせ、残滓も舐めとる。

(あ……、出したのにまだ、こんなに硬くて大きい……)

 張り出した笠のまわりをちろちろと舐めていると、ぐいと腕を引かれ、褥に押し倒された。
 獰猛な目で見下ろされ、腹の奥がぞくんと疼く。
 衣のまとわりつく膝を開かされ、ひくつく蕾に逞しい雄芯が押し当てられる。

「く、ぅ、ううんっ」

 ゆっくりと楔を埋め込まれた。
 待ちかねていた刺激に内壁が勝手に収縮し、それだけでじわりと絶頂した。

「は、ぁ……っ、ああ……っ、ぅんん、あぁ……!」

 はじめは浅く、やがて深く、感じるところを余さず突かれ、与えられる快感のままに真霧は啜り泣いた。
 奥を突かれながら、胸を揉まれ、しこった胸粒を吸われる。
 たまらなく気持ちがよくて、浪月の頭を抱え込み、身悶える。

「ああ、浪月様……、もう中に……っ」

 腹の奥がきゅんきゅんと疼いてしまい、耐えかねて、はしたなくねだった。

「そなたが望めば、いくらでも……。たっぷりと注いでやろう」

 浪月は真霧の耳元でそう囁くと、ぐっと深く腰を突き込んだ。
 
「あ……っ、ああぁあっ、ひ、ん、んん──っ」

 嵌まり込んだ最奥をどちゅどちゅと抉られ、視界で火花が散る。
 強く抱き込まれるや否や、奥深くにしとどに精を注ぎ込まれた。

「あ……、は……あぁ……ん……」

 染み入る精の熱さに身の内が痺れて、震える。
 腹の奥が喜悦しているのがわかる。

 汗ばんだ身体に、庭先から夜風がそよと吹き付けた。
 外はまだ暗く、鶏の声も聞こえない。
 直会は三日三晩。
 この夜が終わるまでだ。

「……まだ……、夜は明けておりませぬ」

 真霧が見上げると、浪月がまた淡く笑った。
 注ぎ込んだ精を塗り込めるように浪月が身を揺する。
 穿つ物は衰えを知らず、またすぐに律動が始まる。

 空が白むまでの数刻、二人きりで何度も交わった。





 射し込む朝の光が、宴の終わりを知らせた。

 深い交わりに身も心も蕩け、甘い吐息をこぼしながら横たわる真霧の下腹を、浪月が見下ろす。
 紋様は、真紅に色を変えていた。

「これにて奉納の儀は成れり」

 終わりを告げる一言を、真霧は微かな胸の痛みとともに聞いた。

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