貴公子、淫獄に堕つ

桃山夜舟

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本祭 三夜

甘美な愉悦※

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 鬼達は疲れを知らず、いったい何匹と何度交わったかもわからない。
 いつの間にか東の空が明るくなり始めていた。

「もう夜明けか」
「まだまだ遊んでやりたかったというに」
「仕方あるまい」
「今宵はここまでじゃ」

 朝靄の中、鬼達は洞穴に帰っていく。


 白濁に塗れ、ぐったりと横たわる真霧まきりの前に浪月ろうげつが膝をついた。

「……浪月、様……」

 気づけば手を伸ばして、浪月の首に縋り付いていた。
 あれほど鬼達に犯されたのに、真霧の体は目の前の男を求め、せつなく疼いている。

「私が欲しいのか」

 耳に囁きを吹き込まれ、その低く艶のある声に酔いしれる。

「はい……」

 縋る手に力を込めた。
 浪月がふ、と微笑う気配がして、唇を重ねられた。
 すぐに入りこんできた舌に、己のそれを絡める。

「あ……、ん…っ…んん」

 じゅっと舌を吸われると、背筋がびりびりと痺れた。
 注がれる唾液をこくこくと呑みながら、もつれる指で浪月の衣の帯を解く。
 もどかしく袴をくつろげると、硬く勃ち上がった雄芯が飛び出してくる。
 真霧の痴態を見て漲っているのだと思うと悦びと興奮が込み上げきて、逞しいそれを両手で撫でる。

 汗ばむうなじを掻き上げられ、頭を押された。
 促されるままに、あぐらを掻いた浪月の脚の間に頭を沈め、剛直を咥える。

「ん……っふ、く、んん……っ」

 髪を耳にかけ、口をすぼめ、頭を上下させて唇で扱き上げると、口の中で更に硬さと大きさが増して、嬉しくなる。
 犯されているのは口なのに、腹の奥もひくひくと蠢いてしまう。

 頭を撫でていた浪月の手が真霧の胸元に滑り降りた。

「ぁ……、んんぅ……!」

 蜜を滴らせる両の胸粒を摘まれ、びくんと体が跳ねた。 
 くりくりと転がされたかと思えば、きゅっと絞られ、悦楽の証の蜜がぴゅくぴゅくとあふれ出す。

「うっ、く……ん、んっ、あ、は、あぁ……っ」

 胸の先から快感が弾け出して、びくびくと身体が揺れて上手にしゃぶれない。
 それでも懸命に舌を這わせようとすると、ぐいと手を掴まれた。

「もうよい。……私もおまえが欲しい」

 囁かれて、押し倒されるや否や、硬く張り詰めた刀身が突き立てられた。
 
「は、あぁぁ……っ」

 焦らされることなく、奥まで埋められた。
 刹那、甘美な愉悦が全身に広がり、身も心もじんわりと痺れていく。

「ああー……──っ」

 ゆるゆると揺すられるだけで、真霧はすぐに極めた。
 鬼達から与えられたものとは異なる、胸の奥まで甘くとろけるような絶頂だった。
 どうしてこの男との交わりは、他の者とこんなにも違うのだろう。

 浪月が身を屈め、蜜を噴き出す胸の尖りに唇を寄せた。

「ああん……、んんっ」

 蜜を啜られる快感に頭の芯が痺れて、すぐにまた達してしまう。
 収縮する媚肉が雄芯に吸い付いてねだる。
 早く中に注いでほしいと。
 浪月は、は、と乱れた吐息を一つこぼし、重く突き上げ始めた。

「あっ、ああっ、もう……、んん……っ」

 最奥に嵌め込まれながら深く口付けられ、陶然となる。
 やがて、腹の奥に熱い精が注ぎ込まれた。
 体内を満たされる喜悦に、真霧もまた絶頂の波にたゆたった。




 三夜目も、締めくくりは信徒達全員との交わりだった。
 夜明けまで待たされた男達は、みな情熱的に真霧を欲した。


「ひ、ん……っ、あ、ぁっ、んんぅ……っ」

 片足を高く上げさせれながら、がつがつと中を穿たれて、喉を反らせて快感に喘ぐ。

「そうきつく締め付けられては、奥を突いて差し上げられませんぞ……っ。鬼どもに広げられてゆるんでしまったかと思いましたが、全くいらぬ心配でしたな」
「あ…っ、あ、ひ…ん、んっ」

 度重なる絶頂にもはや真霧の口からは意味をなさない喘ぎが漏れるばかりだ。

 男が早々に果てると、仰向けに寝た者の上に跨らされ、下から貫かれた。

「んんぅ……ッ!、あ、は、ぁああ……っ」

 真霧の細腰を鷲掴み、鬼に負けじと男は激しく突き上げる。

「どうですっ、我らの物も鬼どもに負けておらぬでしょう!」
「くぅ、ひっ、ん……、あ……っ、いぃ、きもち、いい……っ」

 真霧は男の腹に手を付き、無意識に自らも腰を上下させていた。
 太くて硬い怒張がずぶずぶと体内を出入りするのがたまらなく気持ちよくて、腰をゆするのが止められない。

 黒髪を踊らせ、汗を煌めかせて腰を振る凄艶な姿に、皆いっそう色めき立つ。

 周囲の男たちが、真霧の体に指や舌を這わせ始めた。
 左右の胸をちゅくちゅくと吸われると、秘肉がきゅんきゅんと蠕動して中の男に吐精を促す。

 全身を撫でさすられ、爪先まで舌を這わされながら、最奥を繰り返し貫かれ、腹が膨れるほど精を注ぎ込まれた。
 身体中を快感の嵐が駆け巡り、悦楽の涙を流して何度も絶頂した。



 全ての男の精を受け止め、本祭は終わりを迎えた。
 その時、下腹の神子の徴は薔薇そうび色に染まっていた。

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