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本祭 三夜
輿※
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本祭もいよいよ三夜目──最終夜を迎えた。
禊を済ませた真霧は簀子縁に座り、山の端から昇る月をぼんやりと眺めていた。
右大臣らしき貴人が多額の喜捨をしていることまではわかったが、呪詛についての手がかりは以前として掴めない。
信徒達は皆、日中は山野を駆け回って体を鍛えることに精を出していて、呪いめいたことをしている様子もない。
(やはり、右大臣に直接目通りしなければ、わからないかもしれないな)
祭りの最中に宮司が社を離れることは考えにくい。
次に浪月が右大臣の元へ行くのは、早くとも奉納祭が終わってからだろう。
つまり、真霧は全ての儀式を神子として全うしなければならないということだ。
(あのような淫らな儀を……。今宵と裏祭と、少なくともあと二回も……)
得体の知れぬ妖と交わり、数多の男達に逞しい楔で貫かれねばならないのだ。
思い浮かべた刹那、ずくりと腹の奥が疼いてしまい、真霧は頭を打ち振った。
体は日に日に昂りやすくなっている。
些細なことでも熱を帯びてしまうため、祭祀のことは務めて頭から追い出すようにしていたのに。
ふと思い立って室内に戻り、壁際に置かれていた鏡筥から鏡を取り出した。
鏡を鏡台にかけ、そこに映る己の顔を眺め、愕然とする。
(私はこんな顔をしていただろうか……)
目は潤んで艶めき、唇は紅を引いたように赤く濡れ、頬は熱っぽく上気している。
我ながらどこか淫らな顔つきに見えるのだ。
(それに────)
真霧は、視線を己の体に移す。
昨日より濃さを増した下腹の紋様と、熟れたように赤い胸の尖りが紗の単衣の上から透けている。
乳が出るようになってしまったせいか、胸全体も心なしかふっくらとしたような。
一晩経っても胸の蜜はおさまっていない。
あふれ続けはしないものの、胸を揉んだり、先端をいじったりして刺激すると滲み出てきてしまうのだ。
(色事などほとんど何も知らなかったのに……)
たった三日で作り変えられてしまった。
顔つきも、体も、おそらく心も。
(こんなふうに作り変えられてしまって、全てが終わった後、私はちゃんと都での暮らしに戻れるのだろうか)
儀式が終われば体は元に戻るのかもしれない。
でも、心は────?
「お支度はお済みでしょうか」
迎えの信徒に几帳越しに声をかけられ、真霧は我に返った。
「今、参ります」
物思いを打ち切り、鏡を筥に戻して立ち上がる。
「今宵の祭場は、山の中腹にございます。距離がありますゆえ、輿でお運びいたします」
信徒はそう述べ、社殿の前へと真霧を案内した。
そこには、轅の上に屋根のない台座を据えた小輿が用意されていた。
輿を担ぐのだろう、信徒が四人控えている。
「さあ、こちらへ」
手を取られ、輿に乗るよう促された真霧は、ぎょっとして動きを止めた。
台座の真ん中に黒々とした張型が据え付けられている。
隆々とそそり立つ人の陰茎が輿から生えているかのようだ。
表面には油が塗られており、松明に照らされてぬらぬらと光る様は異様なまでに卑猥だ。
思わず目を背け、問いただす。
「これは、なんなのですか……!」
「こちらで御身の中を慣らしていただきながら、祭場へお連れいたします」
「そんな……」
「さあ、お早く」
ためらう真霧の手を信徒たちは強引に引き、輿の上に乗せてしまう。
「ま、待ってっ」
真霧はふるふると首を振った。
「無理だ、こんなの挿れたら、すぐに……」
だが信徒達は取り付く島もない。
「これも神子のお勤めですから」
「あ……っ」
衣をめくられ、肩を押さえつけられて、張り型の上に腰を落とさせられた。
「ひっ、ああぁっ」
油に濡れた張型は、まだほころんでいなかった肉輪を押し広げ、ずぶずぶと奥まで貫いてしまった。
「あ、はぁ……っ、んん……っ」
いきなり極太のもので腹の奥を突かれ、衝撃で甘く達してしまう。
びくびくと腰を震わせる真霧に構わず、男たちは轅を肩に担ぎ上げた。
「それでは参りましょう」
「ひぁ……っ」
挿入されたまま、揺すぶられ、悲鳴を上げた。
輿の振動がそのままに秘肉に伝わり、掻き回されるのだ。
どうにか耐えようと台座にめぐらされた朱塗りの欄干を握りしめる。
だが、階を一段登るごとに奥を突き上げられ、なすすべもなく感じさせられてしまう。
「んっ、く……っ、あ、は、ああっ」
すぐに声を殺すこともできなくなった。
とんとんと奥を突かれ続け、肉壺から生まれる悦楽の渦に飲まれていく。
絞られてもいないのに胸からは乳が滲み、勃ち上がった花芯からは滴が溢れ出す。
「は、ぁ……っ、もう……、あっ、あぁっ、んんん~~──っ」
曲がり角で一際大きく輿を揺らされた刹那、更に奥を穿たれ、あっさりとまた極めてしまった。
だが極めても、男達の歩みが止まることはない。
「やっ、また来ちゃう────、だ、め……、ああッ」
昂りが収まる前にまた次の絶頂の波が訪れる。
真霧は啼泣しながら髪を打ち振り、欄干に爪を立てる。
「やああっ、あぁ……っ、も……、止、まっ……て……っ」
制止の言葉はうまく紡げず、男達の耳には届かないようだ。
否、届いたとしても、足を止めてはもらえなかったろうが。
祭場に辿り着くまでの四半刻程、真霧は何度となく絶頂し続け、胸と花芯から噴き出した白い蜜で衣はぐっしょりと濡れそぼった。
禊を済ませた真霧は簀子縁に座り、山の端から昇る月をぼんやりと眺めていた。
右大臣らしき貴人が多額の喜捨をしていることまではわかったが、呪詛についての手がかりは以前として掴めない。
信徒達は皆、日中は山野を駆け回って体を鍛えることに精を出していて、呪いめいたことをしている様子もない。
(やはり、右大臣に直接目通りしなければ、わからないかもしれないな)
祭りの最中に宮司が社を離れることは考えにくい。
次に浪月が右大臣の元へ行くのは、早くとも奉納祭が終わってからだろう。
つまり、真霧は全ての儀式を神子として全うしなければならないということだ。
(あのような淫らな儀を……。今宵と裏祭と、少なくともあと二回も……)
得体の知れぬ妖と交わり、数多の男達に逞しい楔で貫かれねばならないのだ。
思い浮かべた刹那、ずくりと腹の奥が疼いてしまい、真霧は頭を打ち振った。
体は日に日に昂りやすくなっている。
些細なことでも熱を帯びてしまうため、祭祀のことは務めて頭から追い出すようにしていたのに。
ふと思い立って室内に戻り、壁際に置かれていた鏡筥から鏡を取り出した。
鏡を鏡台にかけ、そこに映る己の顔を眺め、愕然とする。
(私はこんな顔をしていただろうか……)
目は潤んで艶めき、唇は紅を引いたように赤く濡れ、頬は熱っぽく上気している。
我ながらどこか淫らな顔つきに見えるのだ。
(それに────)
真霧は、視線を己の体に移す。
昨日より濃さを増した下腹の紋様と、熟れたように赤い胸の尖りが紗の単衣の上から透けている。
乳が出るようになってしまったせいか、胸全体も心なしかふっくらとしたような。
一晩経っても胸の蜜はおさまっていない。
あふれ続けはしないものの、胸を揉んだり、先端をいじったりして刺激すると滲み出てきてしまうのだ。
(色事などほとんど何も知らなかったのに……)
たった三日で作り変えられてしまった。
顔つきも、体も、おそらく心も。
(こんなふうに作り変えられてしまって、全てが終わった後、私はちゃんと都での暮らしに戻れるのだろうか)
儀式が終われば体は元に戻るのかもしれない。
でも、心は────?
「お支度はお済みでしょうか」
迎えの信徒に几帳越しに声をかけられ、真霧は我に返った。
「今、参ります」
物思いを打ち切り、鏡を筥に戻して立ち上がる。
「今宵の祭場は、山の中腹にございます。距離がありますゆえ、輿でお運びいたします」
信徒はそう述べ、社殿の前へと真霧を案内した。
そこには、轅の上に屋根のない台座を据えた小輿が用意されていた。
輿を担ぐのだろう、信徒が四人控えている。
「さあ、こちらへ」
手を取られ、輿に乗るよう促された真霧は、ぎょっとして動きを止めた。
台座の真ん中に黒々とした張型が据え付けられている。
隆々とそそり立つ人の陰茎が輿から生えているかのようだ。
表面には油が塗られており、松明に照らされてぬらぬらと光る様は異様なまでに卑猥だ。
思わず目を背け、問いただす。
「これは、なんなのですか……!」
「こちらで御身の中を慣らしていただきながら、祭場へお連れいたします」
「そんな……」
「さあ、お早く」
ためらう真霧の手を信徒たちは強引に引き、輿の上に乗せてしまう。
「ま、待ってっ」
真霧はふるふると首を振った。
「無理だ、こんなの挿れたら、すぐに……」
だが信徒達は取り付く島もない。
「これも神子のお勤めですから」
「あ……っ」
衣をめくられ、肩を押さえつけられて、張り型の上に腰を落とさせられた。
「ひっ、ああぁっ」
油に濡れた張型は、まだほころんでいなかった肉輪を押し広げ、ずぶずぶと奥まで貫いてしまった。
「あ、はぁ……っ、んん……っ」
いきなり極太のもので腹の奥を突かれ、衝撃で甘く達してしまう。
びくびくと腰を震わせる真霧に構わず、男たちは轅を肩に担ぎ上げた。
「それでは参りましょう」
「ひぁ……っ」
挿入されたまま、揺すぶられ、悲鳴を上げた。
輿の振動がそのままに秘肉に伝わり、掻き回されるのだ。
どうにか耐えようと台座にめぐらされた朱塗りの欄干を握りしめる。
だが、階を一段登るごとに奥を突き上げられ、なすすべもなく感じさせられてしまう。
「んっ、く……っ、あ、は、ああっ」
すぐに声を殺すこともできなくなった。
とんとんと奥を突かれ続け、肉壺から生まれる悦楽の渦に飲まれていく。
絞られてもいないのに胸からは乳が滲み、勃ち上がった花芯からは滴が溢れ出す。
「は、ぁ……っ、もう……、あっ、あぁっ、んんん~~──っ」
曲がり角で一際大きく輿を揺らされた刹那、更に奥を穿たれ、あっさりとまた極めてしまった。
だが極めても、男達の歩みが止まることはない。
「やっ、また来ちゃう────、だ、め……、ああッ」
昂りが収まる前にまた次の絶頂の波が訪れる。
真霧は啼泣しながら髪を打ち振り、欄干に爪を立てる。
「やああっ、あぁ……っ、も……、止、まっ……て……っ」
制止の言葉はうまく紡げず、男達の耳には届かないようだ。
否、届いたとしても、足を止めてはもらえなかったろうが。
祭場に辿り着くまでの四半刻程、真霧は何度となく絶頂し続け、胸と花芯から噴き出した白い蜜で衣はぐっしょりと濡れそぼった。
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