あの日振られた君へ

雨森

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告白

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 数日後、漫画を読み終えた私は返しに行く時のことを考えて憂鬱な気持ちになっていた。それでも返しに行かない訳にはいかない。放課後に彼と打ち合わせをして、今週末に返しに行くことになった。


  当日、気が重いまま彼の家に向かう。それほど遠い距離でもないので、気持ちとは裏腹にすぐに着いてしまう。彼が出てきた。
「おはよ」
「おはよう…」

 二人の間に気まずい沈黙が流れる。

「一旦漫画置いてきていい?」

「うん、わかった。」
  
 了承したのはいいものの、彼から何を言われるのか私には想像もつかず、恐れる気持ちさえあった。

「おまたせ~」
  
 いつも通りだ。そんな彼に安心した私は漫画の感想を話し、いつの間にか気まずさも忘れていた。話を終えた私は帰ろうと思い、声をかけた。

「北沢、私そろそろ帰るね~」


「待って。」
  
 引き留められると思っていなかった私は少し驚きつつもその場に留まった。やけに真剣な顔をしている彼を不思議に思った。

「なに?どしたの?」
  質問してみても彼は黙ったままだった。
 言いづらい話なのかもしれないと考え、何も言わず待った。

 少しして、彼は私を真っ直ぐ見つめたと思うと手を差し出した。


「好きです。付き合ってください」




「えっと…考えさせてください」


  彼の飾り気のない、シンプルともいえる告白が私には心地よく感じられた。だが、その場で告白を処理しきるほどの経験も能力も持ち合わせていなかった私には考える時間が必要だったのだ。
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