2 / 5
靄【一】
しおりを挟む
今日もいつも通りの一日になると思っていた。
学校に着くと、廊下が妙に騒がしい。この学校では噂話をする場として使っている者がほとんどだった。今日もまた根も葉もない噂が飛び交っているのだろうと思い、私は気にもとめなかった。
昼休みになって、友達から今朝の噂について聞かされた。
「北沢がさ、七瀬ちゃんのこと好きらしいよ」
「え、まじ?やっぱ可愛いもんね。」
私からすれば拍子抜けだった。
七瀬ちゃんは他学年からも人気のある子だった。つまり、皆に好かれる可愛い子だった。
一方の北沢はいじられキャラだけあって、ぱっとしない外見だったし、北沢の独特の雰囲気から好みもまた人とは違ったものだろうと推測していたのだ。
私は、裏切られたような気持ちになったと同時に勝手な推測をしてしまったことを心の中で詫びた。
放課後になって、また2人になった。
噂について聞いてしまっていた私は、若干の居心地の悪さを感じながらも彼に話しかけた。
「北沢、七瀬ちゃんのこと好きなんでしょ。」
「え!なんで…」
驚いたような反応をする彼に私はすかさず伝える。
「噂広まってるよ?皆知ってる。」
途端に彼は何かを考えるような素振りを見せ、私に何か言いたそうにした。
そして、少し間を空けてから
「そうだよ、秘密にしてね」と、お願いしてきた。
もう皆に知れ渡っているというのに誰に対して秘密にしろというのだろう、という疑問は私の中にあったがあえてそれを追及するような事はしなかった。
そんなことよりも私の中では北沢が肯定したことの方がとても重要だった。それではまるで私が北沢のことを好きみたいだな、という自覚はあったが、それが事実ではないと思っていた。
学校に着くと、廊下が妙に騒がしい。この学校では噂話をする場として使っている者がほとんどだった。今日もまた根も葉もない噂が飛び交っているのだろうと思い、私は気にもとめなかった。
昼休みになって、友達から今朝の噂について聞かされた。
「北沢がさ、七瀬ちゃんのこと好きらしいよ」
「え、まじ?やっぱ可愛いもんね。」
私からすれば拍子抜けだった。
七瀬ちゃんは他学年からも人気のある子だった。つまり、皆に好かれる可愛い子だった。
一方の北沢はいじられキャラだけあって、ぱっとしない外見だったし、北沢の独特の雰囲気から好みもまた人とは違ったものだろうと推測していたのだ。
私は、裏切られたような気持ちになったと同時に勝手な推測をしてしまったことを心の中で詫びた。
放課後になって、また2人になった。
噂について聞いてしまっていた私は、若干の居心地の悪さを感じながらも彼に話しかけた。
「北沢、七瀬ちゃんのこと好きなんでしょ。」
「え!なんで…」
驚いたような反応をする彼に私はすかさず伝える。
「噂広まってるよ?皆知ってる。」
途端に彼は何かを考えるような素振りを見せ、私に何か言いたそうにした。
そして、少し間を空けてから
「そうだよ、秘密にしてね」と、お願いしてきた。
もう皆に知れ渡っているというのに誰に対して秘密にしろというのだろう、という疑問は私の中にあったがあえてそれを追及するような事はしなかった。
そんなことよりも私の中では北沢が肯定したことの方がとても重要だった。それではまるで私が北沢のことを好きみたいだな、という自覚はあったが、それが事実ではないと思っていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」


優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。

片想いの相手と二人、深夜、狭い部屋。何も起きないはずはなく
おりの まるる
恋愛
ユディットは片想いしている室長が、再婚すると言う噂を聞いて、情緒不安定な日々を過ごしていた。
そんなある日、怖い噂話が尽きない古い教会を改装して使っている書庫で、仕事を終えるとすっかり夜になっていた。
夕方からの大雨で研究棟へ帰れなくなり、途方に暮れていた。
そんな彼女を室長が迎えに来てくれたのだが、トラブルに見舞われ、二人っきりで夜を過ごすことになる。
全4話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる