あの日振られた君へ

雨森

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日常

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 見慣れた道。見慣れた校舎。私の目に映るものに新しいものなんてない。
「おはよ…」
 私の友達は眠くて目をあけるので精一杯なのか元気のない挨拶をしてくる。そんな中でも彼だけは違った。
「新山さん!おはよう」
 彼は私とどれだけ仲良くなってもさん付けで呼ぶことをやめない。呼び方について問われた時に私が特に指定しなかったのがいけないのだからやめるようには言わない。初めてそう呼ばれた時、彼は女性に敬意をはらって接するたちなのだろうと解釈していたのも理由の一つである。
  彼はいじられキャラでクラスのみんなから度をすぎた扱いを受けることも少なくないが、そんな扱いを受けてもいつも笑っている。彼を見ていると私の中から怒りともとれない感情がふつふつと湧いてくる。
「北沢、お前ほんとに陰気だな笑」
 嫌味ったらしく彼の名前を呼ぶ声。挨拶のつもりだろうか、不快感に襲われる。彼は怒るでもなく、ただ笑みを浮かべて流れに任せるだけだった。



  放課後になって二人だけになった教室で、私は不満をもらす。
「あんなの気にすることないよ。でも、腹が立ったりしないの?」
「ああいうのは放っておくのが一番だから。」
 何ともないといった様子で語る彼は少し寂しそうに見えた。
「あんな奴らより北沢の方が凄いんだから!」
 私は何ともいえない気持ちになり、フォローにもならない言葉を最後に教室をあとにした。
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