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丸ニカタバミ

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対抗戦編

いつきの決意

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 午前の部はあっという間に過ぎて午後の部も気がつけば夕方になっていた。修行のほうは息を飲み、手に汗握る熱い展開だった。短期間で強くなった理由があたしにはわかった。
「お疲れ様。どうだった、うちの子の修行風景は」
「とても、びっくりしました。ルミだけじゃなくてさやもあんなにすごいなんて・・・。いかに自分がクラスに甘えていたのかがよくわかりました。なんかショックです」
「別にあなたは甘えてたわけじゃなくて、戦闘系じゃなかっただけでしょ」
「ほんとうに何でも知ってるんですね・・・」
 本当によく知っている。この分じゃ、あたしの異能のことも筒抜けだろう。隠したところでいずればれるだけだ。
「なんでもは知らない。ただ、防衛に必要な知識や人材あとは重要な事件は覚えておくようにはしている。それに、親父さんから聞いてたし」
「なら、どうしてあたしを受け入れてくれたんですか」
事件のことを知っているなら、あたしを近づけるのは危険のはずだ。あたしは、それぐらい取り返しのつかないことをした。
「公人がこういうことを言っちゃいけないのかもしれないけど、あれは当然の報いだと思うよ」
「えっ・・・」
 本当にとんでもないことを言いだした。誰かに聞かれれば辞任を要求されても仕方がないほどの発言だ。
「でも、あたしはもう少しで人の命を奪っていたかもしれないんですよ。本当に後数センチずれていたらあの子は死んでいたかもしれない・・・。今も、後遺症で苦しんでいるのに」
「さすがに胸を張れとは言わないけど、そこまで自分を責めることはないと思うよ。だって、その数センチはずれたんじゃなくてずらしたものでしょ。それに、その子は自業自得だよ。いくら、異能に優れているからって人の尊厳を踏みにじっていいわけじゃない」
「でも・・・」
「今君が牢屋にいないのは鍛示家の助けと被害者本人が反省したからだよ。その人たちのためにも前を向いて進まないと・・・・・・。むしろ、そっちのほうが失礼だよ。それにね、わたしはあなたに感謝しないといけないの」
 あたしは、そんな感謝されるようなことは全くしていない。むしろあたしはルミを私怨に巻き込んで余計なものを背負わせてよくない方向に進ませているかもしれない。
「あの子がね。最近、心の底から笑うようになったの。それに、今日友達と楽しそうにしゃべっているの久々に見れたし、最近いまいちだったけど今日は吹っ切れたみたいでここ一番の動きをしていた。全部、あなたのおかげなの。だから、後悔なんてしないでそれに不安そうな顔もしないで後輩が心配するわ」
 そう言って休憩しているルミのほうへ、ルアさんは歩いて行ってしまった。本当に本当にあたしは助けてもらってばっかりだ。これから、なんとかして少しでも返せるように頑張ろう。微力でも、助けになるならなんでもしよう。
「はーい、じゃあ講評するからみんな集まって!」
 まずはここからだ。そう思って、あたしは駆け出した。
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