ケムケムの森

ほしうさ

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出会い

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「ここはどこなの?」
あたりは煙だらけ。前もよくみえません。
私はスマホのライトをつけました。
「あ、これみて!」
あやとが指差す先には動物のような足あとがあったのです。
おそらくこの足跡をたどれば赤いリボンは見つかるはず。
それから私たちはヘトヘトになるまで歩きました。足あとがなくなり、周りをライトで照らしてみました。
そこには一件の家が。
私は迷いもせずに、勢いよく玄関らしきものを開けます。
「見つけたわよー!私のリボン返して!」
「いらっしゃい」
「え?」
「え?」
「えーーーーー?」
「ね、ね、猫が喋ったーーー!!」
「あら、猫のままだったわね。それ!」
猫は女の子へと姿を変えたのです。
驚く私たちを気にすることもなく女の子は続けました。
「乱暴なマネしてごめんなさい」
女の子は私の手のひらにリボンを置きます。
「ここはケムケムの森。私の名前はリッカ。魔法使いよ。あなた達のいる次元ではやってはいけない3つのルールがあるの。1つ目は魔女の姿をみせないこと。2つ目は喋らないこと。3つ目は魔法を使うとこを見られてはいけないこと。だから強引にここへ連れてきたわけ。」
「魔法?次元?」
「説明不足だったわね。ここはあなた達からしたら異次元よ。」
リッカは混乱する私たちを横目に淡々と喋り続けます。
「蝶々になって違う次元へと旅行をすることにしたの。そしたら蜘蛛の巣に引っかかったのよ。もう最悪。魔法も使えないし、どうしようかと思ったら、助けてくれて。だからあなた達にお礼をしようと思って連れてきたわ。何がいい?本当のカップルになりたいとか?」
リッカは意地悪そうな顔で提案してくる。
「なんでそこまで知ってるの?」
「だってタイミングを見るためにずっと聞いてたもん。2人の話。そしたらもうー、昼間からあんなことやこんなこと...」
「や、やめてくれー!」
頬を赤らめて必死に話を止める。
「本当に私たちにお礼しよう思ってます?」
「ぇえ!思ってるわよ。とりあえず今日は家でゆっくりしてちょうだい。」
「私たち家に帰らないとまずいんです。わかるでしょ?」
「無断外泊なんて嫁に怒られちゃうよ」
「大丈夫よ。わたしは偉大な魔法使い。髪飾りを渡す時に戻すわよ。それともえーっと、あの話をしてた時まで戻す?ベットで...」
「わ、わかりました!今日はゆっくりしていきます!!!」

こうして異次元にきた私たちは、偉大な魔法使い?リッカの家に泊まることにしました。
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