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第5章 ランドバルク王国王女イグレーヌ

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「魔王様、大変です」
 小柄な男が魔王の玉座の前に急に現れる。
 その男は瞬間移動でここに飛んできたのだ。
 男は魔王の右手薬指といわれる魔王軍の幹部だった。

「悪魔の右手が3人やられました。
 ランスロットと冒険者2人組です。
 とんでもない強さをもっています」

「そうか。
 しかし、我に報告するほどのことか。
 あと2人残っているんだろう。
 我に出ろというのか!」

「はい、わたしたちでは勝てるみこみはありません。
 魔王様でないと、やつらを倒せません。
 たぶん、もう親指もやられているはずです」

「人間ごときにそんな力あるはずない。
 バカなことを言うな。
 人間ごときに勝てないやつは魔王軍にいらん」
 そう言って魔王は手を振る。
 そのとたん、薬指はばらばらになる。

「つまらん」
 魔王はそう言って玉座から立ち上がる。

「ん?
 それで、おまえはなんだ」
 魔王が見下ろすと、いつのまにか金色の毛並みの小さな毛玉。
 二本の尻尾を揺らしながら香箱座りをしている。

「薬指についてきたのか。
 見るところ魔法猫だな。
 何をしに来たんだ」

「ドラだにゃん」

「ドラ、お前の名か。
 そんなことどうでもいい。
 我は忙しいのだ。
 できの悪い部下たちの尻ぬぐいをしないとならない」

「おまえを倒すにゃん。
 そうすればイグレーヌとランスロット、エヴァンスが喜ぶニャン」

「俺を倒す。
 その小さな身体で?
 冗談もほどほどにしておけ」
 魔王は小さな猫を見下ろして笑う。

「じゃあ、殺すにゃん」
 猫はそういうと飛び上がる。
 そして、魔王の後ろに着地する。
 そのとたん、魔王の首が胴体から落ちるのだった。
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