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第5章 ランドバルク王国王女イグレーヌ

イグレーヌ06

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「俺が行かせてもらおう」
 黒騎士の中でもいちばん大きな男が前に出る。
 この木々に囲まれたところでは、一気に襲い掛かることはできない。
 結局一対一の勝負になる。
 あのピーターとかいう悪魔なら、小さいし飛べるしで同時攻撃は可能だろうけど、浮かび上がって傍観を決めている。
 
「黒騎士ハサウェイか」

「ああそうだ。
 俺の名を知ってもらえてるなんて光栄だな」

「ああ、身体だけ大きなでくのぼうとして有名だぜ.
 以前の模擬戦でも俺にかすりもしなかったじゃねえか」

「なんだと」

 ハサウェイといえば、豪傑で聞こえた武人だ。
 ランスロットほどではないが、数々の武勇伝で知れている。
 そんなのがわたしを追いかけているの?

「胸を貸してやる。来い」
 ランスロットはハサウェイを挑発する。

「ランスロット。
 俺は以前の俺とは違うぜ。
 この薬を飲んでいるからな」
 ハサウェイは薬を飲む。
 そのとたん、筋肉が盛り上がる。
 身体が1.5倍の大きさになった感じだ。

「薬の力か…しかし、そんなものまやかしの強さだ。
 あとで大変なことになるぜ」

「まあいい。俺は不敗のランスロットを倒した男となるのだ」

「くだらねえな」
 そう言ってランスロットは剣を構える。
 そこに斬りかかるハサウェイ。
 こっちも剛剣。
 ランスロットはそれを受け止める。
 しかし、受け止めきれない。
 やっぱり片手だからか。
 
「くっ」
 ランスロットは後ろに飛ばされる。
 あのゴリラのような身体、人間の力ではない。
 ハサウェイはこの隙を逃さない。
 もう一度踏み込んで、剣を振るう。
 ランスロットは態勢を崩している。
 そこに襲い掛かる剣戟。
 やられる。
 そう思ったとたん、ハサウェイの剣はランスロットの手前で止まるのだった。

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