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第5章 ランドバルク王国王女イグレーヌ

イグレーヌ04

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 やはり人間は猫ちゃんの可愛さには抗えないのだ。
 わたしは猫ちゃんにほおずりする。
 本当に人懐っこい猫ちゃんだ。
 人に飼われてたんじゃないって思うくらい。
 その猫ちゃんがどうしてこんなところにいるんだろう。

「みーつけた」
 上の方から声がする。
 緑色の少年が木の上から降りてくる。
 この子みたことがある。
 悪魔の左手とかいうやつらの一人だ。

 ランスロットがわたしを守るように前に立つ。
 エヴァンスも同様、細剣を抜いてわたしを守る。
 この宰相は頭も切れるが、剣の腕も確かだ。
 
「ふうん、本当に右腕がないんだね。
 残念、人類最強とかいうのと戦いたかったんだけどね」

「片腕でもお前ら程度、十分だ。
 ちょうどいいハンデだよ。
 これで、俺も楽しめる」
 ランスロットはそう言って笑う。
 たぶん、やせ我慢だ。
 
「おまえは悪魔の一人だな」
 エヴァンスは問う。

「そうだよ。悪魔の左手。
 小指のピーターだよ」
 ピーターはそう言って空中に浮かんで宙がえりする。
 こいつは飛べるみたいだ。
 ランスロットは剛剣、スピードの速い敵はすこしまずい。

「小指って…
 いちばんの雑魚じゃねえか」
 ランスロットはたぶん相手が気にしていることを言う。
 こういう心理戦もランスロットの特技だ。
 相手を怒らせて腕を鈍らせる。

「雑魚だって?
 ぼくたちは全員強いんだよ」

「まあ、そういうことにしておこうか。
 いいぜ、いつでも来な」

「とりあえず、おまえらこのバカを殺せ」
 ピーターは叫ぶ。
 たぶん、ランスロットは敵のヘイトを集めたのだ。
 黒騎士たちはランスロットのところに剣を構えて集まるのだった。
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