前世は拾われた猫だったので。転生したら人間を拾っています。

第４章 大商人グリフレッド

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「これで試供品はおわりです。
　今後ともニャンコロッド商会をごひいきにお願いします」
　わたしは、台の前に試供品は終わりましたという張り紙を張る。

「もう終わりかよ」
「あと一本くらいどうにかならないの？」
　不満顔で捨てぜりふを残して去っていくお客様。
　すぐに店の前は元の状態に戻る。

「にいちゃん、そんなことをしても無駄だよ」
　まわりの店の人が話しかけてくる。

「ええ、でも開店日ですから」
　そう言って試供品を取り出して、その人に渡す。
　まわりの店の人たちにも配ってまわる。
　あいさつ代わりだ。
　こういうところでは周りに可愛がられたほうがいい。
　いろいろな情報を教えてもらえるからだ。
　今日は１本も売れていない。
　しかし、ウルフの素材を売った金がある。
　半年くらいはこれで生活できるのだ。
　焦る必要はない。
　たぶんしばらくは商売にもならないだろう。

　ただ、わたしの予想はすぐに裏切られた。
　
「ここか？回復薬を売っている店は」
　冒険者風の男たちが、店にやってくる。

「はいニャンコロッド商会。薬屋をやっています。
　何か御用でしょうか」

「この前にこの小瓶の薬を使ったんだが、すごい効果だった。
　パーティメンバーの傷がすぐにふさがった」

「そうですか。それは良かったです」

「その薬はいくらだ。
　金貨１枚くらいか」

「一本銀貨一枚となっています」

「それなら、モーガンのところの1/10ではないか。
　それに以前使った薬より効果は高かったぞ」

「ええ、特別な製法で作っています。
　製法は元ロラン王国魔導士長ブラックウッドさんが発明したものです」

「ブラックウッドって伝説の魔導士じゃないか」
　冒険者は驚いた声をあげるのだった。