125 / 188
第4章 大商人グリフレッド
24
しおりを挟む
「本当に効くのか?」
「ただの水じゃないだろうな」
「この価格で薬が出せるわけがないじゃないか」
「いえ、大丈夫ですよ。
効果は保証します」
わたしは商売人の笑顔で対応する。
たしかに薬というのは、いちばん騙しやすい商品だ。
成分は門外不出と言えばいいし、効かなかったとしても責任を追う必要はない。
それにフラシーボ効果と言って、信じれば本当に病気が治ってしまうこともある。
人間の意思の力も侮れるものではない。
わたしたちの薬も人間の治癒力に作用する。
普通の回復薬ではなく、ブラックウッドさんが古代の魔導により編み出した薬だ。
そう言っても、今日ここに店をだしたばかりのわたしを信じるものは誰もいない。
一応は安さに足を止めてくれるけど、買ってくれるものは誰もいない。
「やっぱやめとくわ」
おじさんはそう言って他に行こうとする。
「ありがとうございます。
また、お越しください。
それで、今日開店したばかりなんで、試供品をお渡ししています。
これをどうぞ」
わたしは小瓶を渡す。
これは以前もやった方法だ。
この前は効果を証明するために。
いちおう店としての信用はあったわけだから、薬の宣伝のためだった。
今回はこの店の宣伝をかねてだ。
タダでものがもらえるとなったら、このあたりの人はすぐに群がってくるだろう。
「そうか、それならいただこう」
おじさんはそれを受け取る。
さて、忙しくなるぞ。
「おれにもくれよ」
「わたしにも」
まわりの人が手を出してくる。
それから、その声を聞いた人も群がってくる。
「ニャンコロッド商会、本日開店です。
深淵の森の近くのドラの町から参りました。
これからこの町でお世話になりたいと思っています。
本日は試供品を配っています。
わたしどもの薬はよく効きます。
その効果の程をお試しください。
ただ、限定100本となっています。
なくなり次第終了です」
わたしは声を上げる。
そのとたん、わたしの店は多くのひとに囲まれるのだった。
「ただの水じゃないだろうな」
「この価格で薬が出せるわけがないじゃないか」
「いえ、大丈夫ですよ。
効果は保証します」
わたしは商売人の笑顔で対応する。
たしかに薬というのは、いちばん騙しやすい商品だ。
成分は門外不出と言えばいいし、効かなかったとしても責任を追う必要はない。
それにフラシーボ効果と言って、信じれば本当に病気が治ってしまうこともある。
人間の意思の力も侮れるものではない。
わたしたちの薬も人間の治癒力に作用する。
普通の回復薬ではなく、ブラックウッドさんが古代の魔導により編み出した薬だ。
そう言っても、今日ここに店をだしたばかりのわたしを信じるものは誰もいない。
一応は安さに足を止めてくれるけど、買ってくれるものは誰もいない。
「やっぱやめとくわ」
おじさんはそう言って他に行こうとする。
「ありがとうございます。
また、お越しください。
それで、今日開店したばかりなんで、試供品をお渡ししています。
これをどうぞ」
わたしは小瓶を渡す。
これは以前もやった方法だ。
この前は効果を証明するために。
いちおう店としての信用はあったわけだから、薬の宣伝のためだった。
今回はこの店の宣伝をかねてだ。
タダでものがもらえるとなったら、このあたりの人はすぐに群がってくるだろう。
「そうか、それならいただこう」
おじさんはそれを受け取る。
さて、忙しくなるぞ。
「おれにもくれよ」
「わたしにも」
まわりの人が手を出してくる。
それから、その声を聞いた人も群がってくる。
「ニャンコロッド商会、本日開店です。
深淵の森の近くのドラの町から参りました。
これからこの町でお世話になりたいと思っています。
本日は試供品を配っています。
わたしどもの薬はよく効きます。
その効果の程をお試しください。
ただ、限定100本となっています。
なくなり次第終了です」
わたしは声を上げる。
そのとたん、わたしの店は多くのひとに囲まれるのだった。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「たかが一男爵家の分際で、一々口を挟むなよ?」
そんな言葉を皮切りに、王太子殿下から色々と言われました。
曰く、「我が家は王族の温情で、辛うじて貴族をやれている」のだとか。
当然の事を言っただけだと思いますが、どうやら『でしゃばるな』という事らしいです。
そうですか。
ならばそのような温情、賜らなくとも結構ですよ?
私達、『領』から『国』になりますね?
これは、そんな感じで始まった異世界領地改革……ならぬ、建国&急成長物語。
※現在、3日に一回更新です。
クーヤちゃん ~Legend of Shota~ このかわいい召喚士は、地球からアイテムを召喚してしまったみたいです
ほむらさん
ファンタジー
どうやら、人は死ぬと【転生ルーレット】で来世を決めるらしい。
知ったのはもちろん自分が死んで最後の大勝負を挑むことになったからだ。
虫や動物で埋め尽くされた非常に危険なルーレット。
その一発勝負で、幸運にも『ショタ召喚士』を的中させることに成功する。
―――しかし問題はその後だった。
あの野郎、5歳児を原っぱにポイ捨てしやがった!
召喚士うんぬんの前に、まずは一人で異世界を生き抜かねばならなくなったのです。
異世界言語翻訳?そんなもん無い!!
召喚魔法?誰も使い方を教えてくれないからさっぱりわからん!
でも絶体絶命な状況の中、召喚魔法を使うことに成功する。
・・・うん。この召喚魔法の使い方って、たぶん普通と違うよね?
※この物語は基本的にほのぼのしていますが、いきなり激しい戦闘が始まったりもします。
※主人公は自分のことを『慎重な男』と思ってるみたいですが、かなり無茶するタイプです。
※なぜか異世界で家庭用ゲーム機『ファミファミ』で遊んだりもします。
※誤字・脱字、あとルビをミスっていたら、報告してもらえるとすごく助かります。
※登場人物紹介は別ページにあります。『ほむらさん』をクリック!
※毎日が明るくて楽しくてほっこりしたい方向けです。是非読んでみてください!
クーヤ「かわいい召喚獣をいっぱい集めるよ!」
@カクヨム・なろう・ノベルアップ+にも投稿してます。
☆祝・100万文字(400話)達成! 皆様に心よりの感謝を!
男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国
てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』
女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
強制力が無茶するせいで乙女ゲームから退場できない。こうなったら好きに生きて国外追放エンドを狙おう!処刑エンドだけは、ホント勘弁して下さい
リコピン
ファンタジー
某乙女ゲームの悪役令嬢に転生したナディア。子どもの頃に思い出した前世知識を生かして悪役令嬢回避を狙うが、強制力が無茶するせいで上手くいかない。ナディアの専属執事であるジェイクは、そんなナディアの奇行に振り回されることになる。
※短編(10万字はいかない)予定です
離縁された妻ですが、旦那様は本当の力を知らなかったようですね? 魔道具師として自立を目指します!
椿蛍
ファンタジー
【1章】
転生し、目覚めたら、旦那様から離縁されていた。
――そんなことってある?
私が転生したのは、落ちこぼれ魔道具師のサーラ。
彼女は結婚式当日、何者かの罠によって、氷の中に閉じ込められてしまった。
時を止めて眠ること十年。
彼女の魂は消滅し、肉体だけが残っていた。
「どうやって生活していくつもりかな?」
「ご心配なく。手に職を持ち、自立します」
「落ちこぼれの君が手に職? 無理だよ、無理! 現実を見つめたほうがいいよ?」
――後悔するのは、旦那様たちですよ?
【2章】
「もう一度、君を妃に迎えたい」
今まで私が魔道具師として働くのに反対で、散々嫌がらせをしてからの再プロポーズ。
再プロポーズ前にやるのは、信頼関係の再構築、まずは浮気の謝罪からでは……?
――まさか、うまくいくなんて、思ってませんよね?
【3章】
『サーラちゃん、婚約おめでとう!』
私がリアムの婚約者!?
リアムの妃の座を狙う四大公爵家の令嬢が現れ、突然の略奪宣言!
ライバル認定された私。
妃候補ふたたび――十年前と同じような状況になったけれど、犯人はもう一度現れるの?
リアムを貶めるための公爵の罠が、ヴィフレア王国の危機を招いて――
【その他】
※12月25日から3章スタート。初日2話、1日1話更新です。
※イラストは作成者様より、お借りして使用しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる