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第4章 大商人グリフレッド

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 一瞬で2人の騎士が倒される。
 これは、どうにもならないな。
 わたしもここまでか。

「おまえら。おれらを守れ」
「おまえらが先に食われろ」
 騎士たちは囚人を盾にする。
 ワンチャン食ってる間に逃げようというのか。
 本当にクズだな。

 しかし、やつらの思うようにはならない。
 グレイトタイガーのほうが一枚上手だ。
 囚人には目もくれず、騎士から狙っていく。
 たぶん、戦えるものから潰していこうとしているのだ。
 つぎつぎに騎士たちは吹っ飛ばされ無力化されていく。

「た、助けてくれ」
 いいざまだ。
 虎に言葉など通用するわけないだろう。
 そのうえ、助けてくれるわけない。
 偉そうにしていたくせに、虎の前では震えることしかできない。
 情けないやつらだ。

 一人の騎士が、他の騎士のやられている間に逃げ出す。
 仲間だろ。本当にクズ野郎だ。
 しかし、目論見どおりにはいかない。
 やつの目の前にはもうひとつ大きな影。
 そればかりか、他にも2匹。
 子供のグレイトタイガーまでいる。
 
 騎士の目の前のグレイトタイガーが前足をふるうと、騎士の首がなくなる。
 これで騎士たちは全滅だ。
 
 そして食事タイムが始まる。
 グレイトタイガーたちは思い思いに獲物を選んで殺していく。
 騎士たちの次は身体の大きな囚人から的になる。
 そう、わたしのように痩せたものやと老人たちには目もくれない。
 たしかにわたしたちはうまそうではないよな。
 どう見ても筋張って固そうだもんな。
 それでも、放免なんてことはないだろう。
 わたしたちは悲惨な食事現場を見ているしかない。
 彼らが満腹になったら、見逃してもらえるかも。
 そこに望みをつなぐしかない。
 わたしは神に祈る。

 その時、私の近くに魔法猫が近づく。
 しっぽをぴんと立てて近づいてくるのだ。

 だめだ。ここに来たら。
 わたしは猫ちゃんに目で合図する。
 その合図に猫ちゃんはにゃーと鳴いて答えるのだった。
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