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第3章 隠者ブラックウッド

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 ウサギくらいの大きさ。
 全身茶色のモフモフの毛に覆われた身体。
 いや茶色でなく黄金色だ。
 そして、縞々の尻尾を二本揺らしてわしを凝視しているのだ。

 こいつは噂に聞く魔法猫だ。
 可愛い容姿だし、敵意はなさそう。
 本当なら攻撃する必要はない。
 しかし、こいつが古代魔法の秘密を知っているのなら別だ。
 わしは犬よりも猫好きなんだが、そんなことは言ってられない。
 それに殺そうってわけではない。
 魔法の勝負を挑むのだ。
 
「君が魔法猫くんか?」

「おまえは誰にゃん。
 森で迷ったにゃん」

 脳内に直接語りかけてくるような声。
 人間の声帯を持たない猫、何らかの魔法を使っているのか。
 もちろん、わしの知る魔法ではない。
 それに、この猫ちゃん、おはなしができるのか。
 高位の魔獣は人間の言葉を理解すると聞いたことがある。
 それなら、いろいろと話してみたいものだ。
 猫ちゃんとお話ができるなんて最高じゃないか。

「わしはブラックウッド、隠者じゃ」

「ここに何をしにきたにゃん」

「わしは魔法を極めるためにここに来たんじゃ」

「魔法にゃん?」

「おまえは魔法猫じゃな」

「ぼくはドラにゃん」

「ドラというのか?
 わしは魔法猫と幻の古代遺跡を探してここまできたんじゃ」

「ドラは魔法猫にゃん。
 でもおかあさんとかおにいちゃん、おねえちゃんみたいに魔法は使えないにゃん」

「魔法猫なのじゃな。それなら、一度わしと戦ってくれないか」
 そうだ、本当なら猫ちゃんとは戦いたくない。
 しかし、魔法猫だっていうのなら、戦わないとならない。
 古代魔法の唯一の手がかりなのだから。
 ただ、猫ちゃんは魔法が使えないって言ってたな。
 とにかく、猫ちゃんの実力を見たい。
 わしは一番弱い魔法、ファイアーボールを猫ちゃんに向けて撃つのだった。
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